Tuesday, June 17, 2025

取調拒否権を考える(1)

取調拒否権を考える(1)

 

 このところ取調拒否権に注目が集まっている。

 袴田事件再審無罪判決、大川原化工機事件、福井女子中学生殺人事件、大阪プレサンス事件、関西生コン弾圧事件などで、警察・検察による違法な取調べ、脅迫や侮辱による取調べ、自白の強要が問題となり、取調べの実態への関心が高まっている。

 2024年には「取調べ拒否権の実現を求める会」が結成され、弁護士による取調拒否の実践報告が続いている。

 https://rais2024.jp/

 また、デヴィッド・ジョンソン(ハワイ大学教授)が、『朝日新聞』や雑誌『世界』掲載の論稿において、黙秘権が保障されない日本の現状を厳しく批判し、取調拒否の意義を明確に打ち出している。

 私はこのところ『救援』『マスコミ市民』『月刊社会民主』の連載の中で取調拒否権をめぐる現状について論じてきた。さらに、「冤罪防止のための取調拒否権入門セミナー」を開催している。

 https://maeda-akira.blogspot.com/2025/01/blog-post_29.html

 https://maeda-akira.blogspot.com/2025/03/blog-post.html

 https://maeda-akira.blogspot.com/2025/06/blog-post.html

 取調拒否権についての議論をさらに喚起していく必要がある。

 そこで、これまでに書いた関連の文章を公開していくことにした。

 今回は、次の文章を公開する。

前田朗「弾圧・冤罪と闘う黙秘権の法理」『救援』2017年1~4月号

 2017年に、救援連絡センターの機関紙に4回にわたって連載した文章である。

 

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『救援』20171

弾圧・冤罪と闘う黙秘権の法理(一)

前田 朗(東京造形大学)

 

黙秘権の理論

 

 この度、本紙連載稿を再整理し、前田朗『黙秘権と取調拒否権――刑事訴訟における主体性』(三一書房)を上梓した。構成は次のとおりである。

第1章「刑事司法の現状と問題点」では、誤判・冤罪を必然的に生み出す日本刑事司法の治安優先の政治主義を浮き彫りにした。

第2章「国際人権法から見た日本司法」では、国連人権機関における刑事人権論の展開を再確認した。

第3章「代用監獄と取調べの実態」では、二度にわたる代用監獄アンケートの結果を分析し、未決処遇と取調べの実態を批判した。

第4章「取調拒否権の法理と実践」では、黙秘権の実質的保障のために、法理の基礎に立ち返り、取調拒否権の必然性を明らかにした。

第5章「現代国家の刑事法イデオロギー」では、対テロ戦争と刑事法、ワイドショー刑法、資本主義刑罰、植民地刑法といった視角から刑事司法を読み解いた。

第6章「批判的刑事法学のために」では、吉川経夫、内田博文、生田勝義、宮本弘典らの刑事法理論に学び、批判的刑事法学の輪郭をデッサンした。

第7章「櫻木澄和の刑事法学」では、筆者の恩師である櫻木澄和の近代刑法史研究(マグナ・カルタ、市民革命刑法)、現代国家論(正統性の危機論)を検討し、主体・客体関係の理論に即して刑法学再編成の理論課題を確認した。

 本書の表題は第3章及び第4章のテーマを掲げたものである。問題意識は次のとおりである。

 「本書は、憲法及び法律で保障されている黙秘権を実際に行使するための具体的方法として取調拒否権、出房拒否権を提案する。黙秘するということは取調べを中断することでなければならない。取調室で自白の強要や侮辱に耐えながら、ひたすら沈黙していることを黙秘権と呼ぶのはブラックジョークに過ぎない。黙秘権の憲法的意義を正しく把握するために取調拒否権の思想と法理を発展させることが求められる。/このことは刑事訴訟における主体性をどのように理解するかと密接につながる。訴訟構造としての当事者主義論が、公判や証拠についてはかろうじてわずかながらの意義を有するにしても、捜査段階では警察と検察だけが主体として登場し、被疑者・被告人の主体性は名ばかりである。刑事訴訟における主体性を考えるためには、捜査を中心として、日本刑事司法全体を見なおす必要がある。」

