Tuesday, September 18, 2018

アフガニスタン女性の闘い 清末愛砂は語る


アフガニスタン女性の闘い

清末愛砂は語る





戦禍とテロの続くアフガニスタン、女性差別の厳しいアフガニスタン。

こうした形容が当たり前のように使われてきたアフガンで30年にわたって女性の自由と権利を求めて闘ってきたアフガニスタン女性革命協会(RAWA)。

私たちRAWAと連帯する会は、RAWAに学び、RAWAとアフガンの現状を日本に紹介してきました。

今回はRAWAやアフガンの女性団体との交流を続けてきた清末愛砂さんにアフガン女性の闘いについて語ってもらいます。



日時:10月14日(日)午後1時30分開場、2時開会~5時

開場:IKE-Biz(旧豊島勤労福祉会館)第3会議室



資料代:500円           

インタヴュアー:前田朗



清末愛砂(きよすえ・あいさ)さん:室蘭工業大学大学院准教授。専門は憲法学、家族法学。主な著書に『パレスチナ 非暴力で占領に立ち向かう』(草の根出版会)『緊急事態条項で暮らし・社会はどうなるか』、『これでいいのか!日本の民主主義――失言・名言から読み解く憲法』、『自民党改憲案にどう向き合うか』(以上現代人文社)、『右派はなぜ家族に介入したがるのか』(大月書店)など多数。





            主催:平和力フォーラム

192-0992 東京都八王子市宇津貫町1556 東京造形大学・前田研究室

042-637-8872  070-2307-1071(前田)   E-mail:maeda@zokei.ac.jp

インタヴュー講座<憲法再入門>第9回 日本国憲法と植民地主義


インタヴュー講座<憲法再入門>第9回

日本国憲法と植民地主義



平和主義と民主主義の日本国憲法のもとで、自由も人権も保障されないのはなぜ? 差別とヘイトがあふれるのはなぜ? 人間の尊厳が踏みにじられるのはなぜ?





日時:10月13日(土)午後2時(会場1時30分)

会場:新宿文化センター第1会議室

新宿区新宿6-14-1 Tel:03-3350-1141

大江戸線・東新宿駅 A3出口より徒歩5

丸の内線・新宿三丁目駅 E1出口より徒歩7

・資料代:500円

宋連玉さん(青山学院大学名誉教授)

「日本国憲法と植民地主義」

                      インタヴュアー:前田朗



★宋連玉:青山学院大学名誉教授、文化センターアリラン館長。主著に『脱帝国のフェミニズムを求めて――朝鮮女性と植民地主義』(有志舎)『軍隊と性暴力――朝鮮半島の20世紀』(現代史料出版)『歴史をひらく――女性史・ジェンダー史からみる東アジア世界』(御茶ノ水書房)など。





 主催:平和力フォーラム

東京都八王子市宇津貫町1556 東京造形大学・前田研究室

042-637-8872  070-2307-1071

E-mail:maeda@zokei.ac.jp

Wednesday, September 12, 2018

滂沱、呻吟、そして証言を聞くこと


キム・スム『ひとり』(三一書房)


<韓国で現代文学賞、大山文学賞、李箱文学賞を受賞した作家、キム・スムの長編小説。

歴史の名のもとに破壊され、打ちのめされた、終わることのない日本軍慰安婦の痛み。

その最後の「ひとり」から小説は始まる…… 慰安婦は被害当事者にとってはもちろん、韓国女性の歴史においても最も痛ましく理不尽な、そして恥辱のトラウマだろう。

プリーモ・レーヴィは「トラウマに対する記憶はそれ自体がトラウマ」だと述べた。

1991814日、金學順ハルモニの公の場での証言を皮切りに、被害者の方々の証言は現在まで続いている。

その証言がなければ、私はこの小説を書けなかっただろう。…… (著者のことばより)


自分が完全にひとりだと感じる彼女は、自分の外から自分を見つめてみたい、と思う。外から見ると地球が全く違って見えるように、自分も違って見えるだろうか。自分の悲しい体験、自分のいとおしい記憶、自分の秘められた歩みを、もう一度、ふたたび、くりかえし、辿り直し、生き直し、必ずもう一度女に生まれたい。台無しになった人生を、自分の苦痛をどんな言葉で説明できるだろうか。「私は慰安婦じゃない」。


カササギの生きている死体。

死んだ蛾に群がる蟻。

うごめくカワニナの幻影。

玉ねぎの網に捕らわれた子猫。

鶏の砂肝ほどに縮みあがった子宮。

猫が蛙に覆いい被さる。

プンギル!

死ななかった13歳のプンギル。


一年前、私は、歴史研究における記憶論についての若干の疑問を記したことがある。


記憶をめぐる言説の危うさについて



この考えは現在いっそう強くなっている。もちろん、記憶をめぐる研究は重要である。体験、出来事、記憶、証言、再構築・・・・・・歴史が積み重ねられ、刻まれ、再構成される。その作業は不可欠である。

しかし、記憶論にはいくつもの陥穽がある。記憶し、記録を残し、記憶を語る当事者の心的営みと別次元で、研究者が積み重ねる、発掘し、取材し、分析する記憶論の限界である。しかも、「慰安婦」問題で顕著なように、記憶論の実態は「ハルモニから主体性を剥奪すること」に転落している。研究者が「学問の自由」を振りかざし、あるいは「フェミニズム」と称しながら、実は「尊厳を求めて立ち上がった主体」を「客体」に封じ込める。学問化したフェイク・フェミニズムは研究者の特権を「学問の自由」とはき違える。そこでは、日本軍性奴隷制被害者の尊厳回復の闘いは、研究の客体に押しとどめられる。証言が散り散りに切り取られ、記憶が泥の海に埋め込まれる。生きられた体験が空虚な手垢のついた物語に仕上げられる。――こうした研究が跋扈していないか。


キム・スムは小説という文学形式において、以上の問いに全面的な回答を与えてくれる。「暴力的な歴史の渦の中でひとりの人間が引き受けねばならなかった苦痛」を主題として、「その苦痛を『慈悲の心』という崇高で美しい徳に昇華させた、小さく偉大な魂」に作家自らのすべてをゆだねる。被害者の証言録を渉猟し、「私のハルモニの代わりに、あの地獄に行ってこられた」被害者の証言に耳を傾け、記憶を記憶のままに記憶し直し、小説的方法によって息を吹き込み、不安も恐怖も苦痛も、夢も願いも喜びも、すべてを保全し、編み直し、読者に手渡す。末尾に記載された313の註の一つひとつが、暗黒と絶望と恥辱と侮蔑と暴力の時代を撃ち抜く。「慰安婦」被害者が、たったひとり、最後の被害者が、この恐ろしい世界に気づきながら、13歳の自分に還る時、再び自分に出会う時・・・・・・


証言を聞くこととは、私がキム・スムになることである。

Monday, September 03, 2018

私にはこの本を読む能力がない

上野千鶴子ほか編『戦争と性暴力の比較史へ向けて』(岩波書店)


春に読み始めたが、序盤から違和感を抱く点がいくつかあったことと、何よりも多忙のため、挫折した。違和感は、編者と私の学問方法論がまったく異なるからであって、さほど大きな理由ではない。第1章から意欲的な論文が続き、勉強にもなる。そこで、夏休みに再読のチャレンジ。ところがふたたび挫折してしまった。


何度か読書を断念しかけつつ、なんとか読み進んだ。しかし、第5章の茶園敏美「セックスというコンタクト・ゾーン」の途中、次の箇所で、ついに放棄せざるをえなかった。

「レイプ被害者は、レイプした相手に金を要求することで、占領兵の問答無用の暴力、そして『モデル被害者』の語りしか受け付けない社会に対して異議申し立てを行っていると解釈できるかもしれない。これこそ、占領兵と占領地女性との出会いの空間であるコンタクト・ゾーンにおける、『モデル被害者』ではない女性たちの生存戦略である。」(本書155~156頁)

リズ・ケリーの「性暴力連続体としてのレイプ/売買春/恋愛/結婚」という認識枠組みを、上野千鶴子による「序章 戦争と性暴力の比較史の視座」に従って採用する茶園は、占領下における米兵と「パンパン」と呼ばれた日本女性の関係に、レイプだけではなく、恋愛や結婚を発見する。

茶園は、自らの方法論を「徹底的な帰納法分析」と宣言する(145頁)。茶園は帰納法がお気に入りのようで、150頁他でも「帰納法」を語る。

それでは上記引用文のどこが問題なのか。4点に分けて説明しよう。以下の4点は密接なつながりを有し、全体として茶園論文の方法論を見事に示している。

1に、レイプ被害者が異議申し立てをしている相手として、「占領兵の問答無用の暴力」と「『モデル被害者』の語りしか受け付けない社会」を唐突に並列し、完全に同等扱いをしている。このような方法がいかにして可能となるのか、常識外というしかない。

2に、「異議申し立てを行っていると解釈できるかもしれない。」という、およそまともな文章とは言えない断定である。

「AはBである」

「AはBであると解釈できる」

「AはBであると解釈できるかもしれない」

ほとんど思考停止論文と言うしかない。

3に、そこから「これこそ、・・・・・・、『モデル被害者』ではない女性たちの生存戦略である。」という論理破壊が続く。「解釈できるかもしれない。これこそ、生存戦略である」とはまったく呆れた話であり、論理の飛躍どころか論理的思考の否定である。茶園は次のように述べる。

「レイプ被害者は、レイプした相手に金を要求することで、~~社会に対して異議申し立てを行っていると解釈できるかもしれない。これこそ、『モデル被害者』ではない女性たちの生存戦略である。」

次の一文を比較してみよう。

「縄文人は、狩猟生活をすることで、核兵器を保有する社会に対して異議申し立てを行っていると解釈できるかもしれない。これこそ、縄文人の生存戦略である。」

この2つの文は論理的に等価である。検証可能性も反証可能性もない、譫言に過ぎないという意味で。

4に、それゆえ、「徹底的な帰納法分析」などというのは真っ赤な嘘である。茶園は帰納法によってではなく、ケリー/上野の認識枠組みに合わせて、証言をあてはめただけである。そのために無理をするから、「解釈できるかもしれない。これこそ」などと力むことになる。

以上のことは、茶園論文の一部、枝葉末節を取り出しての難癖ではない。茶園論文の方法論の本質が鮮明に示された箇所である。科学論文で言えば、実験データを書き換え、捏造して、分析を施しているのに等しい。


