ヘイト・クライム禁止法(215)ベニン
ベニンが人種差別撤廃委員会CERD第107会期に提出した初めての報告書(CERD/C/BEN/1-9. 15 December 2021)
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憲法第一一条、第二六条、第三六条は平等を定める。憲法第一一条によると、ベニン国民を形成するすべてのコミュニティは自己の言語を用いる自由、他者を尊重しつつ自己の文化を発展させる自由を享受する。
二〇一五年の情報コミュニケーション法第三六条は、「ジャーナリストは地域主義、自民族中心主義、差別、憎悪、排外主義、暴力を煽動する出版を行わないようにするべきである」とする。同法第二一一条一項は、何人も憎悪、暴力、排外主義、ジェンダー差別、部族主義、地域主義を煽動する情報の出版や映像を用いてはならないとする。同法第二ニ九条二項は、公共の道徳を貶める番組、犯罪、自民族中心主義、地域主義、奴隷制、暴力を称賛する番組は禁止されるとする。同法第二七三条二項は、特定の人種、民族集団、その出身に属する者の集団に対する侮辱、市民の間の憎悪を煽動する目的での、思想運動やコミュニティに属する者の集団に対する侮辱は、罰金を科せられるとする。
人種憎悪の煽動を非難する法規定として、二〇一七年のデジタル法第七条は、政府当局に平等処遇、非差別、手続きの透明性の尊重を要請する。二〇一四年のデジタル放送法、二〇〇四年の家族法、一九九九年の出版倫理法も同様である。
刑法第二八一条によると、口頭であれ文書であれ、演説であれ宗教の説教であれ、国家のシンボル、価値、代表、及び国民、共和国、伝統、民族集団、組織されたコミュニティを公然と貶めた者は、五年以上一〇年以下の刑事施設又は罰金とする。
二〇一八年の選挙法は、選挙運動の文脈で、人種的優越性の煽動や助長を禁止する。
二〇一八年の政党憲章は、政党に、不寛容、地域主義、自民族中心主義、ファナティシズム、人種主義、排外主義、及び暴力の煽動を禁止する。NGOについても同様の規定がある。
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CERDがベニンに出した勧告(CERD/C/BEN/CO/1-9.
16 September 2022)
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二〇一六年の大統領選挙における排外主義と自民族中心主義の言説が用いられた。これに関する捜査や訴追の情報がない。選挙運動中の政治家による人種主義ヘイト・スピーチを公的に非難すること。人種主義ヘイト・スピーチを報告するのを容易にして、捜査、訴追、実行犯への制裁を適切に行い、情報を収集すること。政治家、検察官、裁判官その他の法執行官に、人種主義ヘイト・クライムとヘイト・スピーチを特定し、記録、捜査、訴追するための研究プログラムを開発すること。