Friday, August 17, 2018

人種差別撤廃委員会・日本政府報告書審査(2)


2018年8月16日午後4時30分~6時

国連人権高等弁務官事務所(パレ・ウィルソン)1階会議室

人種差別撤廃委員会96会期



*以下の記録は現場での簡単なメモです。ダブルチェックを経ていません。残念ながら意味不明の部分もあります。訳語の選択もいい加減です。CERDの雰囲気をごくごくおおまかに伝えるものとしてご了解ください。論文等で引用することはできません。





*マルガン委員

 ヘイト・スピーチを規制する人種差別撤廃条約4条abについて、日本は留保しているが、スタンダードな実行のために留保を撤回できないか。人種差別撤廃委員会の一般的勧告35に照らして、条約4条abは重要である。表現の自由という理由で、ヘイト・スピーチを放置するべきではない。刑罰が設定される必要がある。憲法の制約があると言うが、実際の管理はどうするのか。

京都朝鮮学校事件判決では、侮辱罪、業務妨害罪、器物損壊罪のみが適用され、差別に対する対処がない。差別的表現をどのように特定するのか、法律がない。ヘイト・スピーチ解消法には罰則がない。犯罪というものには必ず罰則が伴う。実際に起訴されないなら、差別被害者は堪え忍ぶしかないのか。「コリアンを殺せ」と煽動する犯罪者、犯罪の煽動が明かなのに、表現の自由を口実に放置するのか、日本政府としてどうするのか。明らかに差別を煽動しているのを放置しているのか、犯罪化しないのか。

 40%の外国人が住居差別を経験し、30%が侮辱された。外国人に対する深刻な差別があることを日本政府は理解しているのか。このようなヘイト・クライム、ヘイト・スピーチの被害者は、政府に被害報告できるのか。被害報告に対応して政府は措置を講じるのか。被害者の恐怖を取り除くことをしたか。財政支援をしているか。ヘイト・クライムについて、政府は警察にどのように教育しているのか。どのように減らすのか。コリアンは日本で恐怖なしに暮らすことができるのか。コリアンが名前を日本名にする、通名にせざるをえないのはなぜか。



*マクドーガル委員

 「慰安婦」問題について、私は過去に触れたことがある。25年間、この問題に取り組んできた。理解できなかった部分もある。日本が障壁に直面しているようだが、償いをすることは容易なこと、当たり前のことである。最終的な解決をして欲しい。2015年の日韓合意では不十分である。和解は十分とは言えない。人権侵害に関する請求が多数ある。被害者を含めて、どのように応じるべきか、謝罪することである。この問題は、女性の尊厳の問題である。韓国の被害者が一番多いが、他国の女性に、そのような人権侵害をした。ヘイト・スピーチも関連する。ヘイトが続いている。差別発言をした政府高官が罰せられていない。韓国人へのヘイト・スピーチがあるが、野放しの中心は「慰安婦」に対するもので、傷口が広がり、長く続きすぎている。

女性に対する暴力、特に沖縄にも関心がある。沖縄の米軍による女性に対する暴力にも関心を寄せたい。



*ムリオ・マルティネス委員

アイヌの人口について、実態調査、7つの調査があるというが、2013年報告では、社会は差別をどう見ているか。33%の市民社会が差別を受けていると感じている。学校で、職場で、結婚で、さまざまな差別がある。今後も調査するのか。差別にはどのような刑罰が科されるのか。差別に対処する法律はあるのか。法律の統計的な影響データはあるか。被害者側の立証責任は、職場での差別についても適用されるのか。人種差別は職場でもおきる。

直近、コロンビアの日本大使館職員に会った。差別問題がグローバルリスクにとってどれだけ重要か。アフリカの先住民族は、気候変動のリスクにさらされている。現代では社会が小さくなり、相関関係が大きくなり、ある変化がみんなに影響を与える。日本はもっと活発にアフリカからの移民に取り組むことができるのか。世界的な人種差別問題に取り組むために日本は何をしているか、することができるか。日本には国際企業が多いが、人権保護の基準をどう設定しているのか。企業が外国で活動する場合の基準のことだ。



*イザク委員

 日本には2回訪問した。マイノリティ問題で、日弁連の招待を受け、NGOにも会った。大阪、東京で部落差別問題について話を聞いた。社会におけるヘイト問題である。

 差別、新聞、ソーシャルメディアでのコメントがあった。というのも、私の書いたことが日本語に訳されたので、いろんなコメントが書かれた。

 ヘイト・スピーチだが、誰がスピーカーなのか。どういう表現、文脈、経緯なのか。明らかにするべきだ。被害がどういうものかだけでなく、全体を見るべきだ。2016年以後も続いている、ヘイト犯罪は増えていると聞いている。2015年の法務省の数字では2000以上のヘイトデモがあったという。政府は、社会に対してもう一歩踏み込む政策が必要である。対話、多様化が不可欠であり、マイノリティに対する表現について措置を講じるべきである。

 先住民もそうだが、マイノリティの表現を見る必要がある。マイノリの声が伝えられない、マイノリティのメディアを支援することが、ヘイト対策として必要である。

 部落民の状況について、委員会の前回最終見解が出ている。部落民が世系に該当しないという日本政府の解釈は残念である。2002年の同和対策事業の終了から、2016年の法律に至ったが、具体的にどのように差別対処をしているのか。違法な戸籍調査に、刑罰はあるのか。部落地名総監事件、インターネットへのアップについて、差別撤廃のための抑制、禁止、制裁がないことに懸念を持つ。法律は部落に平等な状況を提供しているか。部落民が政策決定に参加して状況改善できるか。どのように保護するのか。内閣や政府の対策はどうなっているか。意識向上、啓発のために何をしているのか。





*カリザイ委員

 外国人には権利が認められているか。外国人は、各種の支援を受け取る際、日本人と同様でない場合に、これに対して申し立てできるのか。支援センターを利用できるのか。「サービスは受けられるが、権利はないのか」、権利があるのか。裁判判決でも公的支援を受けることができないとしているようだ。外国人が公的サービスを受ける条件は日本人とは別の資格を必要とされていないか。日本人はできるが、外国人はできない。

日本人と結婚した女性には定住ビザが与えられるが、移民女性は離婚すると権利が失われ、警察にDVを通報できない問題がある。これに対応する必要がある。

コリアンは日本政府によると少数民族ではないと言うが、市民的政治的権利に関する国際規約27条のもとでマイノリティ(少数者)に該当する。マイノリティとして、差別を受けない権利が認められるべきだ。旧植民地出身者の人権保障の必要がある。日本人と同じ権利があるか、自分の文化を学ぶことができるか。日本はまだ人種差別撤廃をしていないように見える。国籍や民族に基づく差別を調査すべきだし、差別がおきないように、差別に対処するように、憲法以外に具体的な法律が必要である。植民地出身者の多くの在日コリアンは、日本で生まれ育っている。日本の法律上の義務は果たしているのに、公務就労が制限されている。教員について、公立学校の教頭や校長になることができない。権利が何故ないのか。私がきいた例では、教員として生徒に接したいので、教頭になりたいわけではないが、できないことが問題だと言っていた。こうした差別を取り除けないか。コリアンは長く定住しているし、3世のコリアンもいるという。