本書は2900円+税で販売されている。方法論を欺き、読者をだます論文で金儲けするとは、「お金を返せ!」と叫びたくなる代物だ。

と書いて、思い出した。私は本書を購入していない。編者の一人から献本していただいた。ありがたいことだ。献本いただいた本はきちんと読むのが礼儀というものだ。いつもはこの礼儀を守ってきた私だが。

前言訂正。「時間を返せ!」。

他の論文は優れた論文なのかもしれないが、申し訳ない。私にはこの本を読む能力がない。

Friday, August 24, 2018

陰謀論を批判する陰謀論にならないか


福田直子『デジタル・ポピュリズム――操作される世論と民主主義』(集英社新書)




2016年のアメリカ大統領選挙におけるトランプ勝利の背景として、あるいはトランプ大統領のツイッターによって、ポスト・トルース、フェイク・ニュースなどが流行語とのなり、偽情報、攪乱情報、世論操作の問題が指摘された。すでに多くの著作が出されているが、いずれも一面を明らかにしたに過ぎない。オンラインでのプロパガンダという現象の裏側を読み解くには、多角的多面的な兆さっと分析を要する。というか、真相は「闇」に包まれたまま、ということになるだろう。

それでも、インターネット時代の猛烈に飛び交う情報、急速に進展する技術、それらの間を疾駆しながら解析する研究をどんどん増やしていかないといけない。本書もその一つだ。

「アメリカの大統領選挙やイギリスEU離脱の国民投票では、私たちが無意識のうちに提供している多くの個人情報が選挙キャンペーンや世論形成に利用された。嘘を混ぜたプロパガンダや個人の不安に直接訴える「マイクロ宣伝」といった、巧妙なサイバー戦略は、近い将来行われるであろう日本の国民投票でも使われるのは間違いない。これらによって醸成されたポピュリズムに私たちはどう抗うのか。欧米での徹底的な取材からデジタル時代の民主主義を考える。」

「捏造され誘導され分断される現代」という帯の文句にあるように、ポピュリズムの蔓延によって民主主義がゆがめられる現状を、いかに克服するのか、課題はつきない。

類書の中には、中国や朝鮮を非難する例が多いが、著者は欧米での取材が中心で、素材も欧米に限定される。

ただ、アメリカ大統領選挙もフランス大統領選挙もスコットランド独立・住民投票もスペイン・カタロニア問題も、すべて背後にロシアの影・・・というストーリー。欧米が常に被害者側という「視点」にはいささか困った感。ロシアの陰謀を語る前に米軍とFBICIAの現実を語ることが必要だろう。

フェミニズムはどこへ行ったのか


河野貴代美(対談:岡野八代)『わたしを生きる知恵――80歳のフェミニストカウンセラーからあなたへ』(三一書房)


フェミニズムが輝いていた時代があった(ような気がする)。日本ではおおざっぱに言えば1970~80年代だろうか。本書では「残念なことに1960年代後半から80年にかけて世界中を席巻したフェミニズムは、多くの誤解を受け、その内容やメッセージが後の世代の女性たちに性格に届いていないように思います」とある。

フェミニズムについてほとんど発言したことのない私だが、それぞれの時期に重要な著作は読んできたし、運動の一端も横から見てきた。フェミニストではないが、日本のフェミニズムの動向、あるいは国連人権機関におけるフェミニズムの動向については多少知っているつもりだ。それ以外の世界の大半のフェミニズムについては無知だ。

本書は、1968年にアメリカでフェミニズム、フェミニズムカウンセリングに出会い、その後、日本にフェミニズムカウンセリングを広めた実践家にして理論家の河野と、ちょうどその頃、1967年に生まれた政治学者の岡野の共著と言ってよい本である。半分は河野と岡野の対談。残りの半分が河野のエッセイから成る。


「対談・個人史を語る」は、河野と岡野がそれぞれ母親との関係の中で育ち、学び、悩んだことから始まる。そこからフェミニズムとの出会いがあり、フェミニストカウンセリングや政治思想研究につながっていく過程が語られる。母と娘の間の愛情と葛藤について本書は繰り返し立ち戻ることになる。

「あなたはあなたであってよい」「個人的なことは政治的なこと」「自分に正直であること」――フェミニズムの主張として有名なスローガンの意味と意義が、あの時代を生きた河野によって平明に語られる。ここから浮き上がるのは、なぜこれらのスローガンが、当時フェミニズムの核心として打ち出されなければならなかったのか、である。逆に言えば、男達はなぜこうした当たり前のことを掲げなかったのか。掲げる必要がなかったのか。


二人は「フェミニズムの衰退・断絶をめぐって」について語る。70~80年代に活動した団体の解散、「女性学」「ジェンダー学」という「学問」になってしまったこと(フェミニストカウンセリングも学会になっていった)、社会構造を問う思想と運動として展開しきれなかったこと、1985年の男女雇用機会均等法による「女性貧困元年」、「自己責任」論へのすり替えなど、さまざまな理由が検討される。

フェミニズムに対するバックラッシュは世界でも日本でもおきた。日本では90年代後半以後のフェミニズム叩きや、男女共同参画に対する反発である。フェミニズムやジェンダーという言葉への猛烈な反発も記憶に新しい。

女性の権利という観点では、男女共同参画社会基本法(1999年)、児童買春・ポルノ禁止法(2000年)、ストーカー規制法(2000年)、DV防止法(2001年)、子ども・子育て支援法(2012年)、職業生活の女性活躍推進法(2015年)、政治分野の男女共同参画推進法(2018年)のように前進を続けているが、各論の議論はできてもフェミニズムそのものが脚光を浴びることがない。セクハラ問題に対する反応を見ても、男性支配と男性中心主義の壁の高さには驚くべきものがある。

そこでフェミニズムの「個人主義」の問い直しが図られる。男性中心主義の「個人主義」への批判と、もう一つの「個人主義」に着目する。日本国憲法24条にも個人主義は含まれているが、そこでは「一人一人が全体である」。

「私を育ててくれた人、その人の記憶や経験もまた、私の一部を形づくっている、その記憶を含め私は私だ、誰にもそれを奪われない、という主張です」。「社会関係の中に自分を沖か直してみることで、新しい自分と出会い直す」。

「自分とは違う人との出会いは人を豊かにしてくれます。その体験を受け止めて味わい、あるいは乗り越えて、さらに多様な人々との関係に向けて自分を開いていくような考え方や手法が、いま、とくに必要とされているのではないでしょうか。そこからしか社会全体の変化もありえない、そう思います。」


河野貴代美、岡野八代、そして編集の杉村和美という3人の女性がそっと差し出した本書は、「行方不明」のフェミニズムがこの世界の至る所に根づき、息づき、世界を変えつつあることを教えてくれる。その道はなお遠く、曲がりくねり、いくつもの山を越え、幾度も壁にぶつからなくてはならないだろうが、女性たちの暮らしの現場から常に立ち上がる思想としてのフェミニズムが無数に飛躍の時を待っている。

Thursday, August 23, 2018

エテル・アドナンのタペストリ


パウル・クレー・センターで「Etel Adnan」展を見た。


1925年にフランス占領下のベイルートで生まれた詩人でアーティスト、哲学者のエテル・アドナン(1925-)は、2012年に参加したドクメンタ(13)で突然世界中に知られるようになりました。パウル・クレーが書いた1960年代の日記を通してクレーを知り、作品とテキストに影響を受けました。叙情的でカラフルな絵画、大判のタペストリー、映像の作品でそのことが見て取れます。多文化環境で育った経歴や中東の歴史の影響は、特に文学作品のなかに投影されています。本展では、パウル・クレーとエテル・アドナンの作品の対話をご覧いただけます。」


名前だけは聞いたことがあるが、作家で絵本が有名らしいということしか知らなかった。上記では2012年に知られるようになったとあるがこれは絵画作品に限った話で、作家としては1970年代から有名だったそうだ。

エテル・アドナンで検索すると


Etel Adnan



展示は、第1にエテルの絵画作品、第2にクレーの絵画作品、第3にエテルのタペストリ、第4にエテルの制作映像、第5にエテルへのインタヴュー映像。

絵画作品はカリフォルニア教師時代からずっと描いていて、カンディンスキー、マレヴィチ、クレーに影響を受けたそうだが、2012年に突如有名になった。多数展示されていたが、クレーの影響はあからさま。普通なら、この作品はオリジナル作品として出展できないだろう。有名作家であることと、高齢であることで、許されたのではないか、という印象だ。

むしろ注目するべきはタペストリのほうだ。12点展示されていた。いずれも2メートル四方の大きなサイズ。というのも、絵画はクレーと同様にいずれも小さく、50センチ四方レベルなのに、タペストリは大きい。そして、模様も絵画よりずっと複雑で、手が込んでいて、クレーに影響を受けながらも独自に発展をしている。Sunsetという作品はなんと2018年の制作だ。93歳!? いやはや凄い。

異様な五輪翼賛体制をいかにチェックするか


本間龍『ブラックボランティア』(角川新書)

2020年東京オリンピック・パラリンピックに際して。11万人のボランティアの動員が目指されている。入場整理、観客誘導、通訳、アテンド運営サポート、ヘルスケア、テクノロジー、メディア・サポートなど各種のボランティアを市民から、特に大学生から募集する方向性のようだ。

ところが、1日8時間ほど、10日できる人ととしながら、報酬はゼロ、交通費などの経費は自己負担だという。ただ働きだ。一生に一度の舞台で、感動をわかちあえるから、一丸となって五輪を成功させ、世界の人々とふれあえるからだという。

それならば、JOCも組織委員会、スポンサー会社も、電通もただ働きするべきだ。

ところが、スポンサー企業から推定4000億円以上の収入が予定されている。スポンサー企業も五輪をネタにぼろもうけを企んでいる。

JOCや企業は丸儲け、学生は酷暑のなかでただ働き、という異様な計画だ。

著者は、この奇怪な計画を徹底批判する。旧陸軍の「インパール作戦」になぞらえる。現場の状況を無視して、机上で準備し、一度動き出すと止まらない暴走だからだ。著者は五輪に反対なのではない。五輪をえさに、市民を、学生をたぶらかし、ブラックボランティアに落とし込みながら、自分対は金儲けに邁進するやり口を批判している。

同時に著者はメディアが五輪を総出で支えている構図にも疑問を挟む。朝日、毎日、読売、日経がオフィシャルスポンサー、産経がサポーターになっている。全国紙がそろっている。テレビ局もNHKだけでなく、日テレ、TBS、テレ朝をはじめ各社がずらりと並ぶ。メディア翼賛体制ができあがっている。これでは監視はできない。膨大な税金を投じて行われる巨大イベントのチェックができない。「復興五輪」などと言うデマを利用して、実際には福島の復興を妨害していることも、なかなか報道されない。






女性国際戦犯法廷判決の引用 パトリシア・ビサー・セラーズ論文


アンドリュー・クラハム、パオラ・ゲータ、マルコ・サソリ編『1949年ジュネーヴ諸条約――註釈』(オクスフォード大学出版)の新版が出たと思ったら、2015年版が2018年にペーパーバック版になったものだ。1600頁ある分厚いコメンタリーだ。

Andrew Clapham, Paola Gaeta, Marco Sassoli(ed.), The 1949 Geneva Conventions, A Commentary, Oxford, 2018.