 憲法上及び国際人権法上の黙秘権が行使されれば取調べを中止するべきであり、被疑者が取調室にいる理由はまったくない。黙秘権を行使する被疑者を取調室に強制的に連行することは許されない。強制連行してなされた取調べは違法な供述強要であるから、その結果得られた供述には任意性がなく、証拠として用いることはできない。黙秘権の法理はこのように単純明快である。

 

黙秘権行使の実践

 

 日本では黙秘権が全くといってよいほど理解されていない。警察の捜査実務は黙秘権を全否定している。検察や裁判所は警察に服従してきた。マスメディアや市民も黙秘権には消極的である。このため違法取調べ、供述強要、虚偽自白、誤判・冤罪が連綿と続いてきた。不正な権力と闘う市民でさえ黙秘権の法理を理解してこなかったのが残念ながら実情である。

 救援連絡センターは二〇一六年九月一五日・一六日、安保法制強行採決が行われた国会前弾圧で不当逮捕された市民九名にアンケートを行い、資料集『戦争法弾圧と黙秘』を作成した(頒価二〇〇円)。回答は収容された警察署名ごとに記載されている。例えば、赤坂署に収容された赤坂署3番(留置番号)の回答を「赤坂署」と省略。質問項目は次の10項目である。1、当日はどういう思いで国会前にいたのか/2、逮捕時の状況について/3、はじめに連れて行かれた麹町署では/4、弁護士選任手続について/5、留置場での状況について(a、1日の過ごし方について、b、食事の内容、c、その他)/6、取調べについて/6-1取り調べを受けた方へ(a、取調べはどうだったか、b、黙秘をやってみての感想、c、その他)/6-2取調べを拒否した方へ(a、なぜ取調べを拒否しようと思ったのか、b、拒否した際の警察側の反応は、c、その他)/7、差入れについて/8、弁護士接見について/9、救援体制について/10、今回の弾圧について。

 いずれも重要であるが、以下では取調べの状況に限って紹介していく。

まず、取調拒否の実践である。取調べを拒否したのは九名のうち五名である。「なぜ取調べを拒否しようと思ったのか」についての回答は次の通りである。

【品川】取調拒否の闘いがあることは、ネットなどでなんとなくは知っていたが、実際に弾圧された人から体験談を直接聞く機会があり、自分ももし不当逮捕されたら拒否しようと思っていた。/今回拒否した理由としては、一つ目に、自分には体力がないので、長時間の取調べはつらそうだなと思っていて、出房拒否してゴロゴロしてた方が楽だろうと思ったから。/二つ目に、留置場に入って早々に失敗してしまった(留置官に騙されて書類に戸籍名を書いてしまった)ので、挽回したいと思っていたから。/三つ目に、闘争全体と社会全体において、取調べ拒否には意義があると思ったから。私はこれまで他の人に対する弾圧を見ていて、権力は取調べを一つの主要な武器として転向攻撃や運動破壊をやってくると感じていた。運動は敵・権力との闘争にならざるをえず、敵の武器を取り上げてしまうことは、運動の前進のために重要だと思った。それに、ただでさえ権力による取調べ強制は、冤罪の温床となり、個人の尊厳や「人権」を踏みにじってきたものだから、やめさせるべきだと思っていた。そのために「取調拒否」の事実を積み上げることに自分も参加するべきだと思った。

【月島】これまで何度かの逮捕の時には、完全黙秘で闘いぬいてきました。その上で、この数年何度か「取調拒否」の闘いを話に聞いており、それも対権力・対弾圧のひとつの大きな闘いだと考えていました。それで、今回は初めてになるが、やってみようと思った。

【赤坂】以前にやったことがあり、今回も抗議の意志をぶつけたかったのでやろうと思った。

【麹町】取調べを拒否していた人の話は聞いていた。

【愛宕】何も話さないのに、デカのおしゃべりや揺さぶりを聞くのは無駄だから。人によっては苦痛だろう。

自由と人権を求めて闘う市民には取調拒否権の考え方が知られ、理解されていることがわかる。

 

