Wednesday, July 18, 2018

インタヴュー講座第8回「表現の自由を守るために」


インタヴュー講座

憲法再入門――立憲主義をとり戻すために




第8回「表現の自由を守るために」



日時:9月15日(土)午後1時30分開場、2時開会

会場:IKE- Biz 多目的ホール(旧豊島勤労福祉会館)

           東京都豊島区西池袋2-37-4

 (池袋駅西口より徒歩約10分、南口より約7分)

      池袋消防署隣

資料代:500円



前田朗(東京造形大学教授)

「表現の自由を守るために――共謀罪からヘイト・スピーチまで」



平和力フォーラム2018

東京都八王子市宇津貫町1556  東京造形大学・前田研究室

042-637-8872070-2307-1071 E-mail:maeda@zokei.ac.jp

協賛団体

アジア・フォーラム横浜、「慰安婦」問題解決オール連帯ネットワーク、沖縄と

東アジアの平和をつくる会、女たちの戦争と平和資料館(wam)、九条科学者の

会、憲法9条―世界へ未来へ連絡会、国分寺9条の会、子どもの未来を望み見る

会、実教出版教科書・五輪読本問題に関し、違法不当な都教委を訴える会、市民

セクター政策機構、スペース・オルタ、東京都学校ユニオン、日本反核法律家協

会、日本友和会、ピースボート、本郷文化フォーラムワーカーズスクール(HO

WS)、マスコミ市民フォーラム、町田「慰安婦」問題を考える会、無防備地域

宣言運動全国ネットワーク、村山首相談話の会

Wednesday, July 11, 2018

目取真俊の世界(8)初の長編小説『風音』


目取真俊『風音』(リトル・モア、2004年)


目取真俊の最初の長編小説だ。もとは『水滴』(文藝春秋、1997年)に収録された短編だが、「風音」が書かれたのは1985年。2003年に映画化された際に脚本とともに、長編小説となった。


特攻隊の若者のしゃれこうべを風が吹き抜けるためにおきる音。笛の音にも鳥の声にも似ているが、それとは違う、風の音。沖縄戦の記憶が風となり、風音となり、人々の心にしみ渡る。沖縄戦の記憶も人それぞれであるが、日本軍兵士、沖縄の住民、子どもたち、いずれも戦争に翻弄された。戦争に引き裂かれた人生を、切ない風音が吹きすぎる。過去と現在を行きつ戻りつしながら、目取真は沖縄の終わらない物語を紡ぐ。


映画『風音』はまだ観ていない。一度観なくては。

https://ja.wikipedia.org/wiki/風音_(映画)

Saturday, June 23, 2018

高橋哲哉・前田朗『思想はいまなにを語るべきか』出版記念会


福島、沖縄、憲法、そして……

高橋哲哉氏へのインタヴュー



2018年・明治維新150周年、2019年・天皇代替わり、2020年・東京オリンピック・・・  

これらを奇貨とし、突き進められる「改憲」。  

私たちは、これに対抗するために、如何に思考し、行動すべきか?  

前田朗が高橋哲哉氏にインタヴューします。



高橋哲哉・前田朗『思想はいまなにを語るべきか』(三一書房)




 日時:7月15日(日)午後14時~17時 (開場13時30分)

 会場:港勤労福祉会館 会議室

・東京都港区芝五丁目182号  

JR田町駅下車、三田口徒歩5分  第一京浜国道沿い  ( 芝5丁目交差点かど)

都営地下鉄三田駅下車  A7出口でてすぐ左隣



◎ 高橋哲哉さん プロフィル  東京大学大学院教授。哲学。著書に『逆光のロゴス』、『記憶のエチカ――戦争・哲学・アウシュヴィッツ』、『デリダ――脱構築』、『戦後責任論』、『証言のポリティクス』、『靖国問題』、『犠牲のシステム――福島・沖縄』『沖縄の米軍基地――「県外移設」を考える』、 Tetsuya Takahashi, Morts pour l’ empereur : La question du Yasukuni, traduit par Arnaud Nanta, Paris, Les Belles Lettres, 2012.



主催:平和力フォーラム 

東京都八王子市宇津貫町1556東京造形大学・前田研究室

電話:042-637-8872 E-mail:maeda@zokei.ac.jp

共催:三一書房 

東京都千代田区神田神保町3-1-6

電話:03-6268-9714 E-mail:info@31shobo.com

HP:https://31shobo.com

性奴隷とは何か  国際人権法から見た「慰安婦」問題


性奴隷とは何か

国際人権法から見た「慰安婦」問題



7月6日(金)午後2~4時(開場1時半)

町田市民ホール・第3会議室

小田急線町田駅西口から徒歩7分,

町田市役所市民ホール前バス停から徒歩1分



「性奴隷とは何か 国際人権法から見た「慰安婦」問題」

前田 朗(東京造形大学教授)

参加費:事前申込制/講演300円(パネル展とセットで500円)



主催:「戦争と女性」パネル展示実行委員会

090-1258-9088

市民のための実践国際人権法講座第9回


市民のための実践国際人権法講座第9回

NO! 女性への暴力



7月1日(日)13:30~

吉祥寺南町コミュニティセンター

JR吉祥寺駅から徒歩10分)



「国際社会から見た日本軍性奴隷制問題」

講師:前田朗(東京造形大学教授)



主催:沖縄と東アジアの平和をつくる会

Saturday, June 16, 2018

「慰安婦」問題の現在6.30同志社大学


日本軍「慰安婦」問題=戦時性奴隷制問題は、91年の金学順さんの勇気ある告発以来、戦時性暴力に対する国際社会の認識を大きく変化させ、また戦争犯罪に対する不処罰の連鎖を食い止めようとする国際的な運動へと繋がってきました。

 そうした動きと連動して、歴史研究を始めとして日本における研究では、「慰安婦」問題とは、慰安所制度を作り出した日本帝国政府の国家的な犯罪。軍事性奴隷制であったことも明らかにされています。

 他方で、現在の日本社会では、あたかも「慰安婦」問題は過去の出来事、あるいは韓国とのナショナリズムをめぐる政治問題であるかのような論調が増え、日本政府は近年、奴隷制であることを否定し、93年の河野談話以前に戻ってしまったかのような態度を国際社会に向けてとり続けています。

 本シンポジウムでは、日本史、国際法、そして現在日本の政治状況から、なぜこのような事態を招いているのかを、参加者の方とともに考えたいと思います。



シンポジスト

長 志珠絵(神戸大学:『「慰安婦問題」を/ から考える』編者)

前田朗(東京造形大学:『思想の廃墟から』著者)

岡野八代(同志社大学:『思想の廃墟から』著者)


日時 630日(土曜) 午後1- 3

場所 同志社大学志高館

烏丸キャンパス

主催 同志社大学フェミニスト・ジェンダー・セクシュアリティ研究センター(FGSSセンター)

Thursday, June 14, 2018

インタヴュー講座<憲法再入門>第7回


国のかたちと家族のかたち

清末愛砂

日時:7月21日(土)開場午後1時30分、開会午後2時~閉会午後5時

会場:青山学院大学総研ビル1119会議室

資料代:500円           インタヴュアー:前田朗

★清末愛砂(きよすえ・あいさ)さん:室蘭工業大学大学院准教授。専門は憲法学、家族法学。主な著書に『緊急事態条項で暮らし・社会はどうなるか』、『これでいいのか!日本の民主主義――失言・名言から読み解く憲法』、『自民党改憲案にどう向き合うか』(以上現代人文社)、『右派はなぜ家族に介入したがるのか』(大月書店)、『北海道で生きるということ』(法律文化社)など多数。



 主催:平和力フォーラム

192-0992 東京都八王子市宇津貫町1556 東京造形大学・前田研究室

042-637-8872  070-2307-1071(前田)   E-mail:maeda@zokei.ac.jp

Tuesday, June 05, 2018

国際人権入門講座2018・第1回


ごぞんじですか 人権保障の国際基準

国際人権入門講座2018・第1回

日本の常識=世界の非常識



第1回

「国際的な人権保障の仕組み どうなっているの?」

前田 朗(東京造形大学教授)