*アフトノモフ委員

 再入国許可制度、2年以内、永住者は免除、DPRK(北朝鮮)のパスポートを持っていると別扱いになっているのは本当か。国交がないからと言うが、日本と国交がないのは他にもある。台湾、パレスチナのパスポートを日本は有効だと認めている。平等に扱われているか。この問題を解決することは容易にできるのではないか。

 中国人技能実習生の件だが、出稼ぎ労働になっている。労働組合の情報によると、インターンを派遣すると称して、訓練前に手数料名義で搾取がなされている。借金をおわされ、負債が発生したままである。労働組合情報によると、帰国した技能実習生の70数%は前納金、返還されなかったという。

 移住労働者について、法令違反が報告されている。最低基準違反、賃金不払いがある。厚生労働省は労働安全衛生規則を定めているが、守られているか。

 

*リー委員

 4条abを留保しているのは、残念である。これでヘイト・スピーチに対処できるのか。ヘイト・スピーチ解消法には具体的な政策がなく、予算がなく、調査の具体的方策もないので、懸念している。ヘイト・スピーチは、アジアに対するもの、中国に対するものが増えている。ヘイトをする政治的集団がつくられている。4条の留保撤回を再検討してほしい。そうしないと効率的な予防策をとることができない。また、ヘイト・クライム、ヘイト・スピーチの被害者の救済はあるのか知りたい。

 技能実習生は27万人以上のインターンという。2017年の法律があるが、違法行為について刑罰がない、差別に対する制裁がない。移民労働者が長時間労働、賃金差別、労働条件の劣悪さのもとに置かれ、借金を払うまで帰れない。帰るにしても受け入れ会社、監督機構に対して恐怖があり、申告できず、人権が守られていない。

 慰安婦については、前回勧告への応答は遺憾である。日本は国際的コミュニティの声を聞いて、きちんと解決して欲しい。



*鄭委員

 慰安婦問題は長い間、人種差別撤廃委員会だけでなく、多くの国連機関で議論されてきた。1990年代から議論してきた。この問題は、韓国人にとっては大きいが、しかし、日本と韓国だけの問題ではない。これは人間の尊厳の問題である。アジア、ヨーロッパ各地に被害者がいる。日本が適切な対策措置を取れば世界中から歓迎される。女性の人権擁護の否定、名誉毀損があるのは残念である。

 朝鮮学校について、地方自治体はそれぞれが助成金の判断をするという。政府は不適切な場合は適切な措置を執ると言うが、NGOからの情報によると、地方政府の助成金について、馳浩宇治が、各地の自治体に2016年3月、通知を出して、DPRK(北朝鮮)との関連を見るように指示している。知事は政治的理由で支援しない例が出てきた、支援がとめられた例がある。

 オンラインのヘイト・スピーチは非常に大きな問題である。不当な事実、情報が拡散し、世界中に伝わる。韓国にも伝わる。日本政府はどう対処しているのか。

 部落民について、人種差別撤廃委員会は、2010年に包括的定義を勧告し、2014年にも統一的な定義がないとした。かつて、国連人権委員会・人権小委員会が「職業と世系に関する調査」を行ったときにも議論した。なぜ日本政府は部落民を「世系」に入れないのか、



*ディアビ委員

 意見表現の自由との関連であるが、ヘイト・スピーチ解消法にもかかわらずヘイト・スピーチが続いている。他の法制度も使い、メディアも使って、ヘイト・スピーチを抑制することはするのか。

 琉球について、日本は先住民族ではないというが、人々が苦しんでいる。空軍基地があり、事故が起き、墜落胃子が或。事故の統計はあるのか。今後、住民を保護するのか、基地の近くに住んでいる人を守るのか。

 1952年に旧植民地出身者の国籍喪失がなされ、無国籍の人々が作り出された。無国籍条約についてどうするのか。

 移民、イスラムのプロファイリングが行われている。このことについても情報が欲しい。

Thursday, August 16, 2018

人種差別撤廃委員会・日本政府報告書審査(1)


2018年8月16日午後3時~6時

国連人権高等弁務官事務所(パレ・ウィルソン)1階会議室

人種差別撤廃委員会96会期



*以下の記録は現場での簡単なメモです。ダブルチェックを経ていません。残念ながら意味不明の部分もあります。訳語の選択もいい加減です。CERDの雰囲気をごくごくおおまかに伝えるものとしてご了解ください。論文等で引用することはできません。



*今回の日本政府報告書


*人種差別撤廃NGOネットワーク報告書


*前々回(2010年)審査の様子



*前回(2014年)審査の様子







8月16日午後3時~

(傍聴のNGO・取材陣等は50数名で満席)



*冒頭に日本政府によるプレゼンテーション

 日本政府代表団は、伊原純一・在ジュネーヴ国際機関日本政府代表部特命全権大使、岡庭健・同副代表大使、大鷹正人・国連担当大使、杉浦正俊・人権人道課長ほか23名(外務省、法務省、文科省、警察庁など)。

 日本は1919年以来、人種差平等のために努力し、1948年の世界人権宣言、1965年の人種差別撤廃条約が採択されたが、国際社会の基本的価値、民主主義、人権、法の支配を日本も共有している。第二次大戦以後、日本は国連はじめ国際社会に協力してきた。

1.2016年にHS解消法を制定したが、これはHSには寛容ではいられないという意思表示で或ある。人権教育、ヘイト抑止の努力、促進を定め、HS根絶を図っている。日本は人権擁護の観点から、努力続ける。

2.先住民族アイヌについては、象徴的な民族調和のために、アイヌ文化センターを設立する。2020年、白老町にアイヌ・ミュージアムを開設する。これは長期的国家プロジェクトの一つで、アイヌの伝統を展示する。

3.市民社会との対話については、政府外務省のウェブサイトで情報をアナウンスし、NGOとの連絡をしている。政府はNGO活動の重要性を認識しており、継続対話していく。

4.世界中の各地から日本訪問があり、2010年以後、外国からの訪問が増加している。2020年の東京オリパラを控え、スポーツと人権について理解と関心を深め、オリンピック憲章に従って差別問題に取り組む。

5.リストオブコンサーンにある、HS解消法のことだが、差別的言動の廃止の法律である。各国語で容易にアクセスできるようにし、カウンセリングセンターで英語、中国語、韓国語、ベトナム語などのリーフレットを配布している。メディアにおけるHS、インターネットにおけるHSについても、人権侵害申し立ての受理を行い、多数の削除要請がなされているので、プロバイダーが対処するようにしている。

6.アイヌ民族については、閣議決定で先住民族と認定し、UN先住民族権利宣言の元で位置づけている。2009年、政府はアイヌ政策委員会を設置し、これにはアイヌ民族も入っている。北海道のアイヌの状況としては生活条件に格差が残るのが実情であり、政策を継続していく。教育については第3期促進計画(2016年)があり、奨学生計画を進めている。高校進学率も大学進学率も上昇している、雇用促進やアイヌ文化の保持も課題である。ユネスコは日本について危機にある言語を8言語あげたがその一つがアイヌ語、である。アイヌ語を維持するため、財政支援を行い、オーディオ教材作りを支援している。言葉の保存のためアイヌ語話者を支援している。アイヌ文化プロモーション、言語、文化、伝統的生活の記録も重要である。

