コロンビア政府報告書(CERD/C/COL/14. 5 May 2008)によると、2000年の刑法には差別の禁止に関する諸規定があり、国際人道法や武力紛争における差別を禁止している。刑法第2章は「国際人道法によって保護された人および財産に対する犯罪」であり、刑法147条は「人種差別行為」であり、武力紛争にさして行われる人種隔離を犯罪としている。差別的行為による場合の加重処罰規定もある。刑法166条4項は、強制失踪犯罪のような場合に人種差別があれば刑罰加重を定めている。しかし、ヘイト・スピーチ規定はない。
20007年の法改正草案には「差別の煽動」規定が導入されているというが、報告書には具体的な条文草案が引用されていない。
人種差別撤廃委員会勧告(CERD/C/COL/CO/14. 28 August 2009)によると、委員会は、コロンビア政府がアフリカ系住民や先住民族に対する差別を認めて対処していることを留意しつつ、人種差別禁止の一般規定がないこと、条約4条に従った煽動禁止規定がないこと、改正法が成立していないことを指摘し、条約に合致する法改正を行うよう勧告した。武力紛争時における殺害や強制失踪などの重大人権侵害に対する刑事司法による対処を勧告した。