国連欧州本部の売店で、値段も高いし、日本に持って帰るには重たいから、あとで必要ならアマゾンで注文しようと思いながら頁をめくっていたところ、各論の「強姦、その他の性暴力」をパトリシア・ビサー・セラーズとインディラ・ローゼンタールが書いている。

Rape, and Other Sexual Violence (Patricia Viseur Sellers and Indira Rosenthal)

343368頁まで25頁ほどの論文。ジュネーヴ第4条約27条の註釈だ。山下奉文事件判決、極東国際軍事裁判判決、バタヴィア事件判決にも言及があり、メインは旧ユーゴスラヴィア国際刑事法廷とルワンダ国際刑事法廷の多くの判決を検討している。さすがセラーズと思いながら見ていくと、女性国際戦犯法廷判決が出てきた!!

パラグラフ35354355頁)で、強制売春行為を性奴隷制とする見解を、奴隷制の現代的諸形態に関する作業部会、1998年のゲイ・マクドウーガル報告書、ケリー・ドーン・アスキン論文を引用し、「慰安婦」ではなく強制売春であり、性奴隷であるとし、「慰安婦」に対して行われた犯罪の法的記述としては、性奴隷制という用語が正確で適切だという文脈で、2001年の女性国際戦犯法廷判決パラグラフ634639をあげている。Alpha-Canadaのウェブサイトのアドレスものっている。

セラーズは女性国際戦犯法廷の23年後くらいの論文でも女性法廷判決を引用していたが、18年後にも引用している。というわけで、1600頁の重たい本を買ってしまった。

セラーズは国際刑事裁判所の検事局特別助言者、オクスフォード大学客員教授。インディラ・ローゼンタールは国際人権・人道法研究者。


目取真俊の世界(10)「反復帰論」をどう受け継ぐのか


目取真俊『沖縄 地を読む・時を見る』(世織書房、2006年)

9.11以後、2006年まで書き継がれた時評、エッセイをまとめたもので、『沖縄 草の声・根の意志』に続く評論集だ。「沖縄の選択――米同時テロを超えて」(2001年)に始まり、「沖縄の学校――私の教師時代」(2006年)に至る、90本近い文章は、9.11テロ、アフガン戦争、イラク戦争、米軍基地問題、沖縄戦、植民地主義、反戦運動、報道統制、教育統制を中心に、世界の動向野中で、漂流する日本政治の野蛮さと無責任ぶりを撃ち、沖縄保守政治の混迷を撃ち、同時に反戦運動にも反省を迫る。

「実践的意味持つ反復帰論――新川明文庫開設記念シンポ」(2005年)では、1931年生れの新川の戦争体験と、目取真の父親(1930年生れ)の戦争体験を併記し、「反復帰論」の前に「書かれざる一章」として、沖縄における「戦争責任の追及」があったのではないか、と問いを立てる。

「日の丸を掲げて祖国や憲法への幻想を煽りながら進められる『復帰運動』を、新川氏は厳しく批判した。そのときに、軍国少年・少女として育てられた世代として、教師や行政、政党リーダーたちの『戦争責任の追及』を、『同化思想』批判と同時に進めていく必要があったのではないか、と思った。」

重要な問いだが、短いエッセイのため掘り下げられてはいない。他に同種の文章もない。目取真の作品全体がこの問いへの回答であると言えるが。

Cosmos Klee展散歩


パウル・クレー・センター夏の企画はCosmos Klee展。「パウル・クレーの世界」といった感じの初心者向け入門編の展示だ。夏休みなので、学生・生徒を連れてきて、これがクレーだよ、と教えるのに最適。


展示は16のブースに分けられて、約150点が展示されていた。

1 Hand Puppets  2 Colored Paste   3 Reverse Glass Paintings

4 Early Oil Paintings   5 Oil Transfer Drawing   6  Goddesses

7 Angels   8 Nature   9 Scratch Technique

10 Late Work   11 Unregistered works and Forgeries

12 Figure Groups   13 Textile picture carriers   14 Spray Technique

15 Watercolors   16 Models

良かったのは、150点のうち、はじめて見る作品が30点くらいあったこと。

一番重要なのは、天使シリーズ(上記の7)を描いた時期に描いていた、子どもや人々の集団のスケッチ10枚(上記の12)、すべて初めて見た。天使シリーズは、1枚に1人の天使が描かれているが、集団のシリーズは、家族らしき人々、あるいは子どもたちが何人も登場する。天使シリーズと同じタッチで描いているので、天使シリーズだけを取り出してクレー批評をするのは適切でないと言うことがわかる。

従来の美術批評は、7だけを対象に「クレーの天使」を議論してきた。2つの点で不適切だ。1つは、前からわかっていることだが、1920年代に描いた天使と、晩年の1938-40年に集中的に描いた天使を区別せずに、一緒に論じる例が目立つこと。2つめは、今回わかったことだが、天使だけを取り出して論じることだ。圧倒的に多くの批評が天使だけを論じてきた。晩年の作品群全体の中で論じること、とりわけ天使シリーズと集団シリーズは密接なつながりがあるので、これらをきちんと位置づけること。

集団シリーズは現物を見るのも初めてだけど、写真でも見たことがない。とても重要な作品なのに、従来、全然議論されてない。今回も、カタログが発行されず、絵はがきにもなっていないのが残念だ。簡単なパンフレットしかない。


パウルクレーセンターからの帰りは大変だった。4時にBern駅を出てFribourgGeneve行きに乗り換え、ところがAllamandという小さな駅で突然停車して、全員下車。Rolleでの事故で電車が全面不通。Allamand駅は数百人がごった返し。アナウンスがなかなかないし、1回だけあったのはフランス語のみ。ダメだったらLausannneに戻ってホテルに泊まろうか、などと思案中、1時間ほどして振替えバスが2台だけ来た。運良くすぐ近くに止まったので2台目に乗れた。スゴイ競争率。Gland駅まで運んでもらって、GlandからGeneve行きの電車。Geneveについたのが8時10分。Geneve駅もものすごい人だかり。地面に座っている人がたくさん。Bernから100分の所、250分かかって戻ってきた。


TENUTA MONTALBANO, Ticino, 2016

Tuesday, August 21, 2018

脱原発市民会議かながわ&ハーベストムーンLIVE 2018


脱原発市民会議かながわ&ハーベストムーンLIVE 2018



日時:916日(日)OPEN 13:30START 14:0019:30

会場:スペース・オルタ(新横浜)



原発事故発災の翌年から開催され続けて今年で6回目となるこの企画。毎回深堀り好評のシンポのメインゲストに金沢地裁の裁判長として「志賀原発」に対し司法初めての「運転差し止め命令」判決を書き、現在は福井原発訴訟弁護団長を務める井戸謙一さんを迎えます。国の責任を認めても賠償額の少なさに唖然とさせられる日本の司法文化を、市民が対象化する場を作ります。



おしどりマコ・ケンの横浜白熱実験室/
 「ドイツから帰ってー脱原発のいまを問う」14:0015:00

ジャーナリストとしての高い評価で毎年ドイツに招聘されているマコ・ケンのお二人。今年も脱原発を決めたドイツ滞在での見聞報告も 含め、もっともレアな原発の「いま」を、画像と軽妙な話芸にのせてお伝えします。



脱原発シンポジウム「司法の正義と原発事故」15:1518:15

司会:前田 朗(東京造形大学/戦争犯罪論、国際人権活動日本委員会(JWCHR)理事)

パネリスト:

井戸 謙一(元裁判官、現在福井原発訴訟弁護団長)

おしどりマコ(芸人、DAYSジャパン編集委員)

黒澤知裕(福島原発被害者支援かながわ弁護団事務局長)

村田 弘(元朝日新聞記者、福島原発かながわ訴訟原告団団長)



脱原発コンサート18:3019:30    

出演:カテリーナ(Vo, バンドゥーラ)

生後1か月でチェルノブイリ原発事故に遭遇、来日し一児の母となり福島原発事故を経験。ウクライナの民俗弦楽器バンドゥーラを弾きながら、祈りの歌を捧げてくれます。



参加料:ABC通し券/当日2,500円、前売り2,200円、

A,B,C各一つの企画は当日のみ1,000



主催●脱原発市民会議かながわ&ハーベストムーンLIVE2018実行委員会



【参加グループ・予定】

大間原発訴訟の会・横浜グループ/上関どうするネット/スペース・オルタ/精神保健を考える会まいんどくらぶ/電気代不払いプロジェクト/switch box あけ/たて/長瀞やなせカラッポのおうち/東日本土壌ベクレル測定プロジェクト/福島原発かながわ訴訟原告団/ 福島原発かながわ訴訟を支援する会/プルトニウム・フリー・コミュニケーション神奈川/保養ネット・横浜/勇気野菜プロジェクト、他



●予約・問合せ/スペース・オルタ内・

脱原発市民会議かながわ事務局(TEL&FAX:045-472-6349

ジュネーヴ美術歴史博物館散歩


ジュネーヴ美術歴史博物館は入場無料なので助かる。この春は「ホドラー1918-2018」展を三田が、同じ展示が続いていた。


常設展、ホドラー展に加えて、企画展「AES+F  THEATRUM MUNDI」展が開かれていた。これは5フラン。

AES+Fは、ロシアのアート集団だ。タチアナ・アルザマソヴァ、レフ・エヴゾヴィチ、イヴジェニ・スビャツキー、ウラジミル・フリケの4人組で、AES+F。古典的な神話や宗教的世界や、西欧のルネサンスから18世紀に至る美術からの引用を駆使して独自の世界観を提示し、現代のグローバルな世界をヴィデオゲーム、ニューテクノロジー、ファッション、フィルム、ニューオリエンタリズムを媒介にコード化してきたという。ヴェニス、アデレード、シドニー、ハヴァナ、イスタンブール、ッキエフ、メルボルン、タイペイ、トロントなど世界中の現代アート展やビエンナーレに参加してきた。

