1月13日は福島原発事故緊急会議主催の連続シンポジウム第4回「『原子力規制委員会』の原発再稼働への<暴走>を許すな!」(日本キリスト教会館)に参加した。2つの報告がなされた。鵜飼哲「フランスの原発開発と対抗運動の政治=思想史的素描」、天野恵一「『原子力規制委員会』批判の視座」。集会タイトルでも天野報告でも「原子力規制委員会」と括弧がついているのは、規制と言いながら実態は推進側の組織であり、まともな規制を期待できないという認識だからである。鵜飼報告は、フランスの核武装の歴史を概括し、第二次大戦後の世界情勢へのフランス的対応の意味を確認し、それに対するフランス反核運動の限界(対立から合意へ)を見定めた。次いで、原発開発史だが、フランスの原発開発は意外に遅く、石油ショックに端を発しているが、いったん原発政策を導入すると急速に展開していった。反原発運動が1970年代に始まるが、さまざまな成果を生みつつも、思想的にも政治的にも大きな限界を抱えていたし、内的矛盾も見られた。旧植民地との関係や、核の「平和利用」論など、原発の問題性が世界史的な文脈で見えてくる。報告者は「<福島>はフランスの未来、フランスは日本の未来?」と問いながら、日本における「安全神話」から「安心神話」への転換はフランスの道を歩むものであり、<民生>から<軍事>への途はフランスとは逆向きの転換プログラムとなると位置づけた。原発推進側の著作を読み解きつつ、抵抗運動の可能性と限界も明確にする報告であった。天野報告における「原子力規制委員会」認識と即応して、日本における脱原発運動の課題を浮き彫りにした。