 

『救援』2017年2月

弾圧・冤罪と闘う黙秘権の法理(二)

前田 朗(東京造形大学)

 

黙秘権シンポジウム

 

 一月一四日、「誤判・冤罪を防ぐ黙秘権の実質的保障のために――『黙秘権と取調拒否権』出版記念会」(スペースたんぽぽ)が開催された。

 白取祐司(神奈川大学法科大学院教授)は「刑事司法改革の現状について」と題して講演した。まず「黙否権」と「黙秘権」という二つの言葉を並べて、「やってないならやっていないと否定すればいい」という「黙否」ではなく、被疑者には語らない自由があり「語るか語らないかを決める権利」としての「黙秘」が重要だと確認した。その上で、二一世紀になってから行われた二度の「刑事司法改革」について、一度目(二〇〇四年)も二度目(二〇一六年)も、本来改革するべき捜査段階の身柄拘束、被疑者取調、代用監獄といったシステムには手が付けられず、それどころか捜査権限の拡大がもたらされ、「二重の焼け太り」状況となったと評価した。平和憲法下でさえ黙秘権が十分に保障されて来なかったのに、戦争する国へと向かう状況の中で「黙秘権が沈黙する」事態が生まれていることに警鐘を鳴らした。白取祐司「『改正』刑事訴訟法をどうみるか――『取調べ全過程可視化』という欺瞞」世界八八五号(二〇一六年)等参照。

 葛野尋之(一橋大学大学院教授)は「被疑者の取調べと身体拘束」と題して講演した。実務では逮捕・勾留された被疑者は取調べを受ける義務を負うという「取調受忍義務」論が支配的で、取調べ・自白採取のために逮捕・勾留が活用されている。これでは黙秘権保障は難しい。本来、取調べ目的の逮捕・勾留は否定されているし、黙秘権の保障を実質化するべきであるから、身体拘束と取調べとは切り離さなければならない。自白強要=黙秘権侵害の危険を除去するには、両者を結びつけるハード・ウエアとしての代用監獄制度を廃止し、ソフト・ウエアとしての取調受忍義務を否定する必要がある。仮に取調受忍義務を課したうえで自白強要=黙秘権侵害を防ぐことは可能かと問うならば、捜査と拘禁の分離の徹底、取調可能な拘束期間・取調時間・取調方法の厳格な規制、違反に対する制裁、取調べの全面的録音・録画、弁護人の立会・助言と取調べへの介入が必要であるが、これらは受忍義務を否定したとしても必要な手続保障であると述べた。葛野尋之『刑事司法改革と刑事弁護』(現代人文社)参照。

 山下幸夫(弁護士)は、取調受忍義務が課せられている現状で可能な方法として、調書への署名拒否があると指摘した。黙秘権の保障のために可視化や様々な方法が追及されるべきだが、現状でも署名拒否をすれば証拠能力を付与することがないので、弁護人が身柄拘束されている被疑者に署名拒否を助言することが重要だという。

 大口昭彦(弁護士)は、弾圧や冤罪においては不当な捜査、不当な取調べが強行されるので、捜査権力に迎合することなく市民が自己防衛のためにできる方法として取調拒否が極めて重要であり、実践的であると述べた。

 

取調拒否への警察対応

 

 前回に引き続き、不当逮捕された市民九名のアンケート資料集『戦争法弾圧と黙秘』(救援連絡センター、二〇一六年)から紹介しよう。前回は「なぜ取調べを拒否しようと思ったのか」への回答であり、九名のうち五名が取調拒否をした。次に「拒否した際の警察側の反応は」への回答である。