7.技能実習生については、2016に新制度となり、2017年に発効した。第1に政府の責任、第2に人権侵害禁止、刑罰、第3にアドバイス、第4に監視、第5にそのための監視機関である。

8.人身売買については、パレルモ条約を批准し、越境組織犯罪対策として人身売買の根絶に努めている。2014年の行動計画があり、人身売買対策委員会を設置し、人身売買根絶に向けて努力している。警察は広範な情報収集を行い、不法就労についてホットライン、リーフレットを多数の言語で配布している。女性相談所で申告を受け付けている。警察は入管・移民担当局へ通報している。被疑者の刑事訴訟手続きについては法務省。また、入管、特別在留許可制度なども。政府は国際移住者機関IOMに協力している。

9.「慰安婦」問題は、条約採択以前、日本が条約を批准する以前の問題なのでCERDで取り上げるのは不適切である。しかし、政府の立場を説明する。これは女性の名誉と尊厳の問題であり、日本政府は官房長官談話で、真摯なお詫び、補償を図った。サンフランシスコ条約や二国間条約で法的には解決済みいである。しかし、政府はアジア女性基金を設立し、首相のお詫びの手紙とともに、償い金をお渡しする事業を2007年まで実施した。日本政府と日本国民の誠実な姿勢である。加えて、2015年の日韓合意で、最終的かつ不可逆的解決に至った。



*ボスユイ委員(日本担当報告者)

 人種差別撤廃条約第1条に基づいた人種差別の定義を国内で採用するべきである。

パリ原則に基づいた独立した国内人権機関の設立に向けた動きがあったはずだが、実現していない。

人種差別撤廃条約4条に関連して、メディアにおいてHSが見られる。差別や暴力が起こらないようにしているか。ヘイト・スピーチについてどのような調査、実態報告があるのか。公人によるヘイト・スピーチに対する制裁があるのか。2016年のヘイト・スピーチ消法には、適法居住要件があるがこれはどういうことか。包括的な法律の制定の必要性があるのではないか。差別発言、特に公人による差別発言がいないように、差別発言をした公人は解雇等の必要がある。2009年の京都朝鮮学校事件では、メガホンをもってヘイト・スピーチをしたと言うが、どのような制裁が法定され、実際に課されたのかがはっきりしない。

 アイヌ民族は16700人という統計がある。アイヌの生活実態調査が北海道でなされた。アイヌ語の危機だが、アイヌ文化が教科書に載っていない、学校で教えられない、是正された情報がない。また、学校でも職場でも差別がある。福祉、教育助成金を求めている。地方自治体にも国にも求めているが、解決していない。歴史的差別が継続している。アイヌについて、どのような法が施行されているのか不明確だ。教育権、労働権、文化、言語の権利が保障されていないのではないか。アイヌの歴史を教科書に掲載すべきである。自分の文化を学ぶこと、高等教育を受けることが重要である。

 琉球は1879年に日本に併合された。先住民として認め、権利を守ることが必要だが、日本は先住民と認めることを拒否している。委員会としては、本土から移住したい人は別として、琉球の先住民性を認め、権利を守る必要がある。

 部落民について、定義を採択し、協議することが必要だ。実際にどのような具体的対策を取っているのか。2002年に同和対策事業法が終了した。2016年に部落差別解消法ができて、初の用語使用になった。教育、相談、婚姻にも問題がある。戸籍の違法閲覧の規制が必要であり、差別を撤廃しなければいけない。

 イスラム教徒に対するプロファイリング、民族的宗教的プロファイリングがなされているという情報がある。

マイノリティ女性に対する侵害、先住民女性に対する暴力があるが、データがない。2015年にジェンダー平等計画ができて、良い影響を及ぼしている。

外国人女性と日本人の結婚、離婚、について、離婚した女性の権利保護が図られているか。

「慰安婦」問題では、沈黙を続けているという報告がある。第二次大戦後、被害者のままの状況が続いている。日本軍による「慰安婦」いは十分な調査・報告が必要である。適切な補償、謝罪が必要である。歴史の事実を否定する発言は遺憾、名誉毀損である。2015年の日韓合意で10億円、1995年のアジア女性基金、民間基金もあったが、歴史的に日本軍による深刻な人権侵害であり、日韓合意は「被害者中心アプローチでない」という情報がある。帝国主義軍隊による性奴隷制であり、人権侵害である。さらに情報が必要である。生存者と家族に適切な措置がなされるべきである。

外国人、移住者難民について、第1に移住者が増加している。基本計画、住居支援、教育支援が欠けており、健康、住居、就業にも困難を抱えている、第2に技能実習生問題は人権侵害、濫用である。2016年11月の新制度で、ゲストワーカープログラム、監視機関設立、プログラム監視というが、実態はどうか。63%増加、27万5000人、そのうちベトナム人1万以上という。労働力不足のため導入されているが、十分な措置がないという情報がある。

外国人の生活実態調査(4000人)によると回答者の40%が住居を断られた経験があり、3割が差別発言、25%が就業できない、「日本人のみ」という告知、看板が公に直接出されている例がある。規制する法律がないからと述べるNGOもある。外国人は年金制度からも除外され、年金に入ることができない。居住外国人の年金加入、健康保険、障害保険が必要である。国籍を差別の根拠にしてはいけない。

公務員の国籍要件の緩和も必要である。長期在住外国人も保護されるべきである。家裁調停員の問題もある。40万のコリアンは植民地時代から、何世代も日本に住んでも外国籍のままである。公務就労、奨学金、義務教育、義務教育を受ける権利の保障がなされるべきである。2017年7月の大阪地裁判決は、コリアンの子どもの教育を受ける権利を認めた。2010年以後、いろいろな問題、特に朝鮮(北朝鮮)との結びつきを理由に無償化除外、高校助成金の廃止が行われている。

人身売買について、原因究明、売買者の起訴、報告がなされるべきである。マイノリティについて、被害の詳細な調査報告が求められる。2005年の刑法改正、2014年改正の内容が不明確である。被害者は減っていると言うが統計はどうか。

難民・申請者、難民条約のもとで、申請が2万あるのに、実際の認定はとても低く、い0.17%、17件という。2016年には、430人が収容されたという。在留資格、難民サポート、貧困、社会保障が受けられない、シェルターは満員、申請者が収容センターに収容され、差別されている。



*クート委員(前回勧告フォローアップ報告者)

 2014年の前回勧告はいくつかの項目に1年内に報告を求めた。回答は2016年8月と11月に提出された。

 外国人女性に対する暴力問題では、日本人男性と結婚、離婚した場合の問題が十分に満足できる形で報告されていない。日本政府報告書の付録には、たくさんの統計があるが、意味がわかりにくい。外国人、市民でない者が2015年に、配偶者もしくはその子ども14万、統計は子どものことなのか、不明、日本人でないのか、不思議な数字である。

