Thursday, August 29, 2024

「関東大震災朝鮮人虐殺犠牲者遺族の声を聴く集い」

 「関東大震災朝鮮人虐殺犠牲者遺族の声を聴く集い」

 

関東大震災朝鮮人ジェノサイド100年となった昨年、その国家責任を問う国会質問が通常国会および臨時国会において繰り返しなされました。しかし日本政府は、証拠書類を掲げて国家責任を追求する野党国会議員の質問に対して、全く無感動に、政府としては事実を確認できない、との答弁で一貫しました。

 

関東大震災虐殺の歴史研究家、山田昭次氏はその著書の中で、この関東大震災ジェノサイドの問題は、まず国家責任の問題であるが、同時に民衆責任の問題であることを指摘し、また一人ひとりがまず、自分自身を含めた民衆責任の問題意識を持ってこそ国家責任を追及する地平に立つことができる、と語っています。

 

しかし、私たちが何よりも忘れてはならないことは、あの大虐殺によって愛する家族を失ったご遺族方がこれまで101年間、家族の帰りを待ち続け、その家族が虐殺により命を落としたことを知った後も、どこにも訴える道が開かれず、悲しみと怒りの中、国家責任を追及する道を模索してきたことです。そのようなご遺族に寄り添い、その声を聴き、その地平からご遺族と共に国家の責任を追及していくことこそ、民衆責任のあり方ではないでしょうか。

 

そのために、朝鮮人虐殺から101年目の今年9月を迎えるにあたり、私たちは、韓国から来訪されたご遺族と在日コリアンの関係者からその切なる思いを聴く集いを開催いたします。

 

お話しくださるご遺族と関係者:

・曺光煥さん:韓国居昌郡在住(関東大震災虐殺犠牲者、曺権承氏の曾孫)

・尹峰雪さん:千葉県在住(虐殺目撃者の親族)

 

日時:202492日(月)午後3時~4

会場:日比谷図書文化館コンベンションホール(B1

東京都千代田区日比谷公園1-4(都営三田線内幸町駅A7出口、東京メトロ霞ケ関駅

C4/B2出口)

 

主催:「関東大震災朝鮮人虐殺犠牲者遺族の声を聴く集い」呼びかけ人一同

徐勝(韓国又石大学校東アジア平和研究所長)、金性済(牧師)、呉充功(映画監督)、米津篤八(翻訳家)、外村大(東京大学教授)、山本すみ子(関東大震災時朝鮮人虐殺の事実を知り追悼神奈川実行委員会代表)、西崎雅夫(一般社団法人「ほうせんか」理事)、前田朗(東京造形大学名誉教授)、飯山由貴(美術家)、FUNI(ラッパー)、安田浩一(ジャーナリスト)、鄭栄桓(明治学院大学教授)、石垣のりこ(参議院議員)、新井勝紘(専修大学教授)、高塚恵里子(文化センターアリラン金曜学習会)、金守珍(新宿梁山泊)、松岡みどり(俳優)、鄭剛憲、呉文子(エッセイスト)、加藤直樹(ジャーナリスト)、松岡節子、金時雨、藤本泰成(フォーラム平和・人権・環境顧問)、姜大興さんの想いを刻み未来に生かす集い実行委員会、埼玉・コリア21

以上(順不同、敬称略、2024年8月23日現在)

 

※午後5時より同会場にて、朝鮮人虐殺の史実に迫る呉充功監督『隠された爪跡』と新作プレビュー『名前のない墓碑──関東大震災朝鮮人虐殺100年の歴史否定』が上映されます。

(別途参加費1000円)

Monday, August 19, 2024

ヘイト・クライム研究文献(226)

楠本孝「補遺:『相模原市人権尊重のまちづくり条例』をめぐって」『地研通信』149号(2024年、三重短期大学地域問題研究所)

楠本孝「(仮称)相模原市人権尊重のまちづくり条例答申について」『地研年報』28(2023)の「補遺」である。

https://maeda-akira.blogspot.com/2024/01/blog-post.html

Ⅰ はじめに

Ⅱ 答申と骨子及び条例の主な相違点

Ⅲ 立法事実に関する若干の検討

 1 立法過程における立法事実の意義

 2 規制の及ぶ範囲が十分に限定されていれば、立法事実がなくても許されるのか?

 3 相模原市に立法事実はなくなったのか?

