的場昭弘『未来のプルードン――資本主義もマルクス主義も超えて』(亜紀書房)
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【目次】
序論 ライバル、そして乗り越えるべき反面教師
第一章 プルードンはいつも再起する——彼がつねに呼び出される理由
第二章 プルードンとは何者か——独創的かつ実践的な思想家
第三章 フランス革命の欠陥——「所有」をめぐるプルードンの画期的論考
第四章 マルクス作品への影響——『経済・哲学草稿』などをめぐって
第五章 大事なのは革命ではなく経済である——実践的社会改革派の思想
第六章 マルクスをプルードンで再生させる道——アソシアシオンとコミューン、相互主義と連邦主義
補論 可能性としてのアソシアシオン
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そうか、プルードンか。というか、やられた、プルードンに、という感じだ。
マルクスの読者なら、知らない者のないプルードンだ。
つねに批判対象のプルードン。誰もが乗り越えたプルードン。過去の遺物のプルードン。木っ端みじんのプルードン。だが、ほとんど読まれないプルードン。
マルクス学の第一人者・的場は、『新訳 哲学の貧困』(作品社)を出したばかりだが、そこでは、マルクスによるプルードン批判と、プルードンによるマルクス批判の両方を翻訳し、丁寧に分析している。
マルクスはプルードンの「所有」の概念に衝撃を受け、哲学研究から経済学研究に転じ、経済学批判を生涯の課題とした。
プルードンはさらに変化を遂げ、「所有」批判から、アソシアシオンという画期的な考え方に到達する。
マルクスのキーワード、科学的社会主義、経済学と弁証法、私的所有批判、権威主義的国家、共産主義、その陥穽、アソシアシオン、自由な個人は、いずれもプルードンによって提出されていた。
両社の未来社会論は似ている。似ているが、もちろん異なる。それはどのように似ているのか、どのように異なるのか。
資本主義システムの限界が露呈しつつある今、社会と市民に不平等を招く「垂直的権力構造」の解体を掲げたプルードン主義を再評価することが肝心だ。
的場が投げかける問いは、ポスト資本主義への新しい処方箋だ。