 「慰安婦」問題は、報告の中で表明されていないが、さきほど政府代表から口頭で説明があった。

 部落民についての、報告が十分でない。

Tuesday, August 14, 2018

人種差別撤廃委員会非公式会合


8月14日午前、人種差別撤廃委員会は、今週に審査対象となった国に関連するNGOとの非公式協議を行った。モーリシャス、キューバ、日本である。
人種差別撤廃委員会は、条約を締結した国が提出した報告書を審査する。しかし、委員は世界各国の実情を知っているわけではない。そこで、NGO報告書が重要な役割を果たす。政府報告書とNGO報告書を対比することで実情が見えてくる。このためNGO報告書の提出が認められてきたが、さらにNGO報告書の提出から直接話を聞く機会を設定した。それが非公式会合である。名称は非公式会合だが、委員会のスケジュールに組み込まれ、通常の会合と同様に3時間かけて行われる。
14日午前の非公式会合では、モーリシャス、日本、キューバの順でNGO代表がそれぞれの関心事項を委員会に口頭で報告した。以下、日本関連。
日弁連は、日本政府が条約の個人通報制度を受け入れていないこと、家庭裁判所の調停委員に国籍条項が適用されていること、ヘイト・スピーチ解消法には限界があり包括的な人種差別禁止法が必要であることを述べた。外国人人権法連絡会は、ヘイト・スピーチ、ヘイト・クライムの実情を報告した。朝鮮総連本部銃撃事件のようにヘイト・クライムがおきている。インターネット上のヘイト・スピーチも野放しである。人種差別撤廃NGOネットワークは、政治家や公務員による人種主義的発言を麻生太郎発言や大阪府警「土人」発言を例に報告した在日本朝鮮人人権協会は、朝鮮学校の高校無償化除外や助成金差別、出入国管理における朝鮮人差別を報告した。民団は、外国人の選挙権問題、及び関東大震災朝鮮人虐殺の否定問題を取り上げた。Wam(女達の戦争と平和資料館)は、日本軍性奴隷制に関して真実と記憶の権利を語った。移住者と連帯する全国ネットワークは、技能実習生問題、移住女性に対するDV問題を報告した。反差別国際運動は、部落、アイヌ、琉球に対する差別、女性に対する複合差別を取り上げた。
続いて、北海道の団体から、小野寺まさるという元道議会議員(?)が、アイヌ民族は先住民族ではないという独自の主張を展開した。さらに、日本への根拠のない批判を是正する学者連合の山下英次が、日本は100年前から人種差別に反対してきた、人種差別反対の先頭は日本であり、イギリス・アメリカによって日本人が差別されてきた、などと主張した。
その後、委員から、モーリシャス、日本、キューバにそれぞれ多数の質問が出て、質疑応答が行われた。日本担当のボスユイ委員(ベルギー)は、委員会に提出されたNGO報告書の全体を整理し、そのなかに、市民社会からの健全な報告書と、妙な報告書があると分けていた。今回、在特会などいくつかのレイシスト集団が報告書を出しているので、そのことであろう。
日本政府報告書審査は16日午後と17日午前である。

Monday, August 13, 2018

ラングマット美術館散歩


週末は温泉の町バーデンに行ってきた。バーデンBadenというのは文字通り温泉の意味で、温泉町だ。スイスには、イヴェルドン・レバンにも温泉があり、温泉プールだ。バーデンではいくつもの温泉宿があり、アトリウムホテル・バーデンはプールではなく温泉風呂。


ラングマット美術館という小さな美術館があったので寄ってみた。ジョン・ブラウンという資産家・美術愛好家が、自分や一族が収集した美術品と、ラングマットの邸宅をバーデン市に寄贈して作られた美術館だという。

主な所蔵品は印象派で、販売しているカタログも、

A Home for the Impressionists, The Langmatt Museum, 2005.

というタイトルである。300頁あり、意外にしっかり編集されている。授業で使えるので買ってきた。

絵画の他に、家具、食器、ブラウン家の蔵書(18~19世紀のルソー、ヴォルテール、モンテスキュー、ゲーテ等々)が展示されている。


絵画は、コロー、ブーダン、ピサロ、ルノアール、シスレー、モネ、ルドン、カサット、ドガ、ゴッホ、ゴーギャン、セザンヌ、ボナール、フラゴナール。

コローはアルバノの女性、ナポリ。ピサロは、収穫、モンマルトル。ルノアールは10数枚あって、女性の肖像画、ボート、アネモネとバラ、読書する少女。シスレーは、モレ教会。ドガは、女性ヌード。セザンヌもたくさんあって、ポントワーズ、水浴、シャトーノワール、リンゴ数点。なかなかの見物。

バーデンにこんな美術館があるとは知らなかったので、行って良かった。

崩壊する「戦後の国体」と、可能性としての「民衆の力」


白井聡『国体論――菊と星条旗』(集英社新書)

すでにベストセラーとなっているようだが、『永続敗戦論』の著者による刺激的な近現代日本論であり、現代世界論への鋭いコミットメントである。

近現代日本には2つの国体があった。1つ目は明治維新から8.15の敗戦に至った「国体」であるが、1つめは敗戦後のアメリカ占領、戦後改革の中で天皇からアメリカにスライドした「戦後民主主義」「戦後平和主義」の日本の「国体」――日米安保条約を基軸とし、絶対化した、親米日本の国体である。

白井は、2つの国体の概念整理をし、本書の問題意識を提示した上で、第1の国体の形成過程を提示し、続いて第2の国体の形成を追いかける。同様に2つの国体の相対的安定期と崩壊期を分析し、現在の国体もまた崩壊の危機のさなかにありながら、ゾンビのごとく継続している不思議さに迫る。本書冒頭に掲げられた「年表 反復する国体の歴史」がきわめて簡約かつ鮮明にそのストーリーを示している。

近現代日本の歴史の一コマ一コマをどのように位置づけ、どのように読み解くかについては、数多くの異論がありうる。しかし、そうした議論にはあまり意味はない。白井が提示する大枠の図式=歴史認識の視座と思想を内在した図式――あえて図式的に語ることによって読者の理解を促している――には説得力があるだろう。

憲法9条改悪、集団的自衛権、戦後レジーム、沖縄の米軍基地、TPPをはじめ、アベシンゾー政権が重ねてきた憲法無視の悪行の根因も見事に分析されている、他の視座による分析ももちろんありうるし、それは両立するだろう。問題は「戦後の国体」として描き出された内実が、なるほど「国体」であるが故に「不可視」となり「自然」となり、「国体」であるがゆえに日本社会に内在化し、無自覚の内に物事が進行する愚昧の帰結を見たということである。

私たちがなぜここまで「愚か」になったのかを、これほど説得的に提示した本は珍しいだろう。その愚かさの自覚を求める白井は、本書末尾で、歴史の転換を実現するには「民衆の力」しかなく「民主主義とは、その力の発動に与えられた名前である」という。

その通りだが、いかにして「民衆の力」の発動を可能とするのか。その条件は本書で示されたのだから、あとは民衆の自覚と立ち上がりに期待するしかないのだが、その展望が日本社会にあるだろうか、と問わざるを得ない。そこまで白井に要求するのは、白井に「予言者」たることを求めるようなものかもしれない。

いずれにせよ、白井の学問と冒険と覚悟と闘いが、ここに結晶して燦めいている。

Friday, August 10, 2018

フェイクとヘイトの「闇」に迫る


永田浩三編『フェイクと憎悪――歪むメディアと民主主義』(大月書店)


「本書は、新聞、放送、出版、書店、インターネット等、それぞれの最前線で活躍するひとたちと、気鋭の研究者や運動家が、『フェイクと憎悪』の内側に生々しく迫り、この歪んだメディアの現実にどうすれば歯止めをかけ、日本社会に健やかさをもたらすことができるかを論じるものである。」


