サンマリノが人種差別撤廃委員会CERD第112会期に提出した報告書(CERD/C/SMR/1.19 December 2019)
今回が初めての報告書。
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刑法第一七九条は次の通り。
「人種的又は民族的優越性又は憎悪に基づく思想をいかなる手段であれ流布し、又は、人種、民族、国籍、宗教又は性的指向及びジェンダー・アイデンティティに基づいて差別行為を行うことを人に奨励し、又は差別行為を行い、又は、人種、民族、国籍、宗教又は性的指向及びジェンダー・アイデンティティに基づいて暴力を行うことを人に奨励し、又は暴力を又は暴力教唆行為をした者は、第二級の刑事施設収容とする。
刑法第九〇条一項一号に示されたように、人種、民族、国籍、宗教又は性的指向及びジェンダーに基づいて差別に加重された犯罪は、いずれも例外なく訴追されるべきである。」
報告書対象期間の刑法第一七九条の事件は、七件ある。五件は捜査段階で終了した。二〇一八年の訴追事件では、二〇二一年一二月二二日に最終判決が言い渡された。日額六〇〇ユーロの罰金刑が言い渡された。もう一件は捜査進行中である。
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CERDがサンマリノに出した勧告(CERD/C/SMR/CO/1. 24 May 2024)
二〇二四年三月二ク日、サンマリノがサイバーいじめ(ネットいじめ)に関する法律を採択したことを歓迎する。ヘイト・スピーチ対策やサイバー犯罪対策を進めていることに留意する。しかし、移住者、アフリカ出身者、東欧出身者に対してヘイト・スピーチがなされているとの報告がある。統計情報がないため、ヘイト・スピーチの規模を測定できない。ヘイト・スピーチの申立て、捜査、訴追、判決に関する統計もない。刑法第一七九条及び九〇条があるが、条約第四条の要請に十分に合致していない。
インターネットやソーシャルメディアのヘイト・スピーチの拡散を止めるため、インターネット・プロバイダー・やソーシャルメディア・プラットフォームと協力すること。人種差別の危険にさらされている集団に対するヘイト・スピーチを防止、非難、闘うための措置を講じること。ヘイト・スピーチに関する信頼できる総合的統計を取ること。移住者、難民申請者、アフリカ系住民に関する偏見や誤情報と闘うキャンペーンを行うこと。人種憎悪を煽動するスピーチ全事件を実効的に捜査し、必要ならば訴追し処罰すること。国会議員行動綱領に、ヘイト・スピーチをした公務員について責任と規律を盛り込むこと。
人種プロファイリングに関する人種差別撤廃委員会一般的勧告第三六号を想起し、国境管理官や法執行官に人種プロファイリングに関する研修を行うこと。警察官その他の法執行官が職務質問や法執行に際して人種プロファイリングをしないようにガイダンスを確保すること。人種プロファイリング、人種差別、虐待の申立て事件すべてを効果的に捜査すること。法律に人種プロファイリング絶対禁止を盛り込むこと。