6月15日(金)18:30~20:00

会場:青山学院大学・総合研究ビル8階第10会議室

東京都渋谷区渋谷4-4-25



第2回

9月28日(金)18:30~20:00

第3回

12月10日(予定)



参加費:1回500円、3回1200円



主催:国際人権活動日本委員会

03-3943-2420

Saturday, June 02, 2018

ヘイト・クライム禁止法(147)アルゼンチン


  アルゼンチン政府が人種差別撤廃委員会に提出した報告書(CERD/C/ARG/21-23. 28 February 2016)によると、ラジオ・テレヴィにおける差別の監視のため、オーディオヴィジュアル通信機構や国立女性委員会が協力して、差別的内容が含まれている放送番組の制作や内容の分析、差別に抗する代替番組の発展のための支援、差別と闘うための方とガイドラインに関する助言、問題となった番組や広告が本当に差別言説を含むか否かの研究を行っている。オーディオヴィジュアル通信機構の研究成果はウェブサイトを通じて公開される。

 政府は市民社会組織と連絡・協力し、財政支援、援助、研修も行っている。二〇一一年一二月、政府は文化・宗教・民族の分断領域における調査・発展・研修センターを設置し、アルメニア人、ユダヤ人、イスラム教徒、ラヌス大学、宗教省事務局と連携している。センターの主要目的は、公的セクターにおける差別のン代への関与のための共同研究の促進である。

 一九八八年の差別行為の犯罪化法第一条は差別行為に対して民事罰を課すこととし、損害賠償も命じている。第三条は、人種、宗教、国籍又は政治イデオロギーに基づく迫害又は憎悪の煽動に関する犯罪を、一年以上三年未満の刑事施設収容としている。第二条は、刑法犯が人種、宗教、国籍の迫害又は憎悪による場合や、特定の集団の全部又は一部を破壊する目的で行われた場合、最小で三分の一、最大で二分の一の刑罰加重事由を定める。第六条は、公共に開かれた施設の所有者、組織者、責任者が憲法上の平等原則に違反し、警察や裁判所が差別に関する申立てを受理する義務を履行しなかった場合、五〇〇以上一〇〇〇ペソの罰金とする。

 人種差別撤廃委員会はアルゼンチン政府に次のように勧告した(CERD/C/ARG/CO/21-23. 11 January 2017)。アルゼンチンは条約に従って人種差別を定義していないので、委員会の一般的勧告三五を考慮して、条約第四条に記述された行為を犯罪とすること。二〇〇九年以来、オンブズマンの席が空席となっているので、オーディオヴィジュアル通信のためのオンブズマンを指名すること。


Friday, June 01, 2018

インタヴュー講座<憲法再入門>第6回 


インタヴュー講座<憲法再入門>第6回 



斎藤貴男(ジャーナリスト)

「戦争経済大国」日本の真実――他国の人々の屍と引き換えに得た「平和」と「繁

栄」



7月14日(土)14:00~17:00

神奈川地域労働文化会館(通称:自治労神奈川県本部会館)

横浜市営地下鉄阪東橋駅下車徒歩3分

資料代:500円



斎藤貴男さん:監視、格差、企業社会、強権支配などをノンフィクションの手法

で批判してきたジャーナリスト。著書に『カルト資本主義』『機会不平等』『民

意のつくられ方』『ルポ改憲潮流』『戦争のできる国へ 安倍政権の正体』『戦

争経済大国』等多数。



主催:平和力フォーラム2018

事務局:横浜実行委員会

080-4536-3505、090-8818-1431

Wednesday, May 09, 2018

ヘイト・クライム禁止法(146)イギリス


イギリス政府が人種差別撤廃委員会に提出した報告書(CERD/C/GBR/21-23. 16 July 2015.)によると、イギリス法は人種憎悪を煽動することを禁止し、オンラインでもオフラインでも、個人に対するものにも適用される。長い伝統として、個人には、住民の多数派の意見に反対する意見を持ち、表明する言論の自由を保障してきた。政府は、言論の自由を維持しつつ、個人を暴力と憎悪から保護することの両者のバランスを取ることが重要と考える。政府はメディアの内容を統制しないが、ジャーナリストには人種憎悪を煽動しない責任がある。人種差別は2010年の平等法によって禁止されている。独立プレス基準機構は差別を禁止し、差別記事からの個人の保護を目的としている。

 編集者協会は政府の支援のもと、オンライン管理者に、ユーザーがウェブサイト新聞に投稿した際に人種、信仰、性的志向、トランスジェンダー又は障害に基づいて憎悪を煽動しないように確保するためのガイドを出版した。

 情報通信庁放送綱領は、犯罪を惹起するかもしれないオンスクリーンの差別を扱う。犯罪を惹起しかねない記事については、その内容から正当化できるようなものとしなければならない。放送者は、その内容が編集上正当化されるものでなければ、人種的内容や記事を回避しなければならない。放送者は文化的な分断に注意する必要がある。

 2010年、情報通信庁は、差別的記事を含む攻撃的な言語に関する視聴者の意見を調査した。情報通信庁によると、攻撃的言語や差別的言語の性質に関する理解が重要である。2011年には、テレビにおける民族的マイノリティの表象に関する分析が行われた。

 前回審査において人種差別撤廃委員会は、イギリス政府に条約第4条についての解釈宣言の撤回を勧告したが、イギリスは解釈宣言を維持する。

 人種差別撤廃委員会はイギリス政府に対して次のように勧告した(CERD/C/GBR/CO/21-23. 26 August 2016)。2016年6月に実施されたイギリスのEU離脱をめぐる住民投票の前後を通じて人種主義的ヘイト・クライムが急増した。住民投票キャンペーンが分断を煽り、反移民と排外主義の言説を多用し、政治家や有名人がそれを非難せず、偏見を強化する発言をした。最近のヘイト・クライムの増加し、多くの事例が不処罰のままであることに強い関心を有する。委員会は、ヘイト・クライムを捜査し、実行者を訴追し処罰するよう勧告する。ヘイト・クライムに関する情報を系統的に収集し、人種主義ヘイト・クライムと闘うよう勧告する。人種主義ヘイト・クライムの報告を強めるように具体的措置を採用するよう勧告する。人種主義ヘイト・スピーチに関する一般的勧告35を考慮して、人種主義的ヘイト・スピーチ、排外的政治家発言、と闘う包括的措置を講じるよう勧告する。人種主義的メディア記事と闘う効果的措置を講じるよう勧告する。それゆえ、条約第4条についての解釈宣言を撤廃するよう勧告する。


今回の政府報告書には、法律の内容紹介がないのは、これまでに報告しているのと同じだからである。判例等の具体的事案の紹介もなされていない。なお、イギリスのヘイト・スピーチ法については師岡康子及び奈須祐治の論文が詳しい。

Sunday, April 29, 2018

デーモンクラシーといかに闘うか ――『思想の廃墟から』出版記念公開書評会


デーモンクラシーといかに闘うか

――『思想の廃墟から』出版記念公開書評会



民主主義の中にはデーモンが隠れていないだろうか。

あるいは、民主主義の中からデーモンが生まれてくるとしたら。

戦争責任、戦争犯罪、象徴天皇制、靖国参拝、「慰安婦」問題、自衛隊

日米安保、沖縄米軍基地、核兵器、原発事故、原発再稼働……

私たちの民主主義とはいったい何だったのか。

何度も問われてきたはずの問いを、今なお私たちは問い続けなくてはならない。


鵜飼哲・岡野八代・田中利幸・前田朗『思想の廃墟から――歴史への責任、権力への対峙のために』(彩流社)の出版を記念して、公開書評会を開催します。ぜひご参加ください。


日時:6月17日(日)開場13時30分、開会14時~閉会17時

会場:東京しごとセンター講堂(飯田橋) 

