人種差別撤廃委員会75会期に提出されたギリシア政府報告書(CERD/C/GRC/19. 3 April 2009)によると、1979年の法律927号は「人種差別を目的とする行為を処罰する」としている。(1)故意にかつ公然と、口頭、印刷、文書、描写、その他の手段であれ、人種的又は国民的出身、又は宗教(1984年改正)を根拠に、個人又は個人の集団に対する差別、憎悪又は暴力を惹起する行為を煽動すること。(2)人種差別の傾向を持つ組織的宣伝又は活動を意図する組織をつくり、又は参加すること。(3)公然と、口頭、印刷、文書、描写、その他の手段であれ、人種的又は国民的出身、又は宗教(1984年改正)を根拠に、個人又は個人の集団に対する攻撃的観念を表明すること。2001年の法律290号が刑罰を規定していたが、2005年の法律3386号71条4項で改正され、上記(1)(2)は2年以下の刑事施設収容又は罰金、(3)は1年以下の刑事施設収容又は罰金となった。さらに、2005年の法律3304号16条1項は、「民族的又は人種的出身、宗教その他の信念、障がい、年齢又は性的志向を根拠に、公衆に対して商品やサービスの提供に関して、差別的取り扱いの禁止に違反した者は、6か月の刑事施設収容又は1000以上5000ユーロ以下の罰金とする」としている。2005年、極右勢力が国際的に「ヘイト祭り」を開催しようとしたことに対して、政府は、人種的憎悪を促進するイベントを非難した。政府とNGOが強い反対をしたので、「ヘイト祭り」は中止となった。刑法とは別に、1987年のラジオ・テレビ局設置法や、2000年のテレビ局に関する大統領令が、放送において憎悪煽動を放送してはならないと定めている。