エチオピア政府報告書(CERD/C/ETH/7-16. 11 March 2009)によると、人種差別撤廃条約4条で定められている人種差別はエチオピア刑法の下で犯罪とされてるという。刑法486条(b)は、いかなる手段であれ人種憎悪を流布することを犯罪とし、刑事施設収容又は罰金としている。重大な事件では三年以下の刑事施設収容である(重大でない場合は「単純な刑事施設収容」としている。期間は不明)。1992年の「プレスの自由宣言」10条2項(b)は、民族的又は人種的優越性や劣等性に基づく非難、人種的ステレオタイプや憎悪について、一年以上三年以下の刑事施設収容、又は一万以上五万以下のビルの罰金としている。2007年の「放送サービス宣言」30条4項(a)は、放送によって人間の尊厳や個人の自由を侵害してはならないとし、民族的優越性や劣等生に基づく観念は、被害民族集団に属する者の尊厳の侵害に当たるとしている。刑罰とは別に、放送権剥奪もありうる。刑法269条はジェノサイドの罪をさだめている(ジェノサイド条約とはやや異なる規定)。刑法274条は、ジェノサイドの罪の実行の挑発や共謀を処罰するとしている。刑法240条1項(a)は、「市民や住民の武装、他者に武器を取るよう呼びかけるなどによる内戦」の教唆を重大犯罪としている。刑法480条は、口頭、文書、図画、ジェスチャーその他によって、コミュニティ又は個人に対する暴力行使を教唆する行為を犯罪としている。同様に、人種主義的活動への財政援助も犯罪である。人種差別を促進し、煽動する組織や宣伝活動を行う団体は禁止されている。また、刑法84条により、ある犯罪が人種的動機によって行われた場合は刑罰加重事由とされている。