飯田橋駅から:JR中央・総武線「東口」より徒歩7分、都営地下鉄大江戸線・東京メトロ有楽町線・南北線「A2出口」より徒歩7分、東京メトロ東西線「A5出口」より徒歩3

参加費(資料代含む):500円



<書評&リプライ&討論>

中野敏男(東京外国語大学)  

早尾貴紀(東京経済大学)

鵜飼 哲(一橋大学)       

前田 朗(東京造形大学)



主催:『思想の廃墟から』出版記念公開書評会実行委員会

連絡先:平和力フォーラム

192-0992 東京都八王子市宇津貫町1556 東京造形大学・前田研究室

042-637-8872  070-2307-1071(前田)   E-mail:maeda@zokei.ac.jp

Friday, April 20, 2018

目取真俊の世界(7)初期短編集の輝き


目取真俊『平和通りと名付けられた街を歩いて』(影書房、2003年)


「魚群記」

「雛」

「蜘蛛」

「平和通りと名付けられた街を歩いて」

「マーの見た空」


「琉球新報」に掲載された「魚群記」が1983年、「新沖縄文学」に掲載された「蜘蛛」が1987年。1960年生まれの目取真の20歳代の作品群である。

いずれも少年・青年期の体験や記憶を手がかりに、想像力を膨らませて描いた小説だ。沖縄戦や米軍基地問題など政治を素材とした作品が目立つ目取真だが、『群蝶の木』がそうであったように、身辺の出来事からはいりながら、その先にある未知の体験への期待と不安を存分に漂わせた心理劇の世界を作り出す。少年の目に焼き付いた美と醜のアンバランスな対比、優しさと過激な暴力が衝突する人間模様。鮮やかな忘れがたい光景と記憶の彼方に押しやりたい光景、美臭が腐臭に転化する瞬間、目配せの途端に反転する世界。沖縄北部の村や那覇で立ち昇る歴史と悲鳴と残響。

「平和通りと名付けられた街を歩いて」は、皇太子夫妻の来沖を控えた那覇の平和通り周辺での出来事をスラップスティック風に描き出す。抑圧する権力、権力を内面化せざるを得ない庶民、だが、内面化に抗して吹き出す民衆の乱舞と哄笑。少年の目を通して、そしてオバーの生き様を通して、天皇制に貫かれた日本と、天皇制に侵されはじめた沖縄の悲劇と喜劇を巧みに提示する。路地のそこかしこに、やんちゃな歴史と記憶がひしめき、ぶつかりあい、くすぐりあっている。後の目取真の沖縄政治文学を予告する記念碑的作品だ。

Thursday, April 19, 2018

<憲法再入門>第5回 飯島滋明「安保法制違憲訴訟の現状」


インタヴュー講座<憲法再入門――立憲主義をとり戻すために>第5回




「安保法制違憲訴訟の現状」

飯島滋明(名古屋学院大学教授)

日時:6月9日(土)開場午後1時30分、開会午後2時~閉会午後5時

会場:IKE Biz 多目的ホール(としま産業振興会館、旧豊島勤労福祉会館)


資料代:500円

インタヴュアー:前田朗


飯島滋明(いいじま・しげあき)さん:名古屋学院大学教授。専門は憲法学、平和学。主な著書に『国会審議から防衛論を読み解く』((三省堂)、『安保法制を語る!――自衛隊員・NGOからの発言』、『これでいいのか!日本の民主主義――失言・名言から読み解く憲法』(以上現代人文社)、『すぐにわかる 集団的自衛権ってなに?』(七つ森書館)など多数。



主催:平和力フォーラム

192-0992 東京都八王子市宇津貫町1556 
東京造形大学・前田研究室

042-637-8872  070-2307-1071(前田)   

E-mail:maeda@zokei.ac.jp


Friday, April 13, 2018

ヘイト・クライム禁止法(145)パラグアイ


パラグアイ政府が人種差別撤廃委員会に提出した報告書(CERD/C/PRY/4-6. 5 January 2016)によると、2011年に国内人権計画草案が作成された。計画は、司法省のガイダンスに基づいて人権ネットワークが、政府諸官庁、市民社会組織、大学と協力し、国連人権高等弁務官事務所の支援のもとに作成した。計画は一部修正のうえ、2013年に最初の国内人権計画として発効した。同計画の下で、政府は差別概念を「偏見に基づいた、人間の尊厳に反する区別であり、ある集団の構成員を異なる者、劣等な者として扱うこと」とした。もっとも重要な形態では、差別は性質上構造的なものとなり、住民の一部が、複合的な社会文化的慣行ゆえに、社会の他の者と同一の権利を享受することができない。

国家情報規制・基準・調査センターが作成した広告自主規制規範は差別と侮蔑を予防する規則を提示している。刑法233条は差別を禁止して、「人々の調和的な共存を妨げる方法で、他人を、彼/彼女の信仰に基づいて、公然と、集会で又は第14条で言及された出版で、侮辱した者は、3年以下の刑事施設収容又は罰金に処する」としている。刑法14条は出版について文書、オーディオ記録、ヴィデオ記録、その他のメディア記録と定義している。

1981年の法律940号により先住民族問題国家機関が設立され、自立した法人格を持っている。政府との関係は教育文化省のもとにあるが、先住民族問題国家機関は立法機関や司法機関と直接関係を有する。先住民族問題国家機関の任務は、先住民族の権利を実現・擁護することである。そのための政策立案、公的機関や私機関との連携、そのための先住民共同体への科学的法的財政的支援等である。

人種差別撤廃委員会はパラグアイ政府に次のように勧告した(CERD/C/PRY/CO/4-6. 4 October 2016)。パラグアイ法においては条約第1条の差別の定義も、条約4条に掲げられた人種差別行為も明示されていない。一般的勧告7号及び15号に照らし、一般的勧告35号を考慮して、条約4条に掲げられた全ての人種差別行為を犯罪とするよう促す。人種に関連する動機を刑罰加重事由として考慮するよう勧告する。

Friday, April 06, 2018

<憲法再入門>第4回 田中利幸「日本国憲法の光と影」


インタヴュー講座<憲法再入門>第4回 

平和力フォーラム2018




第4回「日本国憲法の光と影――憲法全文・9条と1章『天皇』の根本的矛盾」

田中利幸(歴史家、「8・6ヒロシマ平和へのつどい」代表)



日時:5月20日(日)開場午後13時30分、開会14時~17時閉会

会場:スペースたんぽぽ(4F)

千代田区三崎町2-6-2 ダイナミックビル4F

03-3238-9035



JR水道橋から5分。



資料代:500円



プロフィル

田中利幸(たなかとしゆき):歴史学、戦争犯罪史。著書に『知られざる戦争犯罪――日本軍はオーストラリア人に何をしたか』(大月書店)、『空の戦争史』(講談社現代新書)、『再論東京裁判――何を裁き、何を裁かなかったのか』(共編、大月書店)、『思想の廃墟から』(共著、彩流社)。Japan’s Comfort Women: Sexual Slavery and Prostitution during World War Ⅱand the US Occupation(Routledge, 2002). Hidden Horrors: Japanese War Crimes in World War Ⅱ(Second edition, Rowman & Littlefield, 2017). Bombing Civilians: A Twentieth-Century History (Co-edited, New Press, 2010).