【品川】地裁での勾留質問の次の日、留置官が房の前に来て「三田署から取調べのために捜査官が来ている」と言って取調べに向かうように促す。私がシカトしていたら、しばらくして「行かないなら行かないって言ってくれないとこっちも困る」と言うので「行かない」と答えた。すると留置官はそのことを捜査官に告げに行き、しばらくあとに「納得して帰っていった」と言っていた。次の日も同じように呼びに来たので、私も同じように「行かない」と行った。見ると、前日は二人しか来なかったのに、その日は五人がかりで房の前まで来ていた。粘るので、弁護士に教えてもらった刑事訴訟法学者の名前をあげて、学説上取調べに受忍義務はないと主張。「留置場の入り口まで行って自分の口で説明してくれ」と言われたが、出房拒否を貫き、ゴロゴロ寝たふり。すると、「次回は撮影して、入り口まで連れていこう」とコソコソ話している声が耳に入ってきた。その夜、そのことを弁護士に相談し、外の仲間にも対応してもらったら、次の日以降はあまり本気で呼んでこなかった。ただ次の日は、「警視庁としては取調べに受忍義務はあるという見解だから、最低限の有形力の行使をすることはありうる。具体的には、車イスに乗せて連れていくかもしれないけど、それでもイヤ?」ときかれたので、にっこりと「イヤ」と答えておいた。

【月島】警察の取調べについては、呼び出しに来た看守に拒否を伝えると、大きな反応はなく取調べなしとなった。/検察に送られるとき、看守が「今日は検察に行く」と呼び出しにきた。これも拒否したが、「検察については拒否できない」といわれ、抗議・言い合いになるが、房内に五人くらい入ってきて無理やり手錠される。両腕抱えられて、留置場を出たところに車椅子が用意されていて、押さえつけられ運ばれる。ずっと抗議するも車で検察に運ばれる。/検事の部屋へも車椅子で連れて行かれる。検事の前でも「取調べを拒否する、帰る」「今回の逮捕は不当逮捕であり、一切の手続き・調べを拒否する」と抗議し続けました。検事は何か聞こうとするが、取調べに応じる気はないので、無理やりこの場に縛り付けられることへの抗議を続けた。基本的に取調拒否を貫く姿勢として、やりきったと思う。検察に調書を取らせなかったのは初めてだった。いままでは、「黙して語らず」がならぶ形式的な調書ではあったが作成されていた。/裁判所に送られるとき、検察のときと同様、無理やり居室に入ってきて手錠をかけられる。またもや拒否しているのに車椅子に乗せられ、裁判所まで連れて行かれる。/無理やり裁判官のいる部屋まで連れて行かれたが、「拒否する」と抗議したら、検察と違ってあっさり終わった。

【赤坂】無理矢理連行することはなくあきらめた。

【麹町】最初だけしつこかったが、後は一日三回は呼びに来たが拒否すると、了解という看守もいたし、理由はと言ってくるのもいた。

【愛宕】留置が「せめて刑事さんに直接言ってよ」と頼んでくる。

 警視庁管内であるが、署によって対応が異なることがわかる。福岡県警による暴力的引きずり出しという情報もある、今後の動向に注目したい。

 

 

『救援』2017年3月

弾圧・冤罪と闘う黙秘権の法理(三)

前田 朗(東京造形大学)

 

取調拒否権をめぐって

 

 一月二七日、「誤判・冤罪を防ぐ黙秘権の実質的保障のために――『黙秘権と取調拒否権』出版記念会」(龍谷大学)が開催された。

 斎藤司(龍谷大学教授)は取調受忍義務と取調べの適正化について報告した。実務では取調受忍義務が課せられているが、強制処分法定主義に反し、義務付けの賦課について法定の要件が定められていない。近年の出頭・滞留義務肯定説は取調受忍義務を認めないが、起訴前の身柄拘束期間について起訴・不起訴の決定に向けた捜査を尽くすことができるよう、被疑者の基本権を侵害しない範囲で取調べのための出頭・滞留義務を認める。身体拘束の場合と在宅の場合で取り扱いを異にする合理的理由が示されていない。捜査の完了のために被疑者取調べが不可欠であるという前提に疑問がある。受忍義務を否定し、取調拒否権を承認し、代用監獄を廃止し、身体拘束期間を短縮する適正化により「被疑者の主体性」を確保する必要があるとした。

