Friday, September 05, 2008

国連人権理事会・諮問委員会第1会期について

ジュネーヴの国連欧州本部で開かれた人権理事会・諮問委員会第1会期を少しだけ傍聴してきました。わからないことが多いのですが、ごくごく大雑把に紹介しておきます。詳しいことを知りたい方は、国連人権高等弁務官事務所のサイトをご覧ください。

国連人権理事会・諮問委員会

1)諮問委員会とは

2006年の国連総会で人権理事会Human Rights Councilが設置されることになりました。 それまでの人権委員会を廃止して、新たに人権理事会としました。安保理事会や経済社会理事会と同じレベルに、つまり形式上は格上げです(実態がどうかは評価が分かれているようです)。

2007年6月の人権理事会で、人権理事会に諮問委員会Advisory Committeeを設置することに決まりました。

諮問委員会の仕事とは、人権理事会の要請にこたえて専門的に研究・調査することです。人権理事会の要請だけに基づき、限定されたテーマについて、すなわち「人権の促進と保護」のための調査・研究を行ないます。

諮問委員会は、決議や決定を行なうことはありません。人権理事会の諮問の範囲内で提案ができます。

(人権委員会が人権理事会に移行し、人権小委員会が諮問委員会に移行したと考えるとわかりやすいのですが、諮問委員会の活動内容にはかなり厳しい枠が設定されています。人権小委員会はやりすぎだったという評価がなされたのかもしれません)。

2)諮問委員の構成

次の18名です。

ベンゴア△(チリ)、バーネイ(パキスタン)、シク・チェン△(中国)、鄭鎮星△(韓国、ソウル大学教授)、デコー△(フランス)、フィクス・フィエロ(メキシコ)、ハインツ(ドイツ)、フセイノフ(アゼルバイジャン)、カイガマ(ナイジェリア)、カルタシュキン△(ロシア)、マルティネス△(キューバ)、ムドー(ケニア)、キスンビン(フィリピン)、坂元茂樹(神戸大学教授)、セーツルシン(モーリシャス)、ワルザジ△(モロッコ)、ジーグラー(スイス)、ズルフィカー(エジプト)

△ 人権小委員会の委員または副委員経験者

 女性

諮問委員会は人権小委員会とは違うということが強調されていたようですし、第1会期の議論でも大きな論点になっていましたが、実際は3分の1以上が継続です。女性は4名です。

議長選出の際、ベンゴアやワルザジがマルティネスを推薦して、その通り決まりましたが、推薦理由は、マルティネスはベテランで経験豊富で人権小委員の経験も長いから、ということが繰り返されていました。その後の議論も、ベンゴア、デコー、ワルザジ、カルタシュキンがリードしていました。はじめてきた委員はやはり発言しにくいようでした。 やむを得ませんが。

3)日程

8月4日から15日まで、土日を除く10日間。

かつて人権小委員会は4週間でし た。2001年頃から3週間に短縮。そして諮問委員会は2週間。開会当初の発言は、2週間で何ができるか、どう進めるかに費やされていました。

4)暫定議題

1.議長団選出

2.議題の採択

3.人権理事会決議「諮問委員会」付録の履行

4.人権理事会からの要請

5.第1会期の報告書

実際には3と4が逆になりました。

実際の3の「人権理事会からの要請」は、次の内容を含んでいます。

a 人権教育・訓練

b 食料の権利

c 女性の人権

d 民主的公平な国際秩序の促進

e 失踪者

f 障害者の人権

g ハンセン病者とその家族に対する差別の撤廃