インタヴュアー:前田朗



主催:平和力フォーラム

192-0992 東京都八王子市宇津貫町1556

東京造形大学・前田研究室

042-637-8872

070-2307-1071(前田)

E-mail:maeda@zokei.ac.jp


Friday, March 30, 2018

<憲法再入門>第3回 清水雅彦「安倍政権の改憲論を斬る」


インタヴュー講座<憲法再入門>第3回 

平和力フォーラム2018

http://maeda-akira.blogspot.jp/2018/01/blog-post_66.html



第3回「安倍政権の改憲論を斬る」

日時:5月19日(土)会場13時30分、開会14時~17時閉会

会場:ラパスホール(東京労働会館)

東京都豊島区南大塚2-33-10

http://www.ne.jp/asahi/kyokasho/net21/gyojimap_rapasuhoru.htm

資料代:500円



清水雅彦(日本体育大学教授)

プロフィル:

清水雅彦(しみず・まさひこ):日本体育大学教授(憲法学)。戦争をさせない1000人委員会事務局長代行、九条の会世話人。主著に『憲法を変えて「戦争のボタン」を押しますか?――「自民党憲法改正草案」の問題点』(高文研)『緊急事態条項で暮らし・社会はどうなるか――「お試し改憲」を許すな』(現代人文社)『新福祉国家構想5 日米安保と戦争法に代わる選択肢――憲法を実現する平和の構想』(大月書店)『すぐにわかる 戦争法=安保法制ってなに?』(戦争をさせない1000人委員会)『いまこそ知りたい平和への権利48Q&A』(合同出版)『秘密保護法から「戦争する国」へ』(旬報社)『憲法未来予想図』(現代人文社)など多数。



インタヴュアー:前田朗



主催:平和力フォーラム

192-0992 東京都八王子市宇津貫町1556

東京造形大学・前田研究室

042-637-8872

070-2307-1071(前田)

E-mail:maeda@zokei.ac.jp

Tuesday, March 20, 2018

場所の力、美術の力


宮下規久朗『美術の力――表現の原点を辿る』(光文社新書)


20日の国連人権理事会は、議題7の占領下パレスチナにおける人権状況の審議が行われた。占領下パレスチナにおける人権状況という議題は、国連人権委員会以来数十年続いてきたテーマだ。アメリカの支援を受けたイスラエルが開き直り、時々軍事攻撃に出て、壁を作り、住民の人権を丸ごと剥奪している。今回は、トランプのイェルサレム米大使館問題が起きたので、なおのこと各国が厳しい批判をした。数十カ国がイスラエルによる人権侵害を非難し、10数カ国はトランプを名指しした。多数のNGOもアメリカを批判した。一部のNGOが逆に「イスラエルだけを一方的に非難するな」などと言うので、アドリブで「一方的に侵略するな。一方的に殺すな」と述べたNGOもあった。


宮下規久朗は学芸員時代から新書で多数の美術書をだし、我々一般読者に美術の素晴らしさを教えてきた。現在は神戸大学大学院教授だ。専門はカラヴァッジョだったという。新書本は結構読んできた。美術評論家としては、 個人的には宮下誠のファンだったが、同じ宮下の宮下規久朗の本もよく読む。


本書の冒頭はイスラエルへの旅だ。戦争や拷問のイスラエルではなく、ナザレ、テチィベリア、クムラン、ベツレヘム、イェルサレム、つまりキリストの事績の巡礼である。ヴィア・ドロローサ、ゴルゴダ、ベツレヘムのクリプタ。これらを訪れた宮下は、場所の力という。カインド内の美術館制度の下では、美術作品は美術館の展示空間に置かれ、それを見に行く。その場合は、美術作品の単体の力だけが対象となる。これに対して、イェルサレムやベツレヘムへの巡礼では、そこでなければ見ることができず、そこでなければ感じることのない何かに突き動かされることになる。場所の力である。両者が重なるのが理想かもしれないが、そううまくはいかない。


美術の力と場所の力が重なった瞬間として、一つだけあげておこう。2008年だっただろうか。ベルンのパウル・クレー・センターに、クレーの「新しい天使」が展示された。ベンヤミンが「歴史の天使」と名付け、死ぬまで持っていたことで有名なあの「新しい天使」は、イェルサレム美術館に収蔵されている。クレーもベンヤミンもユダヤ系であるが故にナチスに迫害され、クレーはスイスの実家に逃げ帰り、ベンヤミンは亡命しようとして亡くなった。その「新しい天使=歴史の天使」は、皮肉なことに、パレスチナ人民を迫害し、虐殺し、拷問しているイスラエルの所有物となっている。それがベルンに里帰りしたとき、場所の力と美術の力が重なったと言えるだろう。そのままベルンにおいてほしかった。


本文の多くはイタリア美術と日本美術の真価の紹介である。ヴェネツィア、フィレンツェなどイタリア美術、ティツィアーノ、ボッティチェリ、ギルランダイオ、アンチンボルド、カラヴァッジョ、グエルチーノの凄みを紹介した後、日本に飛んで浮世絵や、近代美術(松本喜三郎、東郷青児、河野通勢、山本鼎、小磯良平、藤田嗣治・・・)を見る。その上で、美術館と美術をめぐる考察に入る。新聞連載コラムをまとめた本のため、体系性はなく、話はあちらへ行ったりこちらへ行ったりだが、宮下ならではの学識と、読みやすい文章で読者を引きつける。


HURLEVET, Valais,2016.

Monday, March 19, 2018

部落解放運動の歴史を踏まえ、人権運動の未来へ(2)


谷元 昭信『冬枯れの光景 部落解放運動への黙示的考察(下)』(解放出版社、2017年)





目次

第三部●同対審答申と「特別措置法」時代への考察〔同和行政・人権行政論〕

 第一章…同対審答申にいたるまでの時代背景

 第二章…同和対策審議会答申の基本精神とは何か

 第三章…同対審答申具体化のための取り組み

 第四章…「特別措置法」時代三三年間の同和行政の功罪

 第五章…「特別措置法」失効後の同和行政の混乱とその原因

 第六章…同和・人権行政の基本方向と今日的課題

 第七章…「福祉と人権のまちづくり」の拠点としての隣保館活動

 第八章…同和教育の歴史的経緯と人権教育の今日的課題 

 第九章…「部落差別解消推進法」制定の意義と課題 


 第一章…根源的民主主義論からの部落解放運動の再構築

 第二章…「部落解放を実現する」組織のあり方

 第三章…部落問題認識にかかわる論点整理と問題意識

補遺二稿●

 第一章…戸籍の歴史と家制度の仕組みに関する考察

 第二章…部落差別意識と歴史的な差別思想に関する考察 

おわりに 「全国水平社一〇〇年への思い」


第三部「同対審答申と「特別措置法」時代への考察〔同和行政・人権行政論〕」では、同対審答申が部落差別が現存し、部落問題解決は国の責務であることを認め、部落問題にかかわる偏見を批判し、日本社会の構造的欠陥を分析し、同和行政を日本国憲法に基づく行政に位置づけたことなど積極面を確認する。次いで部落解放基本法制定運動の意義を振り返る。同和行政については、その重要な意義を強調しつつも、「特別措置法」時代に形成された行政依存体質などさまざまの問題を抱えることになったことが、特別措置法失効後の同和行政の混乱につながったことを再検証する。また、最近の部落差別解消推進法の意義と課題も論じている。


第四部「部落解放理論の創造的発展への考察〔部落解放論〕」では、まず「根源的民主主義論からの部落解放運動の再構築」を掲げ、部落解放運動が社会連帯をめざす「外向きの運動」になっていくためには、民主主義の根源的理解を踏まえる必要があるという。民主主義の根本原理を「平等・参加・自治」に求め、部落解放運動においては、第一に「抵抗権」に立脚して、差別実態に対する「糾弾」の社会的正当性を確保すること、第二に、「人権の法制度」(差別撤廃、人権擁護・促進のシステム)を確立すること、第三に「人権のまちづくり」運動の推進、第四に自立・共生の人権文化を創造する人権教育・啓発活動の徹底、第五に「人間を尊敬することによって自ら解放」する人間へと成長するための絶えざる自己変革である。こうした問題意識から、著者は部落解放同盟の二〇一一年綱領が掲げた基本目標一三項目をさらに具体化する必要性を強調する。

著者のいう根源的民主主義とは、民主主義の歴史的な発展についての理解が前提となっている。第一段階は古代ギリシア型民主主義、第二段階は近代西欧型民主主義、第三段階は現代民主主義であり、根源的民主主義である。民主主義の根源的把握の第一の課題はルソーの一般意思に立脚した原則である。第二の課題は古代ギリシアのデーモスにさかのぼる平等概念である。第三の課題は自由と平等という基本概念における位相転換の必要性である。著者は根源的民主主義を、普遍的な民主主義の根本原理によって過去の民主主義の歴史的限界を克服し、民主主義の本来のあり方を具体化していくことと位置づける。未完の民主主義を完成させていく過程をいかに実現していくかが重要となる。