Last Riot」(2005-07)では、彫刻、写真、ディジタル絵画を用いて、寓話的な表現をした。「Allegoria Sacra」(2011-13)では、ヴィデオとディジタル・コラージュ。「Feast of Trimalchio」(2010)では、ディジタル・コラージュ。「Inverso Mundus」(2015)では、ヴィデオ・エキシビジョン。

最初の部屋で、「Inverso Mundus」の巨大映像が流される。縦2メートルくらい、横10メートル近い。テーマは世界の下克上。価値観の転覆だ。登場するのは30名あまりの俳優たち、空想的な動物、キメラ、空飛ぶ魚たち。世界のヒエラルキーや伝統的ジェンダー秩序を壊乱するため、ユートピアとディストピアを提示する。ファンタジーと恐怖。女性審問官が男性を拷問する。子どもが大人と闘う。道路清掃人が道路を汚泥に。泥棒が警察官に、物乞いが億万長者に。キメラがペットに、悲劇と喜劇。アポカリプスがエンターテンメントに。俳優達は、表情を変えず、視線の移動、目の移動もほとんどなく、台詞もなく、ゆっくりとした動作に限られる。リアリティのない、マネキン風の俳優。それによってキメラや空飛ぶ魚たちと同居する。趣旨はわかるが、いささか単純な二項対立にはちょっと?。20数分のヴィデオ映像で表現するには、二項対立にしないと、混乱してしまうのだろう。

最後の「Feast of Trimalchio」では、中世の神話画や宗教画の構図を借りて、そこにローマの神々や護民官ならぬ、現代世界の人々を配置する。白人と黒人。男と女。大人と子ども。警官と泥棒。貴族と料理人。司祭と無信仰者。主人と召使い。セックス、食事、態様、スポーツ、トロピカル・ビーチが詰め込まれる。背景には、ローマの神殿風にしているが、中国の寺院、タイの寺院、エジプトのスフインクスなど。金龍の船が到着し、やがてすべてが船出する。豊かな現代の猥雑さを戯画的に表現しているが、その先は見えない。

「ホドラー展」と常設展をざっと見て、地下の喫茶店でコーヒー。


懐かしのムーディ・ブルース

Moody Blues - Nights in White Satin

https://www.youtube.com/watch?v=MjUqfRrWwcM

科学と神の2000年の相克を描く


三田一郎『科学者はなぜ神を信じるのか――コペルニクスからホーキングまで』(ブルーバックス)

著者は素粒子物理学専攻の名古屋大学名誉教授。代表テーマは「B中間子系におけるCP不変性の破れの研究」。プリンストン、コロンビア、フェルミ研を経た科学者。だが同時にカトリック名古屋教区終身助祭、東京大司教区協力助祭だという。

本書に登場するのはピタゴラス、アリストテレス、コペルニクス、ガリレオ、ブルーノ、ケプラー、ニュートン、ファラデー、マクスウェル、ルメートル、アインシュタイン、ボーア、ハイゼンベルク、ディラック、パウリ、プランク、フリードマン、ホーキング、小林誠、小柴昌俊、益川敏英・・・

近現代科学入門書だが、科学理論の入門ではなく、科学と神の対抗関係、世界観の変遷、そして科学者の信仰にかかわるエピソードの数々だ。イスラム等は除外して、キリスト教に絞っているのは、第1に、近代科学の主流が西欧世界であったこと、第2に著者自身が信仰者であることだ。著者がキリスト教以外を無視しているというわけではない。

「私自身は、科学法則の創造者を『神』と定義しています。ルールが存在するということは、その創造者である神が存在するということだ、と考えるのです。」

「科学者とは、自然に対して最も謙虚な者であるべきであり、そのことと神を信じる姿勢とは、まったく矛盾しないのです。」


John Lennon, Eric Clapton, Keith Richards, Mitch Mitchell (Jimi Hendrix Experience)

Monday, August 20, 2018

「あれは杉田水脈議員じゃないのか」


「あれは杉田水脈議員じゃないのか」

「似てるね。でも、『LGBTには生産性がない』という差別発言でもめてるさなかに、ジュネーヴに来れるかな」

「雲隠れのための海外逃亡かな」



  8月16日午後3時、ジュネーヴの国連人権高等弁務官事務所会議室で開かれた人種差別撤廃委員会の日本政府報告書審査のさなか、NGO席でひそひそ話がささやかれた。

  NGO席の後ろの方に、日本人女性らしき人物が派手なサングラスで顔を隠し、うつむきながら座っている。ほとんどしゃべらない。両脇を固める人物も日本人女性らしい。

  会議が終了した午後6時、会議場の外の廊下で、神奈川新聞記者がこの女性に名刺を差し出し、声をかけた。本当に杉田水脈議員なら、コメントをもらいたいところだ。何しろ日本一有名な差別議員が、なんと人種差別撤廃委員会に顔を出したのだ。

  ところが、記者が声をかけた途端、杉田議員の取り巻きの男が大声で騒ぎ立て、そのすきに杉田議員はこそこそ走って逃げてしまった。

  人々が騒然とする。国連の警備員も慌ててやってくる。何がおきたかよくわからない状況になってしまった。

  私が目撃したのは直後、午後6時05分くらいからだ。その前の5分間を直接目撃していないが、関係者から話を聞いた。



「国会議員なのに、こそこそ隠れて逃げ回るなんて不思議な人だね」

「杉田議員は、もととも市民集会に顔を隠して潜り込んで、潜入ルポと称してマイノリティ叩きをしてきたから」

「こっそり隠れ、都合が悪いと逃げ回ることしかできないのかな」



  神奈川新聞記者が大声で「杉田水脈議員がいるぞ! 逃げるな!!」と叫んでいれば良かった。周囲にいた日本人が「えっ、あの差別発言の杉田議員がいるのか」と言って集まったに違いない。

  翌17日午前10時、人種差別撤廃委員会の日本報告書審査第2日目にも杉田水脈議員が顔を出した。サングラスをかけ顔を伏せて、声もたてずに座っている。

  午後1時の審査終了時、会議室出口で、今度は私が杉田水脈議員に質問しようと思い立って接近した途端、杉田議員は脱兎のごとく駆けだして消えてしまった。スタートダッシュはまるで全盛時のボルトのようだった。私も「逃げるな!」と叫ぶ間がなかった。

  国民の公僕たる国会議員、しかも政権与党の議員が、国連という公の場でありながら顔を隠し、こそこそ逃げ回る。不可解な話である。


  以上は私の体験及びNGOメンバーからの聞き取り内容に基づいています。杉田水脈議員からはコメントをもらえませんでした。万が一、ご本人でなかったら、訂正します。




ヴィンタトゥール美術館散歩


4年ぶりにヴィンタトゥール美術館ラインハルト館を訪れた。前回のメモは下記。

ヴィンタトゥール美術館散歩(3)


夏祭りのため駅前や旧市街は観光客で賑やかだった。土曜日はワイルドセンターで鹿や狼や猪やバファローを見てきた。駅からバスで10分あまり、緑あふれる公園の真ん中がワイルドセンターになっている。日曜日に美術館へ。

ヴォルフ、アガセ、カラーメから、アンカー、ホドラー、ジャコメティまで堪能。3階は特別企画展「オランダの山々――オランダの平野からアルプスへ」をやっていた。「オランダに、絵になるような山はあったかな」と思いながら、階段を上る。ハッケルト、ブリューゲル、マイヤー、ヴォルフ、カラーメ等々が並ぶ。「オランダの山」の絵はほとんどない。オランダの画家が描いたアルプスや、スイスの画家たちが描いたアルプスがメイン。

「オランダの山」はあくまでも概念的表象に過ぎないが、16~17世紀に花開いたフランドルの画家たちは、オランダ、イタリア、そしてアルプスをそれぞれのイメージの世界で描きあげていた。17世紀のヤン・ハッケルトとコンラド・マイヤー。18世紀のフェリクス・マイヤー、カスパー・ヴォルフ、アベリス。19世紀のビーダーマン、アレクサンドル・カラーメ。それぞれの画家のイメージと技法の中で、山々が姿を変えていく。アルプスがひときわ高くそびえていく。

ここでは自然のシンボルのアルプスがスイスの国民的シンボルに変化していく。19世紀の若き連邦国家の国民的シンボルとなったアルプス。それを警鐘・発展させたホドラーの作品はここには展示されていない。一つ下の階の常設展にはあったが。

Sunday, August 19, 2018

2018年8月人種差別撤廃委員会の日本審査最新レポート


10回 市民のための実践国際人権法講座

――人種差別をなくすための国連審査活用術



内容:201881617日に国連の人種差別撤廃委員会で朝鮮学校への差別、ヘイト・クライム、ヘイト・スピーチ、部落差別、アイヌ民族、沖縄への差別、移住者差別など、日本のさまざまな人種差別に関しての審査が行われました(委員会から日本に対する勧告は8月30日に出る見込みです)。

今回の講座では、現地参加した委員会の審査内容をご報告するとともに、この審査を日本の人種差別をなくしていくために活用する方法などもお伝えします。

世界は今、日本の人種差別をどう見ているのか、そして人種差別をなくすために何ができるのかを一緒に考えましょう。



日時:92日(日)14時~1640

場所:吉祥寺南町コミュニティセンター(吉祥寺駅)

講師:前田朗 東京造形大学教授

資料代:500



主催:沖縄と東アジアの平和をつくる会


Twitter:@OkinawaEastasia


非暴力直接行動の意義を改めて考える


黒﨑真『マーティン・ルーサー・キング』(岩波新書)



1968年の暗殺のニュースは記憶にない。なぜだろう。ケネディ大統領暗殺のニュースは記憶しているのに。キング暗殺から50年。半世紀の歳月が流れた。存命中から「伝説」だったキングだけに、伝説の彼方という感じもするが、逆に言えば、まだ半世紀にしかならないのか、とも思う。

