タジキスタン政府が人種差別撤廃委員会に提出した報告書(CERD/C/TJK/6-8. 29 September 2011)によると、公務員には人権や自由を擁護する義務があり、行政犯罪法第五〇一条により、公務員が違法行為を行えば犯罪とされている。刑法第三一四条は政府による職権濫用、第三一六条は権限踰越の責任を定め、これは被害者の民族的出身、性別、皮膚の色、国民的民族的又は社会的背景、世系、信仰又は政治的意見にかかわりなく適用される。国軍法第一三条から第一六条は、国軍の行為に関連して上記の差別的動機による行為を違法としている。タジキスタンには包括的な人種差別禁止法やヘイト・クライム法はないようである。
人種差別撤廃委員会は、タジキスタン政府に次のような勧告をした(CERD/C/TJK/CO/6-8. 24 October 2011)。タジキスタン刑法、労働法、行政法に一連の関連規定があるが、包括的な人種差別禁止法がなく、現行法は条約第四条に合致していない。包括的な人種差別禁止法を制定するよう強調する。条約第四条は義務的性格を有するので、条約第四条の全ての要素を考慮した立法をするよう勧告する。タジキスタン政府報告書には、人種差別事例の具体的情報がない。委員会は人種差別行為に対する不服申立て、予防措置、被害者救済について検討するよう勧告する。