 野田隼人(弁護士)は取調拒否権について実務弁護士の視点から報告した。関西では従来から取調拒否の実例が見られる。主にいわゆる暴力団関係者の事案であるが、身柄拘束された際に、被疑者に取調拒否をさせた状態で弁護人が検察官と交渉・調整することはありうるし、実際に行われている。黙秘させて不起訴に持ち込むのは普通のことと言って良い。ただ取調拒否を一般化できるか、それが良いのかはなお検討の必要があるかもしれない。実務が取調受忍義務を当然の前提としている現状で、一般の被疑者の場合に取調拒否を貫けるか。関西では実力行使して連行した話は聞かないが、騙して連行したという話は聞いたことがある。実力行使がなされて事故が起きた場合の対処も検討しておく必要があるとした。

 渕野貴生(立命館大学教授)は黙秘権と取調拒否権をめぐって報告した。黙秘権の意義を人間の尊厳に立ち返って位置づけ、絶対的尊重を要すると考えるならば、取調べを受けるように説得する権限は認められない。被疑者が供述拒否を決断したにもかかわらず、さらに供述するように説得を続けることは黙秘権侵害である。取調べを拒否し、出房拒否を実践することは受忍義務論を突破する手がかりとなる。ただ一般化・普遍化できるか。手練れの被疑者、百戦練磨の弁護人ばかりではない。強制連行の実力行使がなされれば任意性がないから自白調書を排除することになるが、黙秘権保障としては失敗であるし、被疑者の身体に危険が及ぶ懸念もある。また、人間の尊厳を憲法三八条の黙秘権の中に取り込むのか、それとも憲法一三条と三八条の両輪で考えるのかはなお検討の余地があるとした。

 取調拒否権は、不当弾圧事例やいわゆる暴力団関係者のように「筋金入り」の被疑者、抵抗する意志の強い被疑者であれば比較的容易に行使できるが、一般の被疑者が冤罪に巻き込まれる場合、説明すれば分かってもらえると思って懸命に供述して嵌り込んでいくことが考えられる。取調拒否を思いつく機会が得にくい現実を変える必要がある。

 

アンケートより

 

 引き続き、不当逮捕された市民九名のアンケート資料集『戦争法弾圧と黙秘』(救援連絡センター、二〇一六年)から紹介しよう。九名のうち五名が取調拒否をした。これまで「なぜ取調べを拒否しようと思ったのか」及び「拒否した際の警察側の反応は」を紹介してきた。今回は取調拒否についての三名の「感想」である。

【品川】取調拒否を貫けて、ホッとした。権力がムリヤリ連れて行こうとしてきたらどう闘おうか、と房の中を見回しながらイメージトレーニングをしていたが、そういうことにもならなかったのでよかった。自分は初めてなので取調べのつらさは体ではわからないが、やはり取調べを受けるより、拒否した方が自分にとってはずいぶん楽だな~と思った。と同時に、取調拒否が危険なくできる世の中にしなくては、と強く感じた。同時期に弾圧された人たちを含め、取調拒否をしておぞましい暴力を受けてきた人たちのことも知っている。自分がずっと取調拒否してゴロゴロしていられたのは、警察署の対応など、運の要素が強いと思う。ただ、自分の場合は、圧力をかけられたときに即座に弁護士に相談でき、獄外の仲間ががんばってくれたことが効いて、敵の圧力が緩んだというふうに実感した。獄外の救援との連携がなければ暴力の前に沈んでいたと思う。

【月島】警視庁は今のところ無理矢理連行することはないようだが、今後もそうさせない闘いが必要だと思った。検察・裁判所、他の道府県警は無理矢理連行するものと思われるので、それをさせないようにするにはどうすればよいか意見交換したい。