序章の永田浩三「いまメディアに何が起こっているのか」では、放送法第四条撤廃問題を手がかりに報道における「政治的公平性」問題を問い直し、逆に政治家によるフェイク発言の実態を取り上げつつ、TOKYO MXテレビの「ニュース女子」番組問題に言及しつつ、「情報の隠蔽や改ざん、政治家の見識のなさ、メディアの不勉強や取材の甘さ、ひとびとの無理解と差別・偏見・・・これらが絡みあい燃料となることで、『フェイク』と『ヘイト』っが燃え盛る。さらに、日本社会特有の自粛や忖度、メディアへの過信と不信という相矛盾する感情が、事態をさらに悪化させているように思う」という。こうしたメディアの「闇」に切り込むために本書は企画・編集された。


第一部「歪むメディア」では、「ニュース女子」問題について二つの重要論考が収められる。一つは斉加尚代「歪曲される沖縄の基地反対運動――大阪からみた沖縄とメディア」である。著者はMBS毎日放送報道局デイレクターで、『沖縄さまよう木霊――基地反対運動の素顔』の担当者で或。すなわち、『さまよう木霊』取材で明らかになった沖縄の現実と、「ニュース女子」が捏造した「報道」が対比され、問題の所在が鮮明にされる。

もう一つの、ノンフィクションライター西岡研介「関西テレビ界に蔓延る『チーム純愛』の闇」は、捏造番組「ニュース女子」を生み出した人脈に焦点を当て、やしきたかじんの評伝、『たかじんno~』、『たかじんのそこまで言って委員会』へと「過激な本音トーク」を売り物にした番組作りをしてきたスタッフ、そしてDHC会長の極右思想がどのようにして結びついてきたかを追跡する。

以上の3本の論考を読むだけで本書の重要性は明かである。「『フェイクと憎悪』の内側に生々しく迫」るという編者の問題意識がヴィヴィッドに活かされている。


他方、川端幹人(元『噂の真相』副編集長)「劣化する『保守』論壇誌と極右運動」は、安倍政権の登場とともに、極右運動が全面展開し、ついには「保守」論壇誌を事実上乗っ取り、歴史修正主義と陰謀論が跋扈してしまう経過を追跡している。

臺宏士(フリーライター、元毎日新聞記者)「産経新聞による記者・メディアへのバッシング」も同じ問題意識から書かれている。政権を追及する記者に対する猛烈な攻撃(例えば望月衣塑子・東京新聞記者)、植村隆元記者への中傷、沖縄二紙に対するバッシングと誤報を素材に、極右思想に乗っ取られたメディアの悲惨な実態を暴く。

さらに、北野隆一(朝日新聞編集委員)が、産経新聞の「歴史戦」と訴訟が結局のところ自爆に終わった経過を詳しく紹介する。立岩陽一郎(調査報道NPO「ニュースのたね」編集長)はトランプ政権に関する報道に代表される国際報道の歪みを指摘する。


第二部「公正な言論空間とは」では、フェイクやヘイトに対するチェック(古田大輔)、「日本スゴイ」論の末期症状(香山リカ)、「言論の闘技場」としての書店(福嶋聡)、日本型ヘイトウオッチ(梁英聖)、ネット社会における世論(辻大介)の諸論考を収めている。


編者は最後にこう述べる。

「歴史に対する無知や差別に基づき歪曲された情報を大手メディアが垂れ流し、ネットを介して弱者に集中的に降り注ぐなどということは、許されざる事態であり、わたしたちが生み育ててきた人権を尊重する社会とは相いれない。そうした暴力にどう歯止めをかけるか、法律による具体的な規制を作ることを含め、わたしたちにとっての喫緊の課題である。」

Thursday, August 09, 2018

人種差別撤廃委員会、日本報告書審査に向けて


8月9日は小雨で、過ごしやすい気温だった。8日まではかなり暑かったが。9日午後は人種差別撤廃委員会でボスニア・ヘルツェゴヴィナ政府報告書の審査だった。最初に政府のプレゼンテーション、続いて担当のシェパード委員(ジャマイカ)が総括的な分析を行った。あとは各委員の質問や所見。クート委員(トルコ)、洪恵子委員(日本、南山大学教授)、マクドーガル委員(アメリカ、元国連人権理事会マイノリティ問題独立専門家)、アフトノモフ委員(ロシア)、カリザイ委員(グアテマラ)等。

委員は18人。条約締結国政府による選挙で欧州、アフリカ、アジアなど地域別で選ばれる。任期は4年だが、2年ごとに半数改選。現在の委員は、2020年までの委員と、新任の2022年までの委員がいる。その中に洪委員、鄭鎮星委員(韓国、元人権理事会諮問委員会委員)、リタ・イザク-ンデイエ委員(ハンガリー、元国連人権理事会マイノリティ問題独立専門家)。

第96会期の審査対象は、ボスニア・ヘルツェゴヴィナ、中国、キューバ、日本、ラトヴィア、モーリシャス、モンテネグロ。日本は16日午後と17日午前。午後は3時~6時、午前は10時~1時で、合計6時間の審査である。日本は今回が4回目だ。2001年、2010年、2014年と、これまですべて傍聴してきた。2001年の時にジュネーヴで協力したNGOは、同年8~9月のダーバン会議でも一緒に活動し、そこから人種差別撤廃NGOネットワークに発展した。今回も人種差別撤廃NGOネットワークは、政府報告書とは別にNGO報告書を提出した。来週は、NGOネットワークの仲間達がたくさんジュネーヴ、パレ・ウイルソン(国連人権高等弁務官事務所)に集結する。

ギゾー、ネツゾー、アベシンゾーの日本をいかに変えるか


瀬畑源『公文書問題――日本の「闇」の核心』(集英社新書)



同じ新書で『国家と秘密――隠される公文書』を書いた著者による最新刊。公文書問題の専門家と思っていたが、本来の研究テーマは戦後の天皇制だそうだ。

『時の法令』の連載を1冊にまとめたもので、公文書問題の基本を丁寧に、わかりやすく解説している。情報公開と公文書管理の重要性、特定秘密保護法の問題性、各論では豊洲市場問題、南スーダンPKO文書問題、森友学園、加計学園、そして国立公文書館新館建設問題、東京都公文書管理条例などを取り上げている。まさに安倍政権と小池都政の「闇」の核心が公文書問題である。

憲法の規定にもかかわらず「国民主権」が機能しない理由の一つが公文書問題にあることがよくわかる。政策決定や国民から遠い世界で行われる。公文書が隠蔽され、廃棄され、あるいは作成されないなどの事態により政策の事後検証がなされない。これでは民主主義が成り立たない。政治家と官僚による国家の私物化が自由自在にできてしまう。私物化の権化アベシンゾーの時代に事態はさらに悪化した。

ギゾー、ネツゾー、アベシンゾーの日本をいかに変えるか。それが問題だ。

Wednesday, August 08, 2018

私に追悼する資格などないが ――翁長雄志沖縄県知事死去


8月8日、翁長雄志沖縄県知事が亡くなった。膵臓癌のため手術を受け、さらに入院中だったが闘病かなわず、67歳の早すぎる逝去である。ご家族の思いはいかばかりか。と同時に、辺野古基地建設反対運動をともに闘ってきた沖縄の人々の心中も察するにあまりある。