キングの伝記はいくつもあるが、本書は、非暴力の思想、実践、その意義に焦点を絞りながらキングの闘いの全体像を描き出している。わかりやすく、有益な本だ。バスボイコット運動やシット・イン運動、フリーダム・ライド、ワシントン行進、ノーベル平和賞受賞など、よく知られた事実だが、最新の研究や資料も駆使して伝記を構成し、同時に思想もていねいに解説し、かつ読みやすく書かれている。ベトナム反戦、アラバマ・プロジェクト、メレディス行進、そしてメンフィスへの流れもフォローしている。

その後の問題としては、キング国民祝日の非が制定されたが、それにより体制に取り込まれる意味もあったこと、「公的記憶」に成る際に一定の「無害化」がおきること、晩年のキングを忘れてはならないこと、そして人種暴力は減ったようにも見えるが、人種格差は今日に至るまで拡大し続けていること、それゆえ「キングの夢」はいまなお「夢」であり続け、2013年のワシントン行進50周年や、2018年の暗殺50年を経て、今後なおキングとともに歩み続けなければならないことが確認されている。

「キングの未完の夢と非暴力の遺産を受け継ぎながら、自ら行動を起こすことができるのだという希望と勇気」に賭けた著者の思いが伝わる。

Saturday, August 18, 2018

人種差別撤廃委員会・日本政府報告書審査(4)


2018年8月17日12時~13時

国連人権高等弁務官事務所(パレ・ウィルソン)1階会議室

人種差別撤廃委員会96会期



*アフトノモフ委員

 部落問題は、職業や身分を承継した問題であって、人種、民族と混同してはならないとのことだが、人種差別撤廃委員会の一般的勧告29が、世系に基づく人種差別について述べている。2002年に同和対策が終わり、2016年に法律ができたが、特別財政があるわけではない。もっと情報が欲しい。



*マルガン委員

 ヘイト・スピーチについて、訓練、研修、ポスターの説明を受けたが、ポスターには「ヘイト・スピーチ、許さない」とあるしかし、どうやって許さないのか、それがわからない。解消法には刑罰がない。憲法上の問題があると言うが、これでどうやって許さないといえるのか。どのように許さないのか。何も書いていない。人種差別撤廃条約4条の要請についてどうしているのか。日本政府の説明は理解しているが、法律で刑罰をもうけないことが、んあぜなのか、日本で矛盾が生じるというのがわからない。ヘイト・スピーチにどのような制裁をすることで責任を示すのか。日本の報告書や政府の説明人種差別撤廃条約4条と関係がないのではないか。犯罪には刑罰、制裁が必要であり、そうでなければ4条の実施はできないのではないか。名誉毀損で処罰するという説明があったし、実際には許さないと言っているが、どういう方法なのか、具的的に許さないことができるのか。京都事件は、解消法によるものとは違うという。公務員の訓練や研修だが、スペインではヘイト・スピーチについてどのような動機を持って差別的なことをしたのか、4条に基づいて犯行の動機を明らかにする。ヘイト・スピーチについての訓練がないと、どういうものに制裁が必要か、警察官が判断できない。長期にわたる教育を徹底しているのか。4条に即してやっているのか。

 外国人は、法律に関係する仕事に就けないのか。法律にそう書かれているから職務に就けないのか。



*カリザイ委員

 ヘイト・スピーチ解消法ができたが、根絶できていない。ヘイトが増えているのではないか。

アイヌについて、過去の調査のことをきいた。前回の2013年の調査と2017年の調査で、アイヌの人口が15000から13000に変わっている。減っている。中学、高校、大学の進学率も減っている。2013年では92.6%高校、25.8%大学、なぜこのような状況になっているか。理由はわかっているのか。これは外国人が教員になれないことと関係あるのか。



*マルテネス委員

 日本政府は、委員会の勧告をフォローアップするメカニズムをどのようにしているのか。国際機関の勧告が実施されるメカニズム。いますぐに答えられないと思うが。



*鄭委員

 何度も言いたくはないが、「慰安婦」問題で、アジア女性基金はどのような効果があったのか。調査はあるのか。法的責任を明らかにしていないアジア女性基金のアプローチ、被害者に基金を支出と言うが全体をカバーしていない。矛盾があるのではないか。被害者の中に、隠れている人もいる。貧しくて、お金を断れない人たちもいる。吉田証言のことが出たが、「慰安婦」問題が日本で議論が始まって以来、市民社会では多くの他の証言があり、本が出ている。2015年の日韓合意には、多くの海外機関、国際機関が批判した。なぜなら、被害者中心アプローチでないからだ。ボスユイ委員も述べたとおりだ。不可逆的に解決したというが、これは人権に関わる問題である。被害者が同じように向き合っているわけではない。性奴隷制について、韓国市民社会ではそう受け止めている。1992年に、軍によって行われた性奴隷制と認識している。

朝鮮学校が支援を受けられないのは、法律の審査基準であり、政治的理由ではないというが、朝鮮総連との関係だというのなら、政治的に言っているのではないか。



*ボスユイ委員

 2016年のヘイト・スピーチ解消法以後も、市民社会からの報告によるとヘイト・スピーチが続いている。差別がある。少数民族も対象にされている。被害者を外国籍に限定する必要はない。他の集団も対象に入れて、法律を充実させる余地がある。

 「慰安婦」について、日本政府の法的見解は聞いたが、これは人間の尊厳に反する問題である。事実を矮小化し、否定する発言は言ってはならないことである。

 朝鮮学校の無償化除外は、子どものせいではない。日本人拉致問題と関係あるのか。助成金をもらっているところも、ないところもあるが。権利があるのか。歴史的背景があるが、子どもたちが助成金を受け取れないことはあってはならない。



*ディアビー委員

 民族的緊張を解決し、部落差別をなくすには、影響を受けるコミュニティが出てくる必要がある。マイノリティっがこうした委員会に参加できないとか、イベントに出られないのも懸念がある。

 差別にはいろいろある、マイノリティ女性の差別がある。2016年解消法以後、コリアン女性、子どもたちがヘイト・スピーチ被害を受ける恐れを当事者はきにしている。朝鮮人へのヘイトが多すぎる。調査では、47%のヘイトは国籍に基づいているという。、ジェンダーヘイトも多い。1500人の部落女性の調査によると、多くの差別が明らかになっている。2004年のアイヌ女性の調査では、46%しか高校を卒業していない。教室での差別、があり、卒業できないのではないか。移民女性は、被害を受けても警察署に行くのがいやだという。社会保険も、国籍のない障害者は受けられない。障害、年齢その他の差別がある。平等な権利を保障し、尊厳を損なわないようにするためどうするか。裁判所の調停員に、外国人弁護士も受け入れるべきではないか。





*日本政府

 人種差別撤廃条約第2条の世系descentの解釈は、条約制定過程を調べるた。日本が条約を批准したときの声明がある。時間が経過し、物事が変わった面もあるかもしれないので、そうした状況を認識している。しかし、条約締結時に解釈した内容で条約を締結した。

 締結時に、ヘイトについては、どのようなヘイトがあり、どのような対処が必要か検討した。刑罰がないと指摘されたが、日本は4abを留保している(*)。

(*註)だから、本来、報告する必要がない、委員会が日本について4abの審査をすることができない、という意味。

留保しているが、委員会には情報提供している。4abは留保している。解消法を説明したが、これは政府がどのようにして責任を果たすか、法律や政策を施行しているのか、今の情報をお伝えしたものである。

 「慰安婦」について、被害者の尊厳に関する問題であると理解している。アジア女性基金と日韓合意で解決したいと考えた。償い金は慰安婦に届けられた。遺憾の意、お詫びの意をどう実現するか、明確な目標を掲げ、最大限の努力をした。事実については誤解があり、誤解を生じさせる情報があった。証明されていない、はっきしりないことがあるが、なかったことを証明するのは難しい。実際に真剣に受け止めなければいけない。日本が反対を表明している点は、言葉として性奴隷という表現は適切な表現ではない。

 朝鮮学校については、表現に気をつけて言う、必要がある。カテゴリーではない、特定の学校とか、必ずしも民族と言うことではない。ある組織によって管理されている学校であり、適切な管理がなされる保障がない。これは差別ではない。政府からの財政が適切に使われるという確証を得られるかどうかである。

 ヘイト・スピーチは、難しい問題である。表現の自由の保障について、違う考えがあるかもしれないが、日本は優先順位をつけている。表現の自由の保障を優先することは、日本の誇りである。表現の自由に誇りを持っている、重んじている。それゆえ、どのように実際にヘイト・スピーチをとりあつかうのか。最終的な目標はヘイト・スピーチをなくすことである。差別をなくすため強いメッセージ、決してヘイト・スピーチをを許さないというメッセージを出している。どのように実施するのかときかれたが、2016年に一つの大きなステップをとった。これから見ていく問題で或。まだ、違う考えの人もいるので、啓蒙、啓発、漫画のメインメッセージが重要である。差別についての理解から始メル必要がある。差別は心を傷つける問題である。ここから出発する。解消法にどのような効果があるか、これについては時間をください。



*ボスユイ委員

 最終見解をまとめるに当たって、政府からも市民社会からも情報を得た。市民社会も活発である。差別をなくすために有益である。



*日本政府

・人事院――公務就任権については、公権力の行使・国家意思の形成にかかわる公務員には日本国籍を要する。これ以外、医師、看護士、研究機関には外国人もなれるし、一定程度進んでいる。地方公務員も同様である。家庭裁判調停員には国籍が必要である。公立学校の教諭は公の意思の形成にかかわる、講師については運営そのものに参加しないので、1992年度から、すべての都道府県で講師になれる。

・内閣官房――アイヌの遺骨の保管状況の調査、集約返還を行っている。大学について2017年に公表、博物館について2016年に公表した。文部科学省で、今後の返還、手続きについての検討進めている。アイヌの人口減は、高齢化や移住、移転によるものと、個人情報に関連してアンケートへの回答に変化がある。高等教育へのアクセスは、確実に効果があがっている。教育の充実は、北海道の奨学金事業などもある。それゆえ、外国人教員の問題ではない。










Friday, August 17, 2018

人種差別撤廃委員会・日本政府報告書審査(3)


2018年8月17日午前10時

国連人権高等弁務官事務所(パレ・ウィルソン)1階会議室

人種差別撤廃委員会96会期



*以下の記録は現場での簡単なメモです。ダブルチェックを経ていません。残念ながら意味不明の部分もあります。訳語の選択もいい加減です。CERDの雰囲気をごくごくおおまかに伝えるものとしてご了解ください。論文等で引用することはできません。



