フィンランド政府が人種差別撤廃委員会に提出した第19回政府報告書CERD/C/FIN/19. 15 October 2007.によると、インターネット上の人種主義文書の書き手を特定することには困難があり、差別文書を削除することも困難である。明らかに犯罪的な内容を有するメッセージを公開しないようにできなかったオペレータも正犯又は共犯の責任を問われることがある。一定の条件のもとでは、編集者が管理責任を果たさなかったために、マスメディア表現の自由法第13条によって、罰金を言い渡されることもある。しかし、同法はフィンランド国内の事件にしか適用できないので、外国のサーバーを通じて入ってきた差別文書に適用できない。実際、多くの差別文書がアメリカ合州国から発せられている。
次に、民族アジテーションに関する判例である。刑法第11章第8節に規定された民族アジテーションの事案はまれである。2006年には「マイノリティのためのオンブズマン」がインターネット上の事案について40件の捜査を要請した。同年末時点で、そのうち15件は中央検事局による捜査中である。2005五年には9件であった。
2002年1月から2006年9月までに、民族アジテーション事案の判決は2件である。1件は訴追が却下された。もう1件では、被告人はヘルシンキ控訴審によって300ユーロの罰金を言い渡された。判決理由によると、ユダヤ人を侮辱するように唆す反セミティズムの印刷物は、宗教を攻撃して汚したものであり、それゆえ民族アジテーションの行為であったと判断された。