沖縄に米軍基地を押しつけ、その撤去のために何もできずに来た本土のやまとんちゅの一人に過ぎない私に、翁長さんの追悼を述べる資格があるのか、と考え込まざるを得ない。



とはいえ、尊敬する政治家の死を悼み、敬愛する人間の早すぎる死を惜しみ、私なりの追悼をするのに資格などもともと不要だ。



7月27日に辺野古基地建設に伴う埋立て承認の撤回に向けた手続きの開始を宣言する記者会見の様子を見て、翁長さんのやつれた姿に驚き、不安に思い、同時にそれでも前向きに闘う翁長さんの姿勢に心から敬意を抱いたのは、私だけではないだろう。



日米両政府の植民地主義的で、問答無用かつ尊大きわまりない基地押しつけに敢然と立ち向かい、オール沖縄の闘いを全身で牽引し、アメリカにも国連にも出かけて惨状を訴えた翁長さんの決意と志に打たれた多くの人々と同様に、深甚の限りない無念の涙とともに、翁長さんのご冥福を祈る。



一人ひとりの市民の生きる暮らしと願いと夢と希望を賭けて、首長として、政治家として、人間として、最後の最後まで毅然と、冷静沈着に、だが断固として平和を求め、自由と人権のために歩み続けた翁長さんのご冥福を祈る。



日本という国と、私たち日本人の、やまとんちゅの、果てしない堕落と腐敗を痛切に受け止め、歯噛みしながら、基地建設反対運動、平和運動、人権運動に、これまで以上に力を注ぎたい。



翁長さんが、国連欧州本部の第20会議室で、国連人権理事会で発言した、あの時と同じ座席に、一瞬だが、座って、哀悼の思いを心に刻んできた。次の一歩、のために。



                       2018年8月8日

                       ジュネーヴの国連欧州本部にて


私にできるのは質問し続けること


望月衣塑子『新聞記者』(角川新書、2017年)

「空気を読まず、出すぎる杭になる。私にできるのはわかるまで質問すること」

武器輸出問題を地道に追いかけている記者だと思っていたら、菅官房長官の記者会見における見事な質問の連続で脚光を浴びた。いまや日本一有名な新聞記者かもしれない。

本書は、女優をめざした少女時代のエピソードから、新聞記者志望に変わってからの学生時代、留学時代を経て、待望の新聞記者としての人生を自ら語る。

東京新聞の千葉、神奈川、埼玉の各県警や、東京地検特捜部を担当し、日本歯科医師連盟事件、防衛省武器輸出問題、森友学園問題などで、市民のためのジャーナリストとしての活躍を振り返る。失敗談あり、スクープあり、悩みあり、両親の死、自身の病気・ストレスあり、それでも望月記者は駆け続ける。「質問しない多くの新聞記者」と違って。

「私は特別なことはしていない。権力者が隠したいと思うことを明るみに出す。そのために、情熱をもって取材対象にあたる。記者として持ち続けてきたテーマは変わらない。これからも、おかしいと感じたことに対して質問を繰り返し、相手にしつこいといわれ、嫌悪感を覚えられても食い下がって、ジグソーパズルのようにひとつずつ疑問を埋めていきたい。」


ニュータイプの刑事訴訟法教科書


中川孝博『刑事訴訟法の基本』(法律文化社、2018年)

『合理的な疑いを超えた証明』『刑事裁判・少年審判における事実認定』『判例学習・刑事訴訟法』の著者で國學院大學教授による、新しい教科書である。

第1に、アクティブラーニング型授業で使えるように工夫した。講義動画をYouTubeにアップし、基本的知識をwebにアップし、反転授業ができるようにしたという。第2に、分厚いものにせず、300頁弱におさえた。このため条文の引用を避け、判例は最高裁判例を中心に絞り、学説状況の紹介も極力減らした。もちろん筆者の私見は随所で展開されている。

春に出版され、著者から献呈されたが、多忙のため読めなかった。ここ数日、1日1章読んでいる。ようやく第6章の「公訴提起・追行:審判対象の変動」まで。従来の教科書と異なるため、最初は読みにくかったが、慣れるに従って苦にならなくなった。

捜査に関する強制処分法定主義、令状主義、通信傍受や強制採尿、身体不拘束原則、捜査と拘禁の分離原則、取調べ受忍義務批判、黙秘権、弁護権の解説はいずれも共感を持って読み進めることができた。

何よりの感想は、これは学部学生には無理だろう、というものだった。ぎっしり詰め込まれた内容、それを理解するために本書と別にYouTubewebを参照し、判例を読まなくてはならない。学部学生にそれだけの時間はないし、努力も難しいだろう。刑事訴訟法ゼミの学生の中には一部、懸命に取り組む学生がいるかもしれない。著者本人がゼミで本書の活用法を直接話すから可能になる。他方、ロースクール向きでもない。その意味では、一般的に使える教科書ではないように思うが、本書をきっかけに、さまざまなスタイルの工夫が始まれば、事情は変わってくるかもしれない。

著者とは以前、いくつかの研究会でご一緒させてもらったが、私がさぼるようになってからはほとんどお目にかかっていない。村井学派らしく切れ味鋭い著者の舌鋒を聞かなくなって久しいが、これは私にとって損失でもある。今はともかく本書にきちんと学ぼう。

Tuesday, August 07, 2018

これからの軍事史研究のあり方


吉田裕『日本軍兵士――アジア・太平洋戦争の現実』(中公新書)


『昭和天皇の終戦史』『日本人の戦争観』『兵士たちの戦後史』『現代歴史学と軍事史研究』と続く現代軍事史研究の第一人者による日本軍兵士の実態分析である。

アジア太平戦争を4つの時期に区分した上で、最後の「絶望的抗戦期」を中心に、「死にゆく兵士たち」「身体から見た戦争」「無残な死、その歴史的背景」「深く刻まれた『戦争の傷跡』」を論述する。

餓死、病死、海没死、自殺、処置という名の軍隊内殺人――日本軍兵士の死に方の異様さは、藤原彰の研究などでもある程度知られていたが、本書はそれらを総合的に提示する。新書という限られた分量だが、最重要な事例や統計データも活用しつつ、死の現場へ接近する。背後にある膨大な研究の蓄積が想像できる。

方法論的には戦争の全景からではなく、まずは兵士の目線、兵士の立場から実情を明らかにし、死んでゆく兵士の眼前に何があったのか、周囲の状況はどうだったのかを明らかにした上で、全体像に向かってゆく。日本軍の異様さを、一つ一つの事例を積み上げていく中で浮き彫りにしていく。帰納に始まり演繹を介してふたたび帰納へと往還する。

マラリアと栄養失調、圧抵傷と水中爆発、自殺と自傷、兵士の虫歯、結核と私的制裁、ヒロポン、軍靴の履き心地、無鉄軍靴など、思いがけない論点を次々と提示しながら、日本軍兵士が置かれた状況を総合的に認識、想像できるようにしている。