*シェパード委員

 マイノリティの統計だが、学生・生徒の統計、マイノリティ別、年齢別が、わかるか。

修学支援金制度だが、コリアン系の学生が大学進学に困難を抱えている。その関係で、日本政府はユネスコ教育差別禁止条約を批准していない。平等教育の要請、差別しないという基本コンセプトを政策に取り入れるべきである。日本人と同様に、教育が必要な人すべてに機会を保障すべきである。ユネスコ教育差別禁止条約第1条、3条、4条は、差別のないこと、優遇しないことを求めている。

「慰安婦」について、市民社会はどのように平等をもたらし、解決するか提案している。



*日本政府の答弁

 昨日は委員から130の質問があったと理解している。できるだけ多く回答したい。

 条約第4条abの留保問題であるが、差別思想の流布、差別の煽動行為は、特定個人や特定団体の名誉や信用の保護として対処している。個人が特定されれば、名誉毀損、信用毀損、業務妨害脅迫、暴力行為等処罰法の集団的脅迫罪などで対処する。条約第4条の概念には様々な場面における様々な態様の広い規制は、制約の必要性、明確性に問題がある。表現の自由の規制には、合理性が厳しく要請される。規制の明確性、罪刑法定主義など、憲法の保障と抵触するおそれがあるので、日本としては留保を付した。今の日本が留保を撤回して、正当な言論まで不当に萎縮する危険性のあるような追加的な措置を執る必要がある状況になっているとは考えてない。慎重に検討している。

 包括的な人種差別禁止法についての指摘があったが、憲法141項の法の下の平等の規定があり、これを踏まえて、雇用、教育、医療、交通、国民生活など公共性のアルバアメンでは、関係法令で差別待遇の禁止をしている。雇用については労基法3条で、国籍、信条に基づく差別の禁止がある。教育基本法4条で、人種、性別などによる差別は否定されている。医療法、医師法、薬剤師法などでも、正当な理由がなければ診療を拒めない。航空法、鉄道事業法でも、不当な差別を禁止している。外国人であることを理由にサービスを拒否すると、民法の不法行為で訴訟の対象にもなりうる。流布や煽動の処罰という問題は、表現にかかわる。特定個人に対するものは、名誉毀損罪などで処罰する。法務省は被害者の相談を尾を受けている。人権侵害のある事案について、速やかに調査、適切な措置をとり、アドバイス、援助、調整、侵害者に説示、勧告、要請がなされる。

 沖縄の人々について、先住民のことが指摘されたが、日本国民も沖縄出身者も等しく日本国民である。権利はすべて等しく保障されている。沖縄居住者も沖縄出身者も自己の文化を享受し、文化言語を否定されていない。沖縄は特色豊かな文化、伝統を持つが、日本の地方としての文化である。先住民はアイヌ以外は存在しない。沖縄の人々が先住民との認識は国内に広く存在しない。2015年12月、とよみじょう市議会(*)は先住民ではないと決議した。石垣市議会も同様に、先住民との指摘はあたらない、という決議を行った。

(*註)豊見城市議会のことを、日本大使は「とよみじょうしぎかい」と読んだ。20数名の日本政府代表団の誰も訂正しなかった。

 米軍事故被害者の件だが、普天間飛行場の辺野古移設は、危険性を一刻も早く除去する唯一の解決策である。

 沖縄の文化、伝統の保護は、各地域における特色豊かな文化、伝統と同様であり、政府はそのように認識し、敬意を払い、保存、振興に力を入れている。若年者失業率の問題はあるが、1972年以後のさまざまな施策により、就業者は増加している。着実に改善していると認識している。

 部落問題だが、人種差別撤廃条約起草過程を見ると、descentは、皮膚の色や民族的種族的出身に着目した概念であって、社会的出身に着目した概念ではない。同和問題は該当しない。同和地区の人々は異人種、異民族ではなく、疑いなく日本国民である。いかなる差別もあってはならないのは、当然のことであり、憲法14条はすべて国民が差別されないこと、法の下の平等を要請している。他国のカースト制への言及があったが、いずれにせよ同和は条約適用対象ではない。それゆえ、日本政府報告書は同和について記述していない。条約の対象ではないが、日本政府は委員会に対して可能な限り情報提供を続ける。

 「慰安婦」問題だが、人種差別撤廃条約との関係で言うと、個人の請求権についての政府の法的立場は昨日説明したとおりである。政府は、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題と認識している。政府及び国民のお詫びと反省の気持ちをいかに表すかを考え、議論した結果、アジア女性基金に結びついた。高齢になった「慰安婦」に対して、医療支援、償い金を支給し、最大限の協力をしている。現職の総理からお詫びの手紙もお届けした。コリアン以外にも被害女性がいるとの指摘があったが、アジア女性基金の現実的救済は、韓国、フィリピン、台湾に行った。福祉事業もあり、インドネシアでは被害女性の特定が困難なため、高齢者福祉施設への財政支援をした。オランダも、被害者の公的な認定がないので、先の大戦で、傷を受けた方への財政支援を行った。韓国以外の国々にも可能な限りやっている。

 あえて申し上げたいのは、韓国国内では国家賠償を要求しているため、アジア女性基金の受け入れ表明した方が社会的に批判や圧力を受けた。アジア女性基金を受け入れたのは61名で、基金を支給したが、その方達からお礼の言葉が寄せられている。日本政府と日本国民の気持ちが通じた。ただ、61名という数字は公表を控えてきた。これh批判を受けるため、その人達の立場を配慮してきたのである。

 慰安婦問題を否定する発言、事実を歪曲する発言については、明確に申し上げているように、日本は否定していない。ただ、一部に不正確な情報、理解がある。例えば、この問題が知られた経緯が不幸であった。吉田清治証言は、軍の命令で女性狩りをしたというが、これは虚偽の事実であるにもかかわらず、当時、新聞で報道され、そのイメージをつくった。後に吉田証言は創造(想像?)の産物であると証明され、新聞社も誤りを認め、謝罪した。この経緯は十分知られていない。というよりっも、無視されている。客観的な見方をしながら議論する必要があり、有識者学者の研究成果もあり、英訳されている。

 2015年の日韓合意は、両国政府が解決のために多大な外交努力をして、時間とエネルギーをさいて、最終的かっつ不可逆的な解決にいたった。潘基文・国連事務総長(当時)も歓迎したし、国際社会が歓迎した。和解癒し財団に10億円を提供し、名誉と尊厳の回復、心の傷の癒し事業を行っている。韓国には47名の生存者がいるが、36名が事業に賛成し、34名が医療、介護支援を受けている。名誉と尊厳の回復のために、合意が着実に実施され、次の世代に引きずらせないことが重要である。

 性奴隷という表現については、慰安婦を性奴隷と称することは事実に反するので不適切であり、日本政府は強く反対している。日韓合意の中でも性奴隷という表現は一切使われていない。

 国内人権機構については、これまでの状況を踏まえ適切に検討している。その権限、対象事件を含み様々な意見がある。パリ原則に留意しながら、引き続き検討しているが、まだ具体的な内容をお話しできる段階ではないのが現状である。

 人身取引について、2005年、禁止議定書3条がある、人身取引、組織犯罪防止議定書締結のために必要となる罰則を整備するため、刑法改正を行った。人身取引のすべてが犯罪とされている。外国人被害者の保護のため、出入国管理法により特別在留許可をしている。被害者保護のため、大使館と連絡し、婦人相談所、そして警察が指示、適正に処理、している。既存の法律においてあらゆる形態の人身取引を禁止し、要請を満たしている。それゆえ、特別法を制定する必要があるとは考えていない。対策としては、適切に対処し、2104年に総合的包括的な行動計画2014を策定し、対策推進会議を背致死、この会議を中核として取り締まり、保護支援を実施している。

 人身売買の予防は、在留管理の面で、入国管理局が、疑義のある入国目的の場合、厳格な入国管理を徹底し、取り締まりを行う。警察は、労働搾取、性的搾取の目的の事案を認知した場合は取り締まりを徹底している。入国管理局は、不法就労強制されている被害者を守るため、不法就労事犯を取り締まる。

 人身売買に関する広報、啓発を行い、警察、厚労省が経営者団体への説明会を行っている、風俗営業に立ち入り調査もする。被害者の保護は、大使館や保護機関への連絡をするよう、指示している。就労活動に制限を受けない在留資格を有する外国人については、生活保護法に準じた取り扱いをしているので、被害者は定住者に準じた取り扱いをうける。被害者の立場、保護のため、在留期間の更新、変更許可が可能であり、原則在留特別資格を許可している。

国際的名協力の点では、2015年以後、IOMに協力して人身売買被害者の帰国支援、社会復帰支援、シェルター、法、教育、経済、就労支援を実施している。

法務省の人権相談では、助言、支援機関紹介、人権侵犯事件調査を行っている。海上保安庁も、犯罪被害者に刑事手続きの概要説明、捜査状況、被害者救済、不安の解消のため説明を、ウェブサイト、リーフレットにより周知している。医師法上の医師の義務として、外国人の診療を拒むことはできない。加害者に対する厳正な科刑の実現をはかり、周辺事案にも積極的に対応するため、警察庁、検察庁など、法執行タスクフォースをつくり、具体的事例をまとめた取り締まりマニュアルを、活用している

難民認定に関連して、1983年より、政府が委託している財団が、生活困窮、生活費、住居費、医療費、保護機関などを実施し、4ヶ月終了時にも困窮していると期間延長や、就労許可を、人道上の配慮で行っている。難民支援を受託実施している団体は、国民の理解をえるため広報、出前講座、国際協力シンポジウム、イベントを実施している。

法務省は偏見や差別を解消するため、ポスター、講演会、研修会、人権啓発活動を年間通じて全国各地で実施している。人権相談を通じて認知したばあいは、厳正に対処している。

宗教的プロファイリングについて、警察は法律の規定に基づいて公平中立に職務執行をしているので、プロファイリングに該当する活動は行っていない。警察学校では、人権尊重の教育をしている。捜査や留置業務従事者に、教育、研修、被疑者の人権に配慮した適正な執行、その教育をしている。