 4 立法事実が薄くても、自治体が掲げる理念に基づいて規制することは許されるか?

 5 小括

Ⅳ おわりに

相模原では、「答申」「骨子」に続いて、243月に条例が制定された。関係者から高い評価を受けた「答申」の重要部分が削除されてしまい、条例制定を求めた市民からは落胆の声が聞かれた。

その原因として、相模原市長の姿勢や、ヘイト集団による攻撃など多様な理由が考えられるが、楠本は、条例制定過程における法理論的検討が不十分であったことを指摘する。

当初は川崎型の条例制定(ヘイト・スピーチに対する罰則)を想定したはずが、罰則抜きの条例にとどまったのは、もともと立法事実に関する法的検討が出来ていなかったためだという。

楠本によれば、川崎と相模原とでは条件・環境が異なるため、川崎と同じ理由付けでの条例制定にはやや難点があり、そのことが露見した時に、相模原の条件に即した立法事実論を展開するべきだったのに、それがなされなかった。むしろ、十分な立法事実がなくても条例制定を、と言う方向に議論が流れてしまった。

「ヘイトスピーチの規制を正当化する根拠を、市民各自の『個人としての尊厳を保ちつつ平穏な生活を送る権利』の侵害に求めるとすれば、相模原市内であったヘイトDVDの投函事例や、審議会からの外国籍委員を排除すべきとの街宣が頻発した事実は、十分に立法事実になりえたと思われる。」

「ヘイトスピーチ規制の保護法益は、市民各自の『個人としての尊厳を保ちつつ平穏な生活を送る権利』を侵害するヘイトスピーチの態様は地域によって異なり得るし、その各々が立法事実である。この立法事実から法益を保護するために必要な最小限度規制すべき行為を定めたものが構成要件とされるべきである。外国人を地域から排斥する内容のパンフレットやDVDを不特定多数の住宅の郵便受けに投函したり、駅や電車、バスの車内で障害を理由に集団で障害者をからかったりする行為は、標的とされた人々の『個人としての尊厳を保ちつつ平穏な生活を送る権利』を侵害する者であると言える。これらの行為をした者に、勧告、命令を発し、それでも繰り返すような場合に、罰則の適用をしたとしても、違憲の謗りを受けることはないと思われる。」

今後の各地における条例制定運動にとって重要な教訓である。

Sunday, August 18, 2024

「脱植民地化の思想」高橋哲哉さんに聞く(第1回) 「沖縄基地引き取りの思想的根拠」

連続インタヴュー講座「脱植民地化の思想」高橋哲哉さんに聞く

1回 沖縄基地引き取りの思想的根拠

『日米安保と沖縄基地論争』を手がかりに

ウクライナ戦争やガザ攻撃をはじめとして戦争、暴力、差別が世界を覆っています。

日本では軍事費倍増、敵基地攻撃論、ヘイト・クライム/スピーチなど平和や平等への攻撃が強まっています。

近現代世界の植民地主義を克服するための思想的営みが求められる現在、脱植民地化の思想を紡いできた高橋哲哉さんに、前田朗がインタヴューします。

1回 沖縄基地引き取りの思想的根拠

『日米安保と沖縄基地論争』を手がかりに

◉日時:1019日(土)開場530分、開会6時~820

◉会場:IKEBiz多目的ホール(としま産業振興プラザ)旧豊島勤労福祉会館、池袋駅西口より徒歩約10

◉参加費(資料代含む):500

★高橋哲哉さんプロフィル:哲学者。東京大学名誉教授。著書に『逆光のロゴス――現代哲学のコンテクスト』(未来社)『記憶のエチカ――戦争・哲学・アウシュビッツ』(岩波書店)『戦後責任論』(講談社)『靖国問題』(ちくま新書)『犠牲のシステム――福島・沖縄』(集英社新書)『沖縄の米軍基地――「県外移設」を考える』(集英社新書)『日米安保と沖縄基地論争――〈犠牲のシステム〉を問う』(朝日新聞出版)など多数。

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1回 沖縄基地引き取りの思想的根拠(24年1019日)

2回 イスラエル・パレスチナとウクライナ戦争(24年127日予定)

3回 現代欧州の歴史認識を問う(252月予定)

4回 日本と東アジアの現状を問う(254月予定)

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主催:平和力フォーラム

電話070-2307-1071E-mail: akira.maeda@jcom.zaq.ne.jp