 そのために、「部落解放を実現する」組織のあり方を論じ、その上で部落問題認識にかかわる論点整理と問題意識を披瀝している。


本書は「全国水平社一〇〇年」へ向けた解放理論の再構築の書である。「冬枯れの光景」とあるように、現状の部落解放運動の肯定的側面のみならず、否定的側面面をも見据えて、足場を固めながら、国際人権に至る広い射程で解放と人権の理論を模索している。その意味で、現代人権論の研究と提言でもあり、現代民主主義論の応用編でもある。部落解放運動だけでなく、現代日本における多様な人々、さまざまなマイノリティの人権擁護運動にとっても大いなる参照軸を提示している。


根源的民主主義論については、さらに検討が必要と思われる。民主主義は、統治の形態であり、理念であり、手続過程論であり、同時にいまや政治的経済的社会的な価値実体にもなりつつある。多様な民主主義観が登記されている。その中で著者の根源的民主主義がどのような位置を占めるのか、まだよくわからない点もある。

『脱原発の哲学』の著者である佐藤嘉幸と田口卓臣は、脱原発・脱被曝のためにラディカル・デモクラシーを唱える。その佐藤嘉幸と広瀬純の『三つの革命』は抵抗の論理を、労働者、マイノリティ、動物のそれぞれに定位して構築している。市民が客体化の罠を逃れ主体化する論理でさえも、そこに服従の論理が内在してしまう、複雑な人間社会における存在と自己生成と抵抗のモチーフはいかにして我が物としうるのか。

民主主義が民衆主義ならぬ大衆主義の果てにファシズムに転化しない保障を論理的かつ実践的に配備する手立てはどこに見定められるのだろうか。

目取真俊の世界(6)今も続く戦争と占領に抗して


目取真俊『沖縄「戦後」ゼロ年』(生活人新書・NHK出版、2005年)


第一部 沖縄戦と基地問題を語る

Ⅰ はじめに~「戦後六十年」を考える前提

Ⅱ 私にとっての沖縄戦

Ⅲ 沖縄戦を小説で書くこと

Ⅳ 基地問題

第二部 <癒しの島>幻想とナショナリズム


戦後60年の2005年に沖縄の「戦後」ゼロ年を対置し、戦後日本の平和主義や民主主義が、沖縄の犠牲の上に成り立ちながら、そのことを自覚せずに平和を享受している本土の人々に目取真が突きつけた本だ。

「私の取とっての沖縄戦」では、1960年生まれの目取真が、両親や祖父母の歴史、語り、経験、沈黙を通して、沖縄戦をいかに受け止め、考えるようになったかが明らかにされる。沖縄戦で家族を失い、友人を失った沖縄の人々にはそれぞれの体験と記憶があり、激しい悔恨と痛哭の叫びがあり、語ることのできない物語がある。記憶されず、語られずに消えていった戦争体験がある。目取真は、沖縄で生きる庶民の目線で沖縄戦を語ることの意味を追求し続ける。

「沖縄戦を小説で書くこと」では、小説家として改めて沖縄戦を問い直す作業を経た時点での目取真の方法意識が語られる。戦争の記憶をいかに共有するのか。民衆の体験と記憶をいかに書き留め、再構成するのか。アメリカの情報公開によって次々とみることができるようになった映像についても、そこには一定の事実が撮影されているが、米軍の視点で切り取られた現実に限られることに注意を喚起する。あくまでも「庶民の視点」にこだわる。それだけに沖縄を犠牲にした最高責任者でありながら無責任を貫いた昭和天皇について次のように明言している。

「『国体護持』という自己保身のために戦争を長引かせ、沖縄を「捨て石」にしたこと。さらには『天皇メッセージ』をマッカーサーに送って沖縄をアメリカに売り飛ばしたこと。それらへの反省もなければ、みずからの戦争責任をごまかし続けた小心な男が、恥ずかしげもなく沖縄の地を踏むことが許されるはずはありません。生きたウチナンチュー達が天皇来沖を阻止できないことを知った沖縄戦の死者達が、沖縄の地を踏ませまいと、あの世に早く招いてやった。私にはそう思えてなりませんでした。」

第二部は2003年に行われたインタヴューの記録である。基地を押しつけながら、基地問題を隠蔽するために<癒しの島>幻想が振りまかれることに対する異議申し立てである。沖縄の教育におけるゆがみや、教科書問題に言及した後、「イデオロギーとしての<癒し系>沖縄エンターテインメント」について、当時流行していた中江裕司監督の『ホテル・ハイビスカス』を例に、非政治的なポーズを取る文化産業の政治性をえぐり出す。ただ、癒しの共同体が、沖縄とは関係のない天皇制に巻き込まれるルートがあることも指摘される。


出版から13年後になるが、主要論点に何一つ変化はない。基地押しつけの露骨さはいまや直接暴力となって沖縄に襲いかかっている。沖縄戦の記憶の抹消、米軍基地問題のごまかし、基地被害の繰り返し、沖縄文化の消費――アメリカと日本の<癒し>のために沖縄が消費され、差別され、うち捨てられる。そのことへの怒りを失うまいとする目取真、言葉で小説で表現しようとする目取真。その怒りを誰が読むのか。誰が受け止めるのか。


UPR日本結果文書採択に際して福島からアピール


19日の国連人権理事会は、16日のスケジュールがそのまま移動した。朝の内に人種差別撤廃デー記念のシンポジウムを行った。続いて、普遍的定期審査(UPR)で、ベニン、パキスタン、ザンビア、日本、ウクライナ、スリランカの順。午後2時前後に日本の番だった。

UPR本審査は昨年11月に行われ、その結果、多数の諸国から日本に改善勧告が出された。これを受けて、3月1日に日本政府は、勧告を受け入れるものと、受け入れないものに分けて回答した。多くの国が、受け入れるか拒否するか、を回答する。日本の回答は、前向きに検討するといったタイプで、実際は拒否だ。今回は、日本政府が発表した結果を報告し、これを人権理事会本会議で採択する手続きであり、要するにセレモニーだ。ただ、そのセレモニーの中でも、NGOに発言の機会が与えられるので、どの国の手続きにも、NGOが参加して発言する。発言の内容は、主に、その政府が拒否した勧告についてのコメント、あるいは、昨年11月以後の出来事を取り上げて、改善を求める発言である。

19日午後、まず日本政府代表が挨拶をかねて発言。続いて10カ国ほどが、それぞれ日本政府の努力を歓迎する形式的発言をした。それからNGOである。NGOの発言時間は全体で10分と限られている。一つのNGOが1分か1分30秒しかないので、どのNGOも端的に要求事項を突きつける。また、事前に登録していても、時間が過ぎると終了になるので、発言できないNGOも出る。数年前、私は11番目で、10番までで終了となり涙を呑んだことがあった。

NGO冒頭の発言は、反差別国際運動(IMADR)で、人種差別撤廃NGOネットワークの意見を含めて、人種差別撤廃法を日本政府が拒否していることを指摘し、独立した人権委員会が設置されていないことにも言及、日本政府に人権促進の行動計画を作成するよう求めた。次に国際民主法律家協会(IADL)が福島の被災者・避難者の権利が保障されていないこと、UPRのオーストリア等の勧告を受け入れるべきことを指摘した。オランダのNGOの対日道義請求財団は、戦中のインドネシアにおけるオランダ人被収容者の権利、補償について発言した。アムネスティ・インターナショナルは、死刑など刑事人権について発言した。グリーンピースは、福島の被災者である森松明希子さんが自己紹介をして、被曝の恐怖と健康侵害、子どもたちの健康への不安を訴え、日本政府が生存権を保障していないと述べた。のびやかで大きな声だったので、みんなによく聞いてもらえたと思う。ヒューマンライツ・ナウも福島の被災者の権利を訴えた。フランシスカン・インターナショナルは沖縄の人々の権利を取り上げた。