戦争を知らない世代の歴史研究者として、軍事史研究のあり方を問い続けてきた著者の到達点である。さすが吉田裕、というしかない。

国連人権理事会諮問委員会10周年記念セレモニー


8月7日午後、ジュネーヴの国連欧州本部で開催された国連人権理事会諮問委員会第21会期において、10周年記念セレモニーが行われた。

冒頭、事務局が準備した諮問委員会のプロモーションビデオが上映された。7~8分か。ありきたりの内容だが、なかなかよくできている。その後、委員たちの記念撮影。

そしてパネルディスカッションHow research leads to actionが開かれた。諮問委員会は人権理事会決議5/1に従って設置され、2008年8月に始まった。名前の通り人権理事会の諮問を受けて専門的調査・研究を行う。委員は世界各地から選ばれた18人の専門家で、多くは学者、弁護士、元外交官など。アジアからは5人で、そのうち一人は日本から。以前は坂元茂樹・関西大学教授、いまは小畑郁・名古屋大学教授。

これまでに保護者のない移住子ども、一方的強制措置と人権、地方政府と人権、テロリストによる人質、平和への権利、人権と国際連帯、ハンセン病差別などを取り上げてきた。現在は人種差別反対・ダーバン宣言の履行、国家政策と人権、禿鷹ファンドと人権、地域的人権機構などを議論している。

パネルでは小畑委員、コリアラーノ委員、パベル委員、イゲズ委員が発言。プロモーションビデオと違って、諮問委員会の限界について議論がなされた。諮問委員会の権限、組織などから、どうしても制約が大きいので、委員自身が疑問を提起していた。人権基準の設定という仕事はできていないと明言していた。ロシア、エジプト、ブラジル、イランが型どおりのお祝い発言をしていた。

今後に向けてのドラスティックな改善案は提起されなかった。諮問委員会で解決できることではなく、人権理事会決議5/1を見直す必要があるだろう。諮問委員会の権限を強化し、迅速かつより専門的に研究できるようにするべきだ。18人もの優秀な専門家を集めているのに、もったいない。

今回も政府は30数カ国しか出席していない193カ国の内30数カ国だ。かつての人権小委員会の時は常に100カ国以上が参加していた。NGOメンバーは10数人しかいない。去年の会期で発言したNGOメンバーは私一人だった。かつての人権小委員会では100人以上が次々と発言していた。ジャーナリストは全く取材に来ない。取材に値しないと思われている。

18人の専門家が5日間の会議をしている。給与、交通費、宿泊費、事務局、通訳を入れると1000万円はかかっている。それだけの仕事ができているだろうか。できるはずのない状況に置かれた委員は大変だろう。

昔は委員が自分の弟子の大学院生をたくさん連れてきた。東京大学やソウル大学の大学院生もいた。インターンでお手伝いをしていたのも院生が多かった。今はほとんどいない。委員も、自分の教え子に諮問委員会を見せたいとは思わないのだろう。


La Licorne Pinot Noir Vaudois 2016.

Monday, August 06, 2018

女性差別撤廃条約を改めて学ぶ


山下泰子・矢澤澄子監修 国際女性の地位協会編『男女平等はどこまで進んだか――女性差別撤廃条約から考える』(岩波ジュニア新書)



国際女性の地位協会はこれまでにも同じジュニア新書で2冊出してきたので、これが3弾目だという。ジュニア向け女性差別撤廃条約の入門編、かつ日本の現状を条約に照らして検討した内容だ。

女性差別撤廃委員会におけるロビー活動や、世界の女性の地位の状況も踏まえて、日本における男女平等を実現するための理論的課題、実践的課題をていねいに、わかりやすく記述している。26名の分担執筆。資料も含めると230頁だが、本文は180頁。小さな新書に、ジェンダー平等、女性議員増加問題、職場における女性、家族のあり方、デートDV、複合差別などを詰め込んである。コラムも多彩。

ジュニア向けだが、シニア男女も必読書だろう。日本の政治、社会、経済、いたるところ課題は山積みで、男女平等はこれからだ。


「法学(女性の権利)」の授業で、長年、同じ範囲の諸問題を取り扱ってきた。「女性の権利は女性問題ではなく男性問題だから、男子学生は是非受講するように」と繰り返してきたので、男子学生もかなり履修するが、やはり男子学生の欠席率が高い。DVだ、セクハラだ、人身売買だ、日本軍「慰安婦」だと続くので、男子学生には敬遠されてしまうのかもしれない。本書を参考に、授業の進め方を見直したい。


一点だけ、残念なのは次の一文だ。

「女性は男性と異なり、名誉欲や権力欲はあまり持たず、政治家になる動機も子どもたちにいい環境を作りたいなど、具体的なことが多いのです。」(本書49頁、三浦まり)

三浦まりって、三浦瑠麗じゃないだろうな。

男は名誉欲と権力欲だが、女は違う、という決めつけの根拠は何だろうか。編者は金子みすゞの「みんなちがって、みんないい」を引用しているが、執筆者のジェンダー意識も「みんなちがって、みんないい」のだろうか。何かはき違えていないか。

アイルランド国立美術館散歩


 ダブリンの中心オコンネル通りで、1829年のカトリック解放令を勝ち取ったダニエル・オコンネル像をみて、光の尖塔を記念撮影する。リフィ川を渡ってカトリック教会カテドラル、聖パトリック教会カテドラル、ダブリン城を回る。ダブリンはどこも歴史まみれだ。植民地の歴史がそこここに息づいている。

 午後はアイルランド国立美術館を見学した。入場無料だ。15世紀以後の宗教画、神話画から近世の風景画、肖像画、そして近代の印象派をはじめ、現代までの美術品が展示されている。観覧者は少なく、ゆっくりとくつろげる時間となった。

 中でもカラバッジョの『キリストの捕縛』(1602年)とフェルメールの『手紙を書く女性とメイド』(1670年頃)はとびきりの有名作だ。他にもヤン・ブリューゲル「マルタとメアリーの家のキリスト」、ピーター・ブリューゲル「農民の婚礼」、レンブラント「出エジプトの光景」、ルイスデール「ベントハイム城」、ターナー「プリマスへの船」、そしてモネ、モリゾー、ドガ、ファン・ゴッホ、シニャック、ボナール、ピカソ、マイヨール、ロダンが並ぶ。

 アイルランドの画家ではウイリアム・ジョン・リーチ(1881~1968年)が光っていた。『日傘』(1913年頃)、『コヴェントの庭』(1913年頃)はいずれも妻エリザベスをモデルにした秀作である。美術館で販売しているカタログも、この2作と『キリストの逮捕』『手紙を書く女性とメイド』を表紙に使っている。

Highlights of The Collection, National Gallery Ireland, 2016.