【愛宕】捜査と留置の分離という原則を頭に叩き込んでおくのが重要。理屈上、捜査員は留置場には入れないし、留置係も連れていけない。引きずりだされたら、任意性が否定される。仮に引きずりだされても、意志を折らず完黙に切り替えればいいだけ。誰にでもできる戦術ではないという意見もあるが、これこそ一番楽な闘い方だと思う。一方で、常に最悪の想定をしておくこと。条件さえ揃えば、獄殺やリンチはありうる。劣勢状況では、ブルジョワ法であっても最大限利用しよう。

 以上がアンケート結果である。

第一に、取調拒否自体は「一番楽な闘い方だと思う」という。取調べを拒否する旨を告げて房から出ないというだけなので、誰でもできる権利行使である。

第二に、取調拒否が尊重されれば問題ないが、強制的に連行しようとする場合がありうる。「圧力をかけられたときに即座に弁護士に相談」できること、「獄外の救援との連携」が重要である。「仮に引きずりだされても、意志を折らず完黙に切り替えればいいだけ」との指摘があるように、完黙戦術と取調拒否権行使は矛盾しない。身柄拘束されたらまず取調拒否であり、取調室に入った場合に完黙という順序になる。

第三に、取調室への連行ではなく、捜査官の感情にまかせた暴力がありうる。「取調拒否をしておぞましい暴力を受けてきた人たちのことも知っている」というのは取調拒否に対する報復であろう。捜査官に屈服させるための暴力であり、見せしめである。「一方で、常に最悪の想定をしておくこと。条件さえ揃えば、獄殺やリンチはありうる」との指摘もある。不当弾圧事件の場合、権力との闘いの戦略と戦術を緻密に検討していく必要がある。

 

 

『救援』2017年4月

弾圧・冤罪と闘う黙秘権の法理(四)

前田 朗(東京造形大学)

 

取調拒否権をめぐって

 

 二月九日、「誤判・冤罪を防ぐ黙秘権の実質的保障のために――『黙秘権と取調拒否権』出版記念会」(福岡・ももちパレス)が開催された。

 新屋達之(福岡大学教授)は二〇一六年刑事訴訟法改正について次のように報告した。改正の要点は、通信傍受の一般犯罪への拡大、刑事免責/協議・合意制度、取調可視化、被疑者国選弁護の拡大などであった。それぞれに大きな問題点を孕むが、何よりも問われるべきは立法のスタンスである。厚生労働省事件、氷見事件、志布志事件などへの反省がなされるべきだったのに、法制審議会の議論は反省ではなく捜査権限の拡大に向けられた。捜査・訴追権限の拡大が図られ、その統制策は弱体のままである。先進国に共通の面をもつ新時代への対応も含まれるが、糺問的捜査手続きが温存され、「中世のようだ」と批判された取調中心主義への反省は全く見られない。「近代化なき現代化」である。一部可視化も、被疑者のための可視化ではなく、目的や機能が変えられてしまっているという。

 高平奇恵(弁護士、九州大学助教)は取調拒否権と可視化について次のように報告した。取調受忍義務を肯定している現状では黙秘権を実質的に行使できない。黙秘権行使ができるのは、ある意味で筋金入りの被疑者のみである。打開策としての可視化によって黙秘権行使ができる人の範囲は広がったと言える。妥協的な産物だが、実利がないわけではなく弁護の仕方も大きく変わる。取調拒否をすれば供述内容を弁護人が確認できるので選択肢の一つである。供述するように説得するのは黙秘権侵害である。弁護側が黙秘権をどういう手順で解除していくかという検討が可能になる。誰でも取調拒否をすることにはならないだろうが、否認事件で一切供述したくないという意思があれば、リスクを十分考慮したうえで取調拒否が選択肢となるという。