ユネスコ教育差別禁止条約について、すでに教育基本法に、差別されないという規定があり、教育政策の基本原則であるから、外国人に対しても、希望する者には義務教育の機会の保障、日本人と同等の扱いをしている。条約については、国内法との関連、施策について精査している。緊急性があるか、必要性があるか、総合的に判断し、慎重な検討をしている。教育差別禁止条約を締結する予定はない。

1954年の無国籍者の地位条約について、外国人を含むすべての者の権利について国際人権規約と重複する部分がある。二つの重要な人権規約を日本は批准しているので、これに加えて無国籍条約を新たに締結する意味はあるのか。他の条約との整合性を精査し、慎重に検討する。

地方自治体参政権について、1995年の最高裁判決は、憲法15条の公務就任権は、権利の性質上、日本国民のみ対象としているとし、憲法93条2項の公共団体機関の住民とは、区域内に住居を有する日本国民を意味するとし、外国人に選挙権を保障していない。ただ、判決は、一定の外国人への選挙権付与は憲法上禁止されていないとした。この点は、民主主義の根幹にかかわるので、国会の議論の行方を注視していきたい。

再入国許可に関連して有効な旅券のことだが、旅券を発給した国が署名する旅券を持っていない人には原則として入国を認めないのは世界共通である。日本も、有効な旅券、又は旅券に変わる証明書をもとめる。いずれかを所持しない者が再入国許可に基づき出国する場合、再入国許可証を発行するが、国際慣習法上の必要な措置である。みなし再入国は、韓国、朝鮮にも適用される。問題はっここで言う「有効な旅券」である。DPRK(北朝鮮)は日本国政府が承認していないので、有効な旅券ではない。他方、「一部の地域の権限ある機関が発行した旅券」について、当該地域との関係で日本は認めている。具体的には台湾、パレスチナを認めている。適用していないのはDPRKに限っていないので、人種差別ではない。

外国人の入居差別だが、住民調査により現状把握につとめている。賃貸住宅について、入居者選択は平等でなければならない。公的住宅については、関連法令で公正な手続き、要件を定めている。民間の住宅について、空き家・空き室の活用、外国人の入居を拒まない住宅について、セーフティネット、居住支援をして、円滑な入居促進を図っている。

外国人の教育について、移民の定義は難しいところだが、公立義務教育は無償で受け入れている。私立外国人学校に通う選択は自由である。労働では、雇用主に就職機会機能確保の指導啓発している。労働関係法令は国籍にかかわらず適用される。医療も、国籍にかかわらず適用される。

企業の人権については国連「ビジネスと人権」指導原則、OECD多国籍企業に関するガイドラインに従っている。すべての人々の平等のため「企業行動憲章」及び国別行動計画を策定しており、企業活動における人権保護促進を図っている。

・法務省――同和問題は、人種差別撤廃条約の関係で言えば、条約の対象ではない。差別解消推進法を制定した。解消法の部落差別の定義は同和における差別のことである。同和とは歴史的過程で形作られた身分差別、経済的社会的に低い地位に置かれている我が国固有の人権問題である。それゆえ差別意識解消に向けた取り組みをしっかり進める。啓発活動、人権相談、被害救済、予防である。2016年の解消法は、政府や地方公共団体の責務、教育、啓発。施策を充実させるため実態調査の準備をしている。調査結果を踏まえてより効果的な施策を進めるが、ヘイトと同様に、国民ひとりひりが差別を許さないという認識を持つことが重要なので、啓発冊子、ユーチューブに掲載している。解消法施行後、取り組みを引き続き、相談体制の充実を図っている。インターネット上の部落差別、地名のアップでは、プロバイダーに削除要している。戸籍への不当アクセスについては、2007年戸籍法改正により、不正な手段で取得すれば刑罰、請求書偽造は文書偽造罪である。なお、先ほど、通訳が人種差別racial discriminationと翻訳したが、部落差別は人種差別ではない。

・法務省――ヘイト・スピーチ解消法の対象が本邦外出身者に限られている点だが、差別的言動は許されないのは当然である。本邦外出身者以外の者なら許されるという理解は誤りであることは、国会決議の通りである。差別的言動は誰に対するものも許されないと断定する。禁止規定がない、処罰規定がないのは、理念法として成立したからである。法務省では、ヘイト・スピーチについて啓発活動、相談体制の整備、相談の利便性向上を諮っている。理念法の理念に基づいて解消へ向けた取り組みをしている。刑事事件については、捜査機関が、憎悪的、人種差別的言動には適切に対処している。名誉毀損、脅迫罪、強要罪が成立しうる。京都事件刑事事件では、4人の被告人が威力業務妨害罪等で、執行猶予つき懲役刑が確定下と承知している。2016年法制定の影響だが、ヘイト・スピーチは許されないという啓発活動等の取り組みをしている。法が制定・施行されたことが報道で大きく広く報道された。このことが契機となって、特定の民族を排斥する言動が許されないという社会の中での認識が高まった。被害者の相談窓口は、救済のため人権擁護局、及びその下部機関として法務局が全国311カ所に支局窓口をもつ。全国に14000人の人権擁護委員、法務大臣が委嘱した民間ボランティアがいて、人権相談、ヘイト・スピーチも含めて被害申告をうけ、救済手続き、関係者の事情聴取、説示、勧告をする。ヘイト・スピーチの統計にいついては、調査、差別的言動の調査がある。法律施行前の聞き取り調査、英訳を報告書添付で出した2016年外国人住民調査、及び2017年度世論調査がある。現在は法制定から2年あまりしかたっていない。世論調査によると、ヘイトデモの存在を知らない、関心がない国民が一定数いることが判明した。それゆえ、法律の周知、啓発活動をしている。より効果的な状況把握方法を模索しているところである。

・総務省――メディアを通じた煽動について、放送法では、放送事業者に公安や善良な風俗を害することないよう、番組編集を求めている。公安及び善良な風俗を害しない、事実を曲げないこととされている。自主自立編集こそが重要な社会的役割を果たしている。

・法務省――オンライン上のヘイト・スピーチについて、通信関連事業者団体、プロバイダー、民間団体に、政府は「違法有害情報への対応に関する契約約款モデル条項」の作成を支援した。インターネット上について、法務局は、被害者から申告を受け付けている。申告があれば、すみやかに該当する情報を確認し、被害者にプロバイダーへの削除依頼の具体的方法を助言している。被害者が自ら被害回復が困難な事情がある場合、被害者や関係者から事情を聞き、侵害情報の違法性を判断する。違法であると判断すれば、法務局が削除要請することもある。ヘイト・スピーチについて、裁判官、警察官、公務員に研修している。それぞれ研修を広く実施している。一般の国家公務員、地方公務員、教員、警察、裁判官、矯正職員、入管、検察庁職員に人権教育している。

差別的言動の予防方策について、嫌悪感、差別意識を生じさせる、対立を煽るので許されないので、解消が必要である。社会全体の改善、人権意識、許されないという認識が必要で或。外国人を自然に受け入れ互いに認め合う社会である。講演会、ポスター、漫画、ドラマ風動画等を、法務省ホームページにアップし、誰でもアクセスできる。「ヘイト・スピーチ、許さない!」のポスターを掲示した。漫画は大人にも子どもにもわかりやすく伝わる。漫画、リーフレット、外国人相談窓口、電話相談等、日本はソフトアプローチを通じて、差別撲滅を目指している。差別をなくすのはとても難しいが、一方に禁止や罰則という選択肢があるが、解消法は理念法であり、地道な啓発が遠回りに見えるが重要である。与党のみならず野党も議論し、犯罪化の可能性も議論の対象となったが、理念法について合意で成立した。公人のヘイト・スピーチについて、一部刑法で処罰できる。規制から公人が除外されているわけではなく、刑事事件として取りあげるべきものがあればとりあげる。

・文部科学省――前提として外国籍の子ども達の教育を受ける権利を確認する。子どもについて公立義務教育、小学校、希望すればすべて無償で受け入れテイル。現に、7万5000人の外国籍子どもが公立学校に通っている。就学支援、母国語支援員派遣もしている。他王、外国人学校入学の選択権もある。各種学校として、126の外国人学校がある。修学支援金について、対象となる生徒の国籍を限定していない。すべての子どもが対象であり、日本国籍と同じである。外国人学校も各種学校であり、高等学校の教育課程に類する課程を備えていれば、支給対象である。この制度は学校が生徒に代わって受領する。学校において管理を適切に行うことが求められる。法令に基づき適切に行われることが条件である。朝鮮学校への適用については、当時の法令に則って定められたが、法令に基づき適切に行われることが十分な確証が得られないため、審査基準に適合すると認定できず、不指定となった。法令の審査基準に合致しないためであり、国籍による差別ではなく、政治外交上の理由から対象外とするものではない。今後、要件を満たせば適用対象となる。裁判については、5カ所の地方裁判所に提訴があり、4カ所で一審判決が出た。大阪以外の3カ所では国側の主張が認められた。いずれも控訴され、係争中である。

    地方自治体の助成金については、地方自治体が独自の判断で行うものである。2016年3月、文部科学大臣が、補助金の適正かつ透明性を求める通知を出したが、これは特定の学校についての何らかの措置を促すものではない。自治体が独自に創設した助成金は、地方の実情に基づき、自治体自身の判断で行うものである。大学入学資格については、外国人学校の卒業者は、学力審査により、一定の要件で入学資格を認められる。資格は多様化してきた。1999年、外国人学校児童生徒も大学入学資格検定可能になり、2003年、大学の個別審査で学習歴審査を行い、高校卒業と同等の学力と認めれば個別に判断できるよう制度の緩和をした。

    内閣官房――アイヌ総合政策室、教育の充実、雇用安定生活安定プログラムを策定している。北海道の推進方策は第3次(2016-2020)である。社会的経済的地位の向上につとめている。包括的実態調査としては、2017年に行った。アイヌについて周期的に行っている。推進方策の結果として、着実に効果があがっている。地方公共団体が施策実施しているが、政府はこれを後押し、支援している。

人種差別撤廃委員会・日本政府報告書審査(2)


2018年8月16日午後4時30分~6時

国連人権高等弁務官事務所(パレ・ウィルソン)1階会議室

人種差別撤廃委員会96会期



*以下の記録は現場での簡単なメモです。ダブルチェックを経ていません。残念ながら意味不明の部分もあります。訳語の選択もいい加減です。CERDの雰囲気をごくごくおおまかに伝えるものとしてご了解ください。論文等で引用することはできません。