 美術館を出て近くのカフェでコーヒーを啜った。Procol HarumWhite Shade of Paleが流れていた。懐かしい。でも、アイルランドじゃないよな、と思う。Van MorrisonCrazy Loveだったら良かった。そう言えば、Bob DylanVan MorrisonのデュオのCrazy Loveもあったな。

コーヒーの後、1798年蜂起記念公園まで歩いた。町の中心を流れるリフィ川に沿って西へしばらく歩くと、トラムと鉄道のヒューストン駅の手前、装飾美術歴史博物館の南側に小さな公園がある。町の中心部の公園には市民や観光客があふれていたが、1798年蜂起記念公園では数人の市民が木陰で休んでいるだけだった。

 アメリカの独立とフランス市民革命は西欧世界に多大の影響を与えたが、アイルランドでもイギリスからの独立をめざすアイルランド人連合が組織された。だが、1798年のウェクスフォードの蜂起は鎮圧され、多くの市民が斃れた。公園にひっそりと置かれた慰霊碑に市民の名前は刻まれていない。

 しばらくアイルランドの植民地の歴史を想起しながら木陰で読書。

近代日本の軍産学複合体を読み解く


山本義隆『近代日本一五〇年――科学技術総力戦体制の破綻』(岩波新書)


出版時にすぐ購入したが、多忙のあまり今頃ようやく読むことになった。『一六世紀文化革命』『福島の原発事故をめぐって』の著者である科学史家による日本近代科学技術論の決定版である。分厚い研究書ならともかく、新書1冊にこれだけの内容を盛り込めるのは著者ならではだろう。勉強になり、読み応えがある。

近代日本の国家主義と資本主義が大日本帝国の歴史の随所に刻まれていること、「帝国の学問」が植民地支配や戦争を支えていったこと、国内においては民衆に対する棄民政策となったことなど、一般論としてはよく知っているつもりだったが、本書はその一つひとつに具体的な証拠を提示し、エピソードもはさみ、読みやすく通史として構成されている。著者の力量に感嘆するしかない。

軍産複合体の出発点には幕末のテロリスト集団がいたことや、「女工哀史」の時代の「ウルトラ・ブラック企業」による産業革命の「成功」など、なるほど、なるほどの連続である。

安直な「これでわかる」本とは違い、西欧近代の科学技術史に対する透徹した科学史的認識を背景に、日本近代の道行きをフォローしている。星野芳郎や武谷三男の科学技術論はむかしまじめに読んだが、その後は『日本の科学者』の諸論文に学ぶだけだった。1冊で通史を学べて良かった。

 著者が物理出身のため、生物学、人類学、法学などいくつかの重要分野が手薄だが、やむを得ないだろう。

ロンドン自然史博物館散歩


地下鉄ピカデリー線サウスケンジントン駅から地上に出ると、八月初旬のロンドンはまぶしい光と熱が押し寄せてくる。とはいえ、尋常でない猛暑に見舞われた東京とは比べものにならない。背中のリュックサックを担ぎ直して、北へ向けて歩き出す。ほんの一ブロックも歩けば自然史博物館だ。クロムウェル通りを渡ると、科学博物館、ヴィクトリア・アルバート博物館と自然史博物館が並ぶ一区画だ。

 自然史博物館には、かつて大英博物館に所蔵された世界の先住民族などの遺骨が移管された。その返還問題が浮上したのは二一世紀に入ってからのようだ。

 遺骨問題の調査のためロンドンの自然史博物館を訪れたが、現在、遺骨類は展示されていない。観光客がいきなり遺骨問題について知りたいと質問しても、スタッフも困惑するだけだろう。ともあれ自然史博物館を見ておきたかった。

 *

ここ数年、植民地支配犯罪論と日本植民地主義批判を続けてきた。主な論文は下記。

前田朗『人道に対する罪』(青木書店、2009年)

徐勝・前田朗編『文明と野蛮を越えて――わたしたちの東アジア歴史・人権・平和

宣言』(かもがわ出版、2011年)

前田朗「序章 グローバル・ファシズムは静かに舞い降りる」木村朗・前田朗編

『21世紀のグローバル・ファシズム』(耕文社、2013年)

前田朗「植民地支配犯罪論の再検証」『法律時報』87巻10号(2015年)

前田朗「日本国憲法とレイシズム」『部落解放』744~746号(2017年)


その到達点として、

前田朗「私たちはなぜ植民地主義者になったのか」木村朗・前田朗編『ヘイト・クライムと植民地主義』(三一書房、2018年)

前田朗「日本植民地主義法論の再検討」『法の科学』2018年号(未公刊、2018年9月予定)

を書いた。

もっとも、理論的に言えば「出発点」であって、とうてい「到達点」とは言えない。日本にまともな植民地主義批判の研究がないため、ここから始めなくてはならない。      
1990年代からの戦後補償運動やポストコロニアリズムの隆盛にもかかわらず、植民地主義批判はようやく始まったばかり。植民地研究は学会さえできているが、植民地主義批判の学会はないだろう。研究会はあるし、研究者も増えているが。


その中で、アイヌ民族と琉球民族の遺骨返還問題に出会った。アイヌ民族の墓を暴いて遺骨を盗んだ北海道大学、琉球民族の墓を暴いて遺骨を盗んだ京都大学。アイヌ民族は北海道大学に遺骨返還を求めてきたが、北海道大学はアイヌ民族を追い返し、話し合いも拒否した。このため裁判に。結果として、一部の遺骨が返還された。同様に京都大学も琉球民族の質問や要請をはねつけている。国会議員の国政調査権の行使によってようやく少し情報が判明。

 上記の木村朗・前田朗編『ヘイト・クライムと植民地主義』には、清水祐二がアイヌ民族遺骨問題について、宮城隆尋が琉球民族遺骨問題について報告している。それらを受けて、下記の論文を書いた。

前田朗「日本植民地主義をいかに把握するか(一)」『さようなら!福沢諭吉』第5号(2018年)


 松島泰勝(龍谷大学教授)は琉球民族遺骨問題について精力的に調査・研究している。松島からの資料提供を受けて、アメリカのスミソニアン博物館の遺骨問題、及び先住民族の遺骨返還状況を調べて下記の論文を書いた。

前田朗「学問という名の暴力――遺骨返還問題に見る植民地主義」松島泰勝編・遺骨返還問題の本(2018年12月頃出版予定)


 アメリカのスミソニアン博物館・自然史博物館は大量の先住民族の遺骨を所蔵している。虐殺、侵略、略奪の記念碑だ。とはいえ、1990年代から法律に基づいて、調査し、返還作業を続けている。十分とは言えず、返還の遅延が指摘されているが、ともあれ先住民族への返還を進めている。これが植民地主義の克服の始まりだろう。

 これに対して北海道大学は話し合いを求めるアイヌ民族を追い返した。京都大学は質問しようとする琉球民族を拒否し、わざわざ「来るな」と手紙を書いた。植民地主義者そのものである。先住民族の墓を暴いて遺骨や埋葬品を盗んだ「帝国の学問」は、北海道大学や京都大学に見事に延命している。


 イギリス、オーストラリア、カナダでも調査、研究、返還が始まっている。そこで、今回はロンドンの自然史博物館に来た。遺骨の多くはもともと大英博物館に所蔵されていたが、途中で自然史博物館に移管となり、現在はこの2つに所蔵している。他にも多くの博物館等にあるが、大英博物館と自然史博物館が中心だ。

 現在、遺骨は公開されていないとのことで、見ることはできないが、ともあれ大英博物館と自然史博物館を見ておきたかった。


 大英博物館の正門から徒歩200歩の近くにあるブルムズベリー通りの小さなホテルに宿泊し、昨日は大英博物館、今日は自然史博物館。ともに巨大な博物館だ。イギリス帝国主義がいかに世界を席巻し、略奪したかがよくわかる。

 イギリスの先住民族遺骨問題を少し調べてレポートを書いてきた(「週刊MDS」)。これをもとに、次の論文を書こう。