最後に、日本政府が少し発言し、沖縄人は日本人と同じであり先住民族ではないとか、福島については復興に力を入れているとか、言っていた。日本政府の言う復興に人間的復興が入るかどうかが問題だが。

こうしてUPR日本の結果文書が採択された。次回のUPRは4年後になる。


人権条約機関による日本報告書の審査は、18年8月に人種差別撤廃委員会の4回目の審査が予定されている。それと子どもの権利委員会の審査も18年か19年には回ってくるはずだ。

『刑罰制度改革の前に考えておくべきこと』(4)


本庄武・武内謙治編『刑罰制度改革の前に考えておくべきこと』(日本評論社)


本書第3部「国際的動向」には4本の論文が収められている。

大谷彬矩「ドイツにおける処遇の位置づけの動向」

相澤育郎「フランスにおける作業義務の廃止と活動義務の創設」

高橋有紀「イギリスにおける拘禁刑改革――白書『刑務所の安全と改革』を中心に」

寺中 誠「マンデラ・ルールズは刑罰改革の旗印となるか――国際基準としての被拘禁者最低基準規則」


独仏英の紹介があり、米がないのはたまたまだろう。刑事法学、とくに処遇に関しては、この4カ国、及びオランダ、ノルウェー、スウェーデンなどの紹介がなされてきた。理由は、以前からそうだった、だけなのだが。ともあれ、独仏英における改革のあり方、歴史的社会的背景の相違と、改革を巡る議論におけるある種の共通性、日本で議論するために参考になる面と、参考にしてはいけない面などが明らかにされている。

国際人権法としてマンデラ・ルールズが取り上げられている。1957年の被拘禁者処遇最低基準規則SMRが、2010年から改訂作業に入り、2015年に改訂にたどり着くまでの経過を整理し、そこでの重要論点を紹介し、被拘禁者の人権保障とプライバシー保護、医療やヘルスケア・サービス、規律・懲罰規定の厳格化、被拘禁者ファイルと緊急時の対応、独立した監視機関への通報、脆弱なグループに属する被拘禁者たちへの特別の配慮、弁護士へのアクセスについて詳説している。被収容者を権利の主体として位置づける観点はなお弱いという。マンデラ・ルールズについて自分できちんと見ていなかったので、参考になる。


本書はしがきによると、「次代を担う若手研究者に最新の海外の状況を紹介していただいた」とある。えっっ、寺中誠は若手だったのか!!と驚いたが、もちろんここでの若手とは、大谷彬矩、相澤育郎、高橋有紀のことだ。国際人権法も若手研究者がどんどん出てきてくれると良いが。本書全体でも、巻頭論文の村井敏邦は長老中の長老になりつつある。かつて切り込み隊長だった石塚伸一や葛野尋之もいつの間にか重鎮になっている。土井政和にしても赤池一将にしても、論文を見る限り、まだ老成はせず適度に円熟しているようだ(褒めすぎか)。大学院に入って研究を始めてから40年になる私はいまだに素人感覚でお勉強を続けている。永遠の再入門。

部落解放運動の歴史を踏まえ、人権運動の未来へ(1)


谷元 昭信『冬枯れの光景 部落解放運動への黙示的考察(上)』(解放出版社、2017年)


目次

はじめに 〈冬枯れの光景〉によせて

第一部 部落差別の実相と現況への考察(部落差別実態認識論)

 第一章…自己史にみる部落差別の実相

 第二章…部落差別の実態変化と解消過程に関する認識

 第三章…部落差別を生み出し温存・助長する社会的背景への考察 


第二部●部落解放運動の歴史と現状への考察〔部落解放運動論〕

 第一章 部落解放運動の史的展開とその特徴

 第二章…新たな部落解放運動への転機と模索

 第三章…部落解放運動の光と影―取捨選択への決断 


閑話休題〔忘れえぬ人と出来事〕●

 第一章…連立政権下での「基本法」制定運動と激闘の二年間

 第二章…上杉佐一郎委員長―その思想と行動


著者は、大学時代に部落解放運動に参画し、部落解放研究所、解放出版社を経て、部落解放同盟中央本部に勤務し、部落解放同盟中央本部事務次長、事務局長部落解放同盟中央執行委員を経て、1994年、部落解放同盟中央書記次長に就任した。1996年、上記役職をいったん辞任して、部落解放同盟西成支部副支部長やヒューマンライツ教育財団理事に就任。2000年、部落解放同盟中央執行委員に再就任。、2002年、部落解放同盟中央書記次長に再就任。2012年に部落解放同盟関係役員を退任した。この間、国際的な人権NGOの反対差別国際運動の役員も兼ね、2002年には反差別国際運動日本委員会(IMADR-JC)事務局次長に就任した。現在、大阪市立大学や関西学院大学で非常勤講師をしている。生涯を部落解放運動に捧げてきた活動家である。


タイトルの「冬枯れ」について、はしがきに次のように述べている。

< 「冬枯れ」ということばは、色も臭いもなく寒風にさらされる黄土色以外に何もない寂寥感ただよう風景を連想させる。だが、美しいのである。限りない魅力を秘めた美しさがある。実りの饗宴の時期も過ぎ去り、華やかで鮮やかな色彩も失せ、一切の虚飾が剥ぎ取られた単色の光景が広がる。

 肉眼に映るこの単色の光景は、一見寂漠とした荒涼感が漂うように見えているが、春に向けての再びの輝きの命と息吹のすべてを静かに包み込んでいるのだ。心眼がそれを感じ取るとき、冬枯れの光景はどうしようもなく愛おしいほどに美しい。

 私の常なる心象風景としての「冬枯れの光景」は、生まれ育った故郷への捨て去りがたい郷愁の念と、自らの生涯をかけて没頭した部落解放運動への深い愛着の念に重なり合っていく。

 現在の部落解放運動の状況をみるとき、あたかも「冬枯れの光景」の観を呈しているかのようである。

 水平社時代の苦難に満ちた闘い、戦後の国策樹立を求めた闘い、同対審答申・「特別措置法」時代の破竹の勢いをみせた闘い、多くの歴史的成果を結実させながらも、運動的にも組織的にも困難な状況に立ち至っている今日の闘い。それは「冬枯れの光景」である。

 だが、九〇年余にわたる長い闘いの歴史のなかで、多くの人たちの血と汗と涙によって耕されてきた部落解放運動の土壌は、再生への力強い種子を豊富に内蔵しており、芽吹きの時季を辛抱強く待っている肥沃な土壌である。それが「冬枯れの光景」である。>


第一部「部落差別の実相と現況への考察〔部落差別実態認識論〕」において、著者はまず自らの個人史をたどりながら、人間形成と社会関係の中で、差別することと差別されることの実相がどのように具体化するのかを再検討する。その上で、部落差別の実態変化と解消過程に関する認識を深めるために、近現代の一五〇年における部落差別の実態を四段階で把握する。

第一段階は明治維新から戦前・戦中までで、差別が社会的に容認されていた。水平社の創立と糾弾による差別告発が始まったが、社会が容易に変化するわけではなく、水平社も戦争翼賛体制に巻き込まれていった。第二段階は一九四五年から同対審答申までの二〇年間で、差別は社会的黙認状態であった。第三段階は同対審答申から「特別措置法」失効(二〇〇二年)までの三七年である。部落差別は許されず、社会的に指弾されるようになり、全国的に同和行政・同和教育が展開された。第四段階は二〇〇二年から現在までで、社会的反動と社会的抑止の混沌状態である。「顔が見えない陰湿で巧妙な差別事件」と「露骨な差別事件」が横行する有様で或ある。ヘイト・スピーチが典型的な現象となっている。こうした混乱を克服して、人権の法制度を確立することが現在の課題である。障害者差別解消法、ヘイト・スピーチ解消法、部落差別解消推進法はその一環である。