*マルガン委員

 ヘイト・スピーチを規制する人種差別撤廃条約4条abについて、日本は留保しているが、スタンダードな実行のために留保を撤回できないか。人種差別撤廃委員会の一般的勧告35に照らして、条約4条abは重要である。表現の自由という理由で、ヘイト・スピーチを放置するべきではない。刑罰が設定される必要がある。憲法の制約があると言うが、実際の管理はどうするのか。

京都朝鮮学校事件判決では、侮辱罪、業務妨害罪、器物損壊罪のみが適用され、差別に対する対処がない。差別的表現をどのように特定するのか、法律がない。ヘイト・スピーチ解消法には罰則がない。犯罪というものには必ず罰則が伴う。実際に起訴されないなら、差別被害者は堪え忍ぶしかないのか。「コリアンを殺せ」と煽動する犯罪者、犯罪の煽動が明かなのに、表現の自由を口実に放置するのか、日本政府としてどうするのか。明らかに差別を煽動しているのを放置しているのか、犯罪化しないのか。

 40%の外国人が住居差別を経験し、30%が侮辱された。外国人に対する深刻な差別があることを日本政府は理解しているのか。このようなヘイト・クライム、ヘイト・スピーチの被害者は、政府に被害報告できるのか。被害報告に対応して政府は措置を講じるのか。被害者の恐怖を取り除くことをしたか。財政支援をしているか。ヘイト・クライムについて、政府は警察にどのように教育しているのか。どのように減らすのか。コリアンは日本で恐怖なしに暮らすことができるのか。コリアンが名前を日本名にする、通名にせざるをえないのはなぜか。



*マクドーガル委員

 「慰安婦」問題について、私は過去に触れたことがある。25年間、この問題に取り組んできた。理解できなかった部分もある。日本が障壁に直面しているようだが、償いをすることは容易なこと、当たり前のことである。最終的な解決をして欲しい。2015年の日韓合意では不十分である。和解は十分とは言えない。人権侵害に関する請求が多数ある。被害者を含めて、どのように応じるべきか、謝罪することである。この問題は、女性の尊厳の問題である。韓国の被害者が一番多いが、他国の女性に、そのような人権侵害をした。ヘイト・スピーチも関連する。ヘイトが続いている。差別発言をした政府高官が罰せられていない。韓国人へのヘイト・スピーチがあるが、野放しの中心は「慰安婦」に対するもので、傷口が広がり、長く続きすぎている。

女性に対する暴力、特に沖縄にも関心がある。沖縄の米軍による女性に対する暴力にも関心を寄せたい。



*ムリオ・マルティネス委員

アイヌの人口について、実態調査、7つの調査があるというが、2013年報告では、社会は差別をどう見ているか。33%の市民社会が差別を受けていると感じている。学校で、職場で、結婚で、さまざまな差別がある。今後も調査するのか。差別にはどのような刑罰が科されるのか。差別に対処する法律はあるのか。法律の統計的な影響データはあるか。被害者側の立証責任は、職場での差別についても適用されるのか。人種差別は職場でもおきる。

直近、コロンビアの日本大使館職員に会った。差別問題がグローバルリスクにとってどれだけ重要か。アフリカの先住民族は、気候変動のリスクにさらされている。現代では社会が小さくなり、相関関係が大きくなり、ある変化がみんなに影響を与える。日本はもっと活発にアフリカからの移民に取り組むことができるのか。世界的な人種差別問題に取り組むために日本は何をしているか、することができるか。日本には国際企業が多いが、人権保護の基準をどう設定しているのか。企業が外国で活動する場合の基準のことだ。



*イザク委員

 日本には2回訪問した。マイノリティ問題で、日弁連の招待を受け、NGOにも会った。大阪、東京で部落差別問題について話を聞いた。社会におけるヘイト問題である。

 差別、新聞、ソーシャルメディアでのコメントがあった。というのも、私の書いたことが日本語に訳されたので、いろんなコメントが書かれた。

 ヘイト・スピーチだが、誰がスピーカーなのか。どういう表現、文脈、経緯なのか。明らかにするべきだ。被害がどういうものかだけでなく、全体を見るべきだ。2016年以後も続いている、ヘイト犯罪は増えていると聞いている。2015年の法務省の数字では2000以上のヘイトデモがあったという。政府は、社会に対してもう一歩踏み込む政策が必要である。対話、多様化が不可欠であり、マイノリティに対する表現について措置を講じるべきである。

 先住民もそうだが、マイノリティの表現を見る必要がある。マイノリの声が伝えられない、マイノリティのメディアを支援することが、ヘイト対策として必要である。

 部落民の状況について、委員会の前回最終見解が出ている。部落民が世系に該当しないという日本政府の解釈は残念である。2002年の同和対策事業の終了から、2016年の法律に至ったが、具体的にどのように差別対処をしているのか。違法な戸籍調査に、刑罰はあるのか。部落地名総監事件、インターネットへのアップについて、差別撤廃のための抑制、禁止、制裁がないことに懸念を持つ。法律は部落に平等な状況を提供しているか。部落民が政策決定に参加して状況改善できるか。どのように保護するのか。内閣や政府の対策はどうなっているか。意識向上、啓発のために何をしているのか。





*カリザイ委員

 外国人には権利が認められているか。外国人は、各種の支援を受け取る際、日本人と同様でない場合に、これに対して申し立てできるのか。支援センターを利用できるのか。「サービスは受けられるが、権利はないのか」、権利があるのか。裁判判決でも公的支援を受けることができないとしているようだ。外国人が公的サービスを受ける条件は日本人とは別の資格を必要とされていないか。日本人はできるが、外国人はできない。

日本人と結婚した女性には定住ビザが与えられるが、移民女性は離婚すると権利が失われ、警察にDVを通報できない問題がある。これに対応する必要がある。

コリアンは日本政府によると少数民族ではないと言うが、市民的政治的権利に関する国際規約27条のもとでマイノリティ(少数者)に該当する。マイノリティとして、差別を受けない権利が認められるべきだ。旧植民地出身者の人権保障の必要がある。日本人と同じ権利があるか、自分の文化を学ぶことができるか。日本はまだ人種差別撤廃をしていないように見える。国籍や民族に基づく差別を調査すべきだし、差別がおきないように、差別に対処するように、憲法以外に具体的な法律が必要である。植民地出身者の多くの在日コリアンは、日本で生まれ育っている。日本の法律上の義務は果たしているのに、公務就労が制限されている。教員について、公立学校の教頭や校長になることができない。権利が何故ないのか。私がきいた例では、教員として生徒に接したいので、教頭になりたいわけではないが、できないことが問題だと言っていた。こうした差別を取り除けないか。コリアンは長く定住しているし、3世のコリアンもいるという。



*アフトノモフ委員

 再入国許可制度、2年以内、永住者は免除、DPRK(北朝鮮)のパスポートを持っていると別扱いになっているのは本当か。国交がないからと言うが、日本と国交がないのは他にもある。台湾、パレスチナのパスポートを日本は有効だと認めている。平等に扱われているか。この問題を解決することは容易にできるのではないか。

 中国人技能実習生の件だが、出稼ぎ労働になっている。労働組合の情報によると、インターンを派遣すると称して、訓練前に手数料名義で搾取がなされている。借金をおわされ、負債が発生したままである。労働組合情報によると、帰国した技能実習生の70数%は前納金、返還されなかったという。

 移住労働者について、法令違反が報告されている。最低基準違反、賃金不払いがある。厚生労働省は労働安全衛生規則を定めているが、守られているか。

 

*リー委員

 4条abを留保しているのは、残念である。これでヘイト・スピーチに対処できるのか。ヘイト・スピーチ解消法には具体的な政策がなく、予算がなく、調査の具体的方策もないので、懸念している。ヘイト・スピーチは、アジアに対するもの、中国に対するものが増えている。ヘイトをする政治的集団がつくられている。4条の留保撤回を再検討してほしい。そうしないと効率的な予防策をとることができない。また、ヘイト・クライム、ヘイト・スピーチの被害者の救済はあるのか知りたい。

 技能実習生は27万人以上のインターンという。2017年の法律があるが、違法行為について刑罰がない、差別に対する制裁がない。移民労働者が長時間労働、賃金差別、労働条件の劣悪さのもとに置かれ、借金を払うまで帰れない。帰るにしても受け入れ会社、監督機構に対して恐怖があり、申告できず、人権が守られていない。

 慰安婦については、前回勧告への応答は遺憾である。日本は国際的コミュニティの声を聞いて、きちんと解決して欲しい。



*鄭委員

 慰安婦問題は長い間、人種差別撤廃委員会だけでなく、多くの国連機関で議論されてきた。1990年代から議論してきた。この問題は、韓国人にとっては大きいが、しかし、日本と韓国だけの問題ではない。これは人間の尊厳の問題である。アジア、ヨーロッパ各地に被害者がいる。日本が適切な対策措置を取れば世界中から歓迎される。女性の人権擁護の否定、名誉毀損があるのは残念である。

 朝鮮学校について、地方自治体はそれぞれが助成金の判断をするという。政府は不適切な場合は適切な措置を執ると言うが、NGOからの情報によると、地方政府の助成金について、馳浩宇治が、各地の自治体に2016年3月、通知を出して、DPRK(北朝鮮)との関連を見るように指示している。知事は政治的理由で支援しない例が出てきた、支援がとめられた例がある。

 オンラインのヘイト・スピーチは非常に大きな問題である。不当な事実、情報が拡散し、世界中に伝わる。韓国にも伝わる。日本政府はどう対処しているのか。

 部落民について、人種差別撤廃委員会は、2010年に包括的定義を勧告し、2014年にも統一的な定義がないとした。かつて、国連人権委員会・人権小委員会が「職業と世系に関する調査」を行ったときにも議論した。なぜ日本政府は部落民を「世系」に入れないのか、



*ディアビ委員

 意見表現の自由との関連であるが、ヘイト・スピーチ解消法にもかかわらずヘイト・スピーチが続いている。他の法制度も使い、メディアも使って、ヘイト・スピーチを抑制することはするのか。

 琉球について、日本は先住民族ではないというが、人々が苦しんでいる。空軍基地があり、事故が起き、墜落胃子が或。事故の統計はあるのか。今後、住民を保護するのか、基地の近くに住んでいる人を守るのか。

 1952年に旧植民地出身者の国籍喪失がなされ、無国籍の人々が作り出された。無国籍条約についてどうするのか。

 移民、イスラムのプロファイリングが行われている。このことについても情報が欲しい。