 豊崎七恵(九州大学教授)は取調受忍義務論の批判的考察を行った。現状は被疑者を客体化し、被疑者の身体拘束状態を不正利用して取調べが強行されている。日本の取調べはインタヴューでも尋問でもなく、暗示・誘導による歪みの危険性が大きい。代用監獄と受忍義務論をセットにした取調べは黙秘権保障に抵触する。二〇一六年改正においても取調受忍義務否定論をネグレクトした。審議の中で、別件起訴後勾留中の本件(対象事件)取調べの録音・録画義務の有無について、取調受忍義務の有無を基準とするという政府答弁がなされた。「受忍義務基準論」はあわよくば取調受忍義務を法律化しようとするものではないか。改めて公判中心主義の意味を問い直す必要がある。今市事件に見られるように、直感的印象に基づく有罪心証の危険性がある。それへの防衛策として黙秘・取調拒否が意味を持つ。黙秘・取調拒否ができれば、録音・録画記録を証拠として取調べる必要はなくなる。ただ、受忍義務論のもとでは取調拒否の実行の困難は否定できないという。

 

取調べ状況

 

前回まで取調拒否の実践のアンケート回答を紹介してきたが、今回は取調べを受けた際の状況である。「取調べはどうだったか(警察の対応や印象的だったことなど)」に対して次のような回答があった。

【中央】私が起こしたとされている「事件」についてはほとんど触れず、私が普段やっている活動や、活動の仲間についてしつこく訊いてきた。「普通の生活に戻った方がいい」「君のことが心配だ」などといった、転向強要まがいの事も言われた。また、「○○はいいところだね」「こんなところにいるのをご両親が見たら悲しむぞ」「ご両親をここに呼ぼうか」と、私の実家や家族に触れる場面も多かった。延々と自身の身の上話を聞かされる日もあった。三時間黙りっぱなしの取調官もいた。

【麻布】取調べは基本的に所属団体、関わっている人間の悪口、反戦運動をとにかく辞めろという感じでした。

【久松】書類の署名や話すことを「君のためになるから」などと促してくる。どうやら彼らは「恩着せがましく親しみをもって取調べる」作戦らしい。再三繰り返していたのは「警察はあくまで中立で真実を知りたいだけ、敵じゃないし、陥れるつもりはない」「無理矢理に話させようという訳じゃない」「言った方が得だ」こんな調子であった。・・・態度を変えるつもりはないとこちらから明言、取調べをあきらめた風で雑談へと切り替えてきた。雑談ならと、ある程度応じた。「警察で話さなくてもいいけど、検察では話した方がいいよ」などと言ってくる。

 従来から指摘されているように、取調べと言っても、転向強要や嫌がらせが多く、実体は取調べではない。黙秘に対する取調べの説得もなされる。また、「黙秘をやってみての感想」として次のような記述があった。

【中央】当局の私たちへの対応は「公平な」調査ではなく、明らかに政治弾圧だ。そのことに対する怒りを何度も何度も自分の中で確認することで、完黙を貫くことができた。留置されている状態で、完黙、そして獄内外の連帯は最大の抵抗だと思う。

【麻布】完全黙秘・非転向によって、勾留期間の半分は黙っていたんじゃないかと言うくらい取調べ担当官の口数が少なくなっていきました。完全黙秘・非転向で警察権力を追いつめていると感じました。

【高輪】大したことではありませんが、弁護方針の齟齬があったとはいえ地検で調書作成 に同意したのは個人的には遺憾。

【久松】完黙ではなかったが、法律の素人である自分の発言が「証拠」とされた場合に、自分は十分な責任は持てないという点において、直感的に黙秘の必要性を感じた。自分のなかでもまだ整理がついていない上に、記録の文章は警官が入力するため、違和感のある表現(罪を着せやすそうな表現)になっていた。被害者が警察で、取調べて報告するのも警察、これでは何でもできてしまう。実に不信感を拭えない構図である。弁護士さんにも、雑談を含め、基本的に「完全黙秘が一番無難」と教わる。

 以上がアンケート結果である。今回は二〇一六年九月、安保法制強行採決が行われた国会前弾圧で不当逮捕された市民へのアンケートであり、弾圧事例だけに、警察による取調べは、文字通りカッコつきの「真相」解明に向けられ、転向強要が目指されていると言えよう。