部落差別を生み出し温存・助長する社会的背景への考察としては、第一に社会意識の側面に着目し、部落差別は歴史的な差別思想の複合的産物であることを確認する。差別は複合的性格であるから、その克服のためには社会連帯が不可欠である。第二に社会構造の側面として、差別の再生産システムを取り上げる。差別身元調査システム、日本的戸籍制度、差別・選別的教育制度、そして天皇制の問題である。第三に人間存在のあり方の側面として、差別に陥ることの或「印象操作」「補償努力」「他者の価値剥奪」ではなく、「新たな価値創出」がめざされる。


第二部「部落解放運動の歴史と現状への考察〔部落解放運動論〕」では、部落解放運動の史的展開とその特徴を踏まえた上で、「新たな部落解放運動への転機と模索」を再検討する。特に、二〇〇〇年以後の、「部落解放基本法」制定運動の戦術転換という「人権の法制度」確立をめざす運動の意義が確認される。「人権教育・啓発推進法」が実現したので、続いて「人権擁護法案(人権委員会設置法案)」、「人権のまちづくり推進支援法」などが課題となる。二〇〇六年の不祥事を反省し、運動の危機を乗り越えるために、権力構造を内面化した運動と組織の体質を問い直す。行政依存体質を克服して、自主解放精神に立ち戻った再生の道、自助・共助・公助にもとづく活動スタイルの確立である。

Sunday, March 18, 2018

「戦時のクレー」展散歩


パウル・クレー・センターは「戦時のクレー」展と「ダウン症に触れよう」展の2つを開催していた。



クレーの全作品9000点余のうち4000点と、クレーの遺品類を所蔵するクレー・センターには、2つの展示会場、コンサートホール、子ども美術教室などがある。


「ダウン症に触れよう」展は、「5000年前に宇宙からやってきた生命体が地球人に出会い、現在2度目の地球訪問をしている」という設定での人類史的パースペクティヴの中にダウン症を位置づけている。ダウン症の歴史、患者によるアート作品、患者の人生や考えや家族の思いを取り扱った映像上映など、多彩な展示である。映像作品はおもしろかったし、考えさせられるものだったが、10数本ある内の3本しか見ることができなかった。


「戦時のクレー」展は、第一次大戦時のクレーに焦点を当てている。こうした展覧会は初めてだという。クレーがミュンヘンのアバンギャルドに加わり、パリでキュビズムを知り、1914年にチュニジア旅行で光と色彩に目覚め、抽象絵画を極めることになり、多くの友人を戦争で失った。この時期のクレーの変容を時間の流れに従って追いかける。ずっと後にクレーはナチス・ドイツに迫害されて、ドイツからスイスに逃げたが、第二次大戦激化の前になくなったので、戦争自体は第一次大戦の経験である。

初期クレー展でもあるが、作品だけでなく、クレーから妻リリーへの絵はがき、息子への絵はがき、あるいは、フランツ・マルクからリリーへの絵はがきなども展示されていた。マッケ、マルク、カンディンスキーの写真が並べてあった。

クレーが第一次大戦に従軍したことが人生の転機になったことはよく知られるが、今回の展示で目を引いたのは、1つは第一次大戦における毒ガス使用に焦点を当てたことだ。当時の写真だけでなく、対毒ガス用マスクの実物も展示されていた。

もう1つは、空軍での体験に焦点を当てている。まず、飛行訓練だ。人類が空から世界を見るようになった。このことがクレーの視線と世界観に影響を与えている。次に、訓練中の事故の目撃(?)だ。戦闘体験はないが、友軍の事故を目撃したことの衝撃だ。

さらに、スケッチの中にいくつもの空中における戦闘や、撃墜された戦闘機や、逃げる戦闘機が描かれている。戦闘シーンのスケッチの解説で、子どもの遊びを描いたのだと書いてあるのを読んだことがある。とんでもない間違いだ。クレーは現実を描いたのだ。こうした観点で見たことがなかったので、大いに考えさせられた。

作品については、特に、<眼>が描かれるようになったことの意味が強調されていた。方向指示や、アルファベットや、太陽と月とともに、クレーの定番の<眼>だ。それと、クレー作成の指人形30数体の内2体だけが展示されていた。「ドイツの愛国者」と「死神」。

戦闘機から見た世界を描いた最初の画家クレー! 

しっかり考えておかないと、授業で話すときにまとまりがつかなくなる。

『刑罰制度改革の前に考えておくべきこと』(3)


本庄武・武内謙治編『刑罰制度改革の前に考えておくべきこと』(日本評論社)


本書第2部「非拘禁措置の改革課題」には次の3本が集録されている。

武内謙治「仮釈放――必要的仮釈放をめぐる議論を中心に」

正木祐史「保護観察――解明すべき理論的課題および処遇の視座」

葛野尋之「猶予制度――刑事司法の基本原則と刑事手続きの基本構造に適合した猶予制度のあり方」


有罪判決において刑事施設収容を命じる自由刑(日本では懲役と禁固が柱)にたいして、自由刑を前提としつつ、非拘禁措置として仮釈放、保護観察、猶予制度が存在する。法務大臣の諮問に始まった法制審議会少年法・刑事法部会において、少年年齢の引き下げ問題を口実に、刑罰制度改革が進められようとしており、仮釈放、保護観察、猶予制度にも議論が及んでいる。3本の論文はそれぞれについて、少年法・刑事法部会の議論を素材に、論点を抽出し、検討を加えている。
自由刑に関する論文と同様に、第1に、従来の刑法改正や監獄法改正を通じて明らかにされていた論点が、現在どのような形で問題となっているか。その後の状況変化を踏まえて、どのように論じ直されるべきか。第2に、憲法や国際人権法が予定している人権保障との関連で、刑事法はいかにあるべきか、どのような基本原則の下に構想されなければならないか。仮釈放、保護観察、猶予制度も、いずれもいかなる刑罰思想と刑罰観に立つのか、いかなる人権思想に立つのかによって制度設計に影響が生じる。このことを、3人の論者が的確に明らかにしている

拷問とえん罪のない社会をつくるための実践講座 「黙秘権行使による不起訴処分」


拷問とえん罪のない社会をつくるための実践講座

「黙秘権行使による不起訴処分」



黙秘権と取調拒否権を知り・実践することがえん罪をなくす第一歩!

 深刻な人権侵害であるえん罪。

 その原因として被疑者の人権を無視した代用監獄制度や過酷な取り調べの問題が指摘されてきました。

 国際自由権規約委員会や拷問等禁止委員会は、国際人権法の観点から日本の取り調べの実態が重大な人権侵害で、その改善を勧告してきました。

 しかし日本の警察は代用監獄の廃止に反対しています。

 被疑者のための拘置所を設置することが財政的に困難、捜査を迅速に進めるために必要というのがその理由です。

 被疑者の人権はなおざりにされ、えん罪が生み出される状況が常態化しているのです。

 この現状を踏まえて今回の講座では、黙秘権と取調拒否権について学びます。

 黙秘権と取調拒否権とは、身に覚えのない事件で逮捕された被疑者の人権を守るための権利。

 権力によっていわれのない罪を被せられることを拒否する権利のことです。

 昨年には、いわれのない強盗殺人事件で逮捕された方が実際にこの権利を行使・実践して不起訴になった事例も!

 この事例や20183月に開催される国連人権理事会の様子もご紹介します。

 悲しいかな共謀罪が施行され、無実の罪で誰でも被疑者になることがありえる今黙秘権と取調拒否権を学ぶことは、あなたや大切な人を守るためにも必要不可欠!

