Tuesday, December 10, 2024

ヘイト・クライム禁止法(216)ニカラグア

ニカラグアが人種差別撤廃委員会CERD107会期に提出した報告書(CERD/C/NIC/1521. 20 August 2019

前回報告書について、『序説』五七二頁。

憲法は法的多元主義を採用している。憲法第五条は自由、正義、人間の尊厳、多元主義、先住民族のアイデンティティ承認を認め、第五〇条は平等の参加権を定める。憲法第三条は平等と差別、第二七条は出生、国籍、政治信条、人種、性別、言語、宗教、意見、出自、経済状態又は社会的地位による差別を禁じている。

国内人権計画として「カリブ海岸とアルト・ワンギとボケイ発展戦略・計画」がある。先住民族およびアフリカ系住民の諸権利の回復と、すべての形態の人種差別の撤廃をm座している。先住民族やアフリカ系住民の二三地域に伝統的形態の自治権を認めている。すべての者の方の下の平等を掲げ、人種差別の縮減と理解と寛容の促進に努めている。計画は①母なる大地、②コミュニティの調和、③多元的民族、多元的文化、④地域の自律的多言語教育、⑤文化間健康、⑥水と衛生、⑦家族・子ども・女性などを扱う。

コミュニティの調和について、対話、パートナーシップ、合意の文化に基づく生活様式を掲げ、責任を共有する集団的人間的利益を追及している。

CERDがニカラグアに出した勧告(CERD/C/NIC/CO/15-21. 22December 2023

国内法に条約に合致する人種差別禁止規定があるか情報がない。刑法に条約第四条に規定する行為の禁止規定があるか否かの情報がない。犯罪の人種的動機を刑罰加重事由とする刑法第三六条があり、刑法第四二七条は差別を犯罪としているが、人種的動機の差別に言及していない。包括的差別禁止法を制定し、刑法に条約第四条に規定する行為を盛り込むこと。

Sunday, December 01, 2024

ヘイト・クライム禁止法(215)ベニン

ヘイト・クライム禁止法(215)ベニン

 

ベニンが人種差別撤廃委員会CERD107会期に提出した初めての報告書(CERD/C/BEN/1-9. 15 December 2021

憲法第一一条、第二六条、第三六条は平等を定める。憲法第一一条によると、ベニン国民を形成するすべてのコミュニティは自己の言語を用いる自由、他者を尊重しつつ自己の文化を発展させる自由を享受する。

二〇一五年の情報コミュニケーション法第三六条は、「ジャーナリストは地域主義、自民族中心主義、差別、憎悪、排外主義、暴力を煽動する出版を行わないようにするべきである」とする。同法第二一一条一項は、何人も憎悪、暴力、排外主義、ジェンダー差別、部族主義、地域主義を煽動する情報の出版や映像を用いてはならないとする。同法第二ニ九条二項は、公共の道徳を貶める番組、犯罪、自民族中心主義、地域主義、奴隷制、暴力を称賛する番組は禁止されるとする。同法第二七三条二項は、特定の人種、民族集団、その出身に属する者の集団に対する侮辱、市民の間の憎悪を煽動する目的での、思想運動やコミュニティに属する者の集団に対する侮辱は、罰金を科せられるとする。

人種憎悪の煽動を非難する法規定として、二〇一七年のデジタル法第七条は、政府当局に平等処遇、非差別、手続きの透明性の尊重を要請する。二〇一四年のデジタル放送法、二〇〇四年の家族法、一九九九年の出版倫理法も同様である。

刑法第二八一条によると、口頭であれ文書であれ、演説であれ宗教の説教であれ、国家のシンボル、価値、代表、及び国民、共和国、伝統、民族集団、組織されたコミュニティを公然と貶めた者は、五年以上一〇年以下の刑事施設又は罰金とする。

二〇一八年の選挙法は、選挙運動の文脈で、人種的優越性の煽動や助長を禁止する。

二〇一八年の政党憲章は、政党に、不寛容、地域主義、自民族中心主義、ファナティシズム、人種主義、排外主義、及び暴力の煽動を禁止する。NGOについても同様の規定がある。

CERDがベニンに出した勧告(CERD/C/BEN/CO/1-9. 16 September 2022

二〇一六年の大統領選挙における排外主義と自民族中心主義の言説が用いられた。これに関する捜査や訴追の情報がない。選挙運動中の政治家による人種主義ヘイト・スピーチを公的に非難すること。人種主義ヘイト・スピーチを報告するのを容易にして、捜査、訴追、実行犯への制裁を適切に行い、情報を収集すること。政治家、検察官、裁判官その他の法執行官に、人種主義ヘイト・クライムとヘイト・スピーチを特定し、記録、捜査、訴追するための研究プログラムを開発すること。

高橋哲哉さんに聞く「現代欧州の歴史認識を問う」

脱植民地化の思想

高橋哲哉さんに聞く

現代欧州の歴史認識を問う

かつて西欧、アメリカ、日本は世界の約60%を植民地にしました。20世紀を通じて大半の植民地が独立しましたが、植民地支配の爪痕は癒えずに残されています。奴隷制の遺産、人種主義と人種差別は現在の問題です。21世紀に入って西欧諸国では歴史の見直しが始まり、旧植民地への謝罪や補償・経済協力が進んでいます。

植民地主義を克服するための思想的営みが求められる現在、脱植民地化の思想を紡いできた高橋哲哉さんに、前田朗がインタヴューします。

◉日時:252月1日()

開場午後6時、開会午後630分~8時30

◉会場:としま区民センター7F会議室

JR他各線・池袋駅東口より徒歩7分/ 中池袋公園となり

◉参加費(資料代含む):500

 

★高橋哲哉さん:哲学者。東京大学名誉教授。著書に『逆光のロゴス』(未来社)『記憶のエチカ』(岩波書店)『戦後責任論』(講談社)『靖国問題』(ちくま新書)『犠牲のシステム―福島・沖縄』(集英社新書)『日米安保と沖縄基地論争』(朝日新聞出版)『状況への発言――靖国そして教育』(青土社)『奪われた野にも春は来るか』『責任について- 日本を問う20年の対話』(以上徐京植氏共著、高文研)など多数。

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4回 日本と東アジアの現状を問う(254月6日)

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主催:平和力フォーラム

電話070-2307-1071

E-mail: akira.maeda@jcom.zaq.ne.jp