 えん罪のない社会をどう作っていくのか、ともに考えましょう。



7回市民のための実践国際人権法講座「黙秘権行使による不起訴処分」

日 時:415日(日)開場1315 開会1330 閉会1630

講 師:前田朗さん(東京造形大学教授)

場 所:調布市民プラザ あくろすホール1

    調布市国領町2-5-15 コクティー2階・3

    京王線「国領駅」下車 北口徒歩1

    アクセス→https://www.chofu-across.jp/access.html

資料代:500

主 催:沖縄と東アジアの平和をつくる会

    okinawainochitakara@yahoo.co.jp

    070-5669-6463(事務局)



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これまでの講座内容

第一回:「中世」といわれた日本で市民に何ができるか?~国際人権法のしくみ~

第二回:国際法は国内法よりもわかりやすい~世界人権宣言を読む~

第三回:ダーバン宣言とは何だったのか?~脱植民地主義と国際人権法~

第四回:人種差別撤廃条約の日本への勧告

第五回:ヘイト・スピーチを考える基礎~人種差別撤廃条約第四条の射程から~

第六回:拷問等禁止条約を読む~拷問その他の非人道的な取扱い~

Saturday, March 17, 2018

ホドラー展散歩


ジュネーヴ美術歴史博物館で「ホドラー1918-2018」をやっている。


今年はスイスの国民的画家と言われるホドラーの没後100周年なので、あちこちでホドラー展が企画されている。ベルン美術館や秋にはタヴェル館などでも開かれる。

ホドラーの作品はスイス各地の美術館にたくさんあるので、かなり見てきた。2014年には上野の国立西洋美術館でホドラー展があったので、これも見た。

1853年にベルンで生まれたホドラーは幼くして家族を失い、徒弟修行に出たが、やがて絵画を学ぶためにジュネーヴに出てカラーメを模写したという。1874年から画家として認められ始めたので、若くして成功したと言えるかもしれない。国際的にブレイクしたのは、1891年の「夜」が地元では展示拒否に会いながら、パリで評価されてからだ。1918年、ジュネーヴ名誉市民として亡くなった。お墓は市内の墓地にある。2014年夏に友人をジュネーヴで亡くしたときに行った斎場・墓地にホドラーのお墓があるのを見つけた。

ジュネーヴ美術歴史博物館の常設展示を入れ替えるとともに、一番最後の一部屋がホドラーだった。15~16世紀の宗教画に始まり、19世紀の西洋美術とスイス美術の主要作品が並ぶ。デチィデ、カラーメなど、他方で印象派。スイスの美術家も、アルベルト・ジャコメティ、ジョバンニ・ジャコメティ、バロットン、アリス・ベイリーなど。一通り見た上で、ホドラーだ。特にカラーメを模写して画家となったホドラーなので、こうして並べてもらえるとわかりやすい。上野のホドラー展はホドラーしか展示しないので。

ホドラーの作品は40点弱。風景画(レマン湖等)、肖像画、自画像。他方、ジュネーヴ美術歴史博物館の階段・廊下にはもともとホドラーの壁画がど~~んとある。

Friday, March 16, 2018

国連欧州本部で福島原発避難者の現状を


3月16日、国連欧州本部の会議室(人権理事会本会議が行われる大会議室の下の階にある会議室)で、NGOのグリーンピース主催のサイドイベントとして、日本の人権問題が取り上げられた。具体的には福島原発事故からの避難者が日本政府と東電による人権侵害を訴えた。

はじめに、グリーンピースのメンバーが、福島の映像を示しつつ概要を説明した。

メインは、福島から大阪に避難している森松明希子さんの訴えである。森松さんは東日本大震災避難者の会 Thank & Dream(サンドリ)代表、原発賠償関西訴訟原告団代表、原発被害者訴訟原告団全国連絡会共同代表で、今回は、16日に予定されていた国連人権理事会での日本の普遍的定期審査(UPR)結果の採択に際して、被災者の声を国際社会に届けるためにジュネーヴ入りした。普遍的定期審査(UPR)は19日に延期になったので、そこで発言をする準備を進めている。サイドイベントでは、被曝しない権利、知らないうちに被曝させられない権利について、特に、情報も知らされないまま、子どもに被曝させられてしまう恐怖について、泣きながら訴えた。参加者にも泣いている人がいた。

オーストリア政府の外交官が参加してくれた上、一言発言してくれた。オーストリアは昨年11月に開かれたUPR本審査において、日本政府に対して被曝問題に関連して改善勧告を出した。

演壇の両脇には、日本から持参した絵画作品が掲げられていた。ダキシメルオモイプロジェクト、小林憲明さんの「政府が避難を認めなくても、子どもを被曝から守るために避難を続けている親子」の絵である。参加者には同じ絵の絵はがきが配布された。

16日は国連人権理事会がなくなったため、参加者は30~40名程度だった。人権理事会が開かれていれば、100人くらいは参加してくれたのに、と思う。やや残念。でも、19日には国連人権理事会の本会議場で訴える。人権理事会では2012年以来、私たちも何度か被災者の状況を報告し、日本政府による被害救済のサボタージュを取り上げてきたが、避難者本人が国連人権理事会で訴えるのははじめてだろう。

配付資料の中に、英文のパンフレットがあった。

Seeing Safety: Speeches, Letters and Memoirs by Evacuees from the 2011 Fukushima Daiichi Nuclear Disaster, 2015.

琉球/沖縄シンポジウム 第7弾 「日本国憲法制定過程から排除された沖縄 今も続く平和的生存権侵害」 4.22


琉球/沖縄シンポジウム 第7

「日本国憲法制定過程から排除された沖縄 今も続く平和的生存権侵害」



 この間、海兵隊のオスプレイや攻撃ヘリなどが墜落・不時着、機材落下等を繰り返す沖縄。

 そんな現実を放置する安倍政権を追及する国会質問に対し、「それで何人死んだんだ」という野次が飛びました。

 1945326日、沖縄に上陸した米軍は布告第1号(ニミッツ布告)を公布、行政権・司法権を停止して米軍政を敷き、南西諸島をヤマトから分離しました。

 それから73年。ニミッツ布告は廃止され、サンフランシスコ講和-ヤマト「独立回復」と引きかえに米国に差し出された沖縄は「復帰」しました。

 しかし、19464月の総選挙で在日朝鮮人・台湾人とともに選挙権を剥奪され、「平和憲法」たる日本国憲法制定課程から排除された沖縄の人びとは、今、その適用からも排除されているかのようです。

 沖縄の人びとには「戦後」も「平和憲法」もなかったのかも知れません。

 このような沖縄の苦境と“引きかえ”のヤマトの「平和」と「憲法」。

 それが踏みにじられ、破壊されようとしている現実の中で、沖縄とヤマトの「戦後」を問い直すことが迫られています。

 古関彰一さんの講演を基調に、このことを考える集いを企画しました。

 ご参加をお願いいたします。



琉球/沖縄シンポジウム 第7弾「日本国憲法制定過程から排除された沖縄 今も続く平和的生存権侵害」

日 時:422日(日)午後2時~開場午後130

会 場:東京しごとセンター 地下講堂

    JR「飯田橋駅」東口より徒歩7

    アクセス→http://www.tokyoshigoto.jp/traffic.php

講 師:古関彰一さん(獨協大学名誉教授)

演 題:「日本国憲法制定過程から排除された沖縄-その『戦後』と未来」

参加費:無料



講師・古関彰一(こせき・しょういち)さんプロフィール

 獨協大学名誉教授。

 専門:憲法学・憲法史。

 近著に『沖縄 憲法なき戦後』(豊下楢彦氏・共著、みすず書房)、『新憲法の誕生』(中公文庫[第7回吉野作造賞])、『「平和国家」日本の再検討』(岩波現代文庫)、『日本国憲法の誕生』(岩波現代文庫)、『集団的自衛権と安全保障』(共著、岩波新書)、『平和憲法の深層』(ちくま新書)など多数。



★会場発言もあります★

・琉球・沖縄のアイデンティティ(新垣毅さん・琉球新報記者)

・基地引き取り運動-本土で起こす意味(佐々木史世さん・「引き取る会・東京」)

・沖縄ヘイトと闘う(野平晋作さん・ピースボート共同代表)



主 催:琉球/沖縄シンポジウム実行委員会

連絡先:東京造形大学・前田研究室

    TEL 042-637-8872

    E-mailmaeda@zokei.ac.jp

    090-2466-5184(矢野)