Friday, June 13, 2025

憲法フェスティバル実行委員会への書簡 ――琉球民族遺骨返還問題と植民地主義を問う

憲法フェスティバル実行委員会への書簡

                  ――琉球民族遺骨返還問題と植民地主義を問う>


憲法フェスティバル実行委員会様

 

 今年も憲法フェスティバルの日が迫ってきました。第37回憲法フェスティバルのテーマに「戦後80年と憲法~これまでとこれから」と明記されているように、「戦後80年」という節目に平和憲法の歴史と現在を顧みて、これからの課題を探ることはとても大切で、有益なテーマだと思います。

重要なテーマを掲げて挑まれる皆さんのご努力に敬意を表します。長年にわたって平和と民主主義を求めて憲法を活かすご努力を積み重ねてこられたことにも敬意を表します。

 

さて、来たる621日開催の第37回憲法フェスティバル(テーマ「戦後80年と憲法~これまでとこれから」)のメインの講演者に、山極壽一氏(総合地球環境学研究所)のお名前があります。『人間の本性から平和への道を探る』という講演が予定されています。

山極氏の名前は、近年繰り返し報道された「琉球民族遺骨返還請求訴訟」においても見ることができます。琉球民族遺骨返還訴訟とは次のような訴訟です(⇨資料①)。

1929年、京都帝国大学の研究者が琉球の今帰仁村の百按司墓から遺骨を持ち去り、研究材料としました。訴訟当時、京都大学総合博物館に保管されていました。遺族や琉球先住民族の原告が、その実見や返還を繰り返し要望しましたが、京都大学(山極壽一総長)によって拒否されました。対話も面会も拒否されました。やむをえず、5人の琉球民族が京都地裁に返還を求めて提訴しました(⇨資料②~⑥)。

原告は次の通りです。

松島泰勝(龍谷大学教授、琉球先住民族)

亀谷正子氏(琉球王国第一尚氏の子孫)

玉城毅氏(琉球王国第一尚氏の子孫)

金城實氏(彫刻家、琉球先住民族)

※提訴時は照屋寛徳氏(衆議院議員、弁護士、琉球先住民族)も原告でしたが、2022年に亡くなりました。

被告は京都大学です。

 

原告は次のように主張しました。

①盗掘された遺骨だと知りながら返還しないことは、原告らの返還請求権や、祖先の回顧及び祭祀に関する自己決定権を侵害する。

②研究者である松島泰勝からの遺骨の実見の申し出に誠実に対応しなかったことは、松島の琉球先住民族としてのアイデンティティや研究者としての利益を侵害し、他の原告をも侮辱する行為である。また、山極氏(当時・京都大学総長)が2019年に、京大の職員組合との懇談において原告の松島を「問題のある人と承知している」と述べたことも侮辱的である。

 

①京都地裁及び大阪高裁は、法的な返還請求権はないとして、原告らの請求を斥けました。大阪高裁は返還請求や慰謝料請求を退けましたが、百按司墓に祀られた王族の子孫である亀谷氏と玉城氏は、祖先の遺骨を墓に安置した状態で祀りたいという法的保護に値する利益を有すると認めました。

②また、先住民族の遺骨が返還された諸外国の事例を多数挙げ、遺骨返還は「世界の潮流になりつつある」ことも認めました。

③判決は「事案の概要」において、「本件は、沖縄地方の先住民族である琉球民族に属する控訴人らが……」として、琉球民族が先住民族であること、そして「不法行為に基づく損害賠償請求について」において、「昭和初期の沖縄が大日本帝国による植民地支配を受けていたと評価できる」として、日本の琉球に対する植民地支配を事実認定しました。(令和4年(ネ)第1261号 琉球民族遺骨返還等請求控訴事件、令和5年9月22日 大阪高等裁判所第6民事部判決、⇨資料⑦)

 

 山極氏は201420年に京都大学総長を務めました。松島や照屋氏が遺骨の実見を要請した時の京都大学総長であり、遺骨の現状に関する情報公開を拒み、対話も面会も拒み、さらに松島を侮辱する発言を公然と行いました。

 

 なお、202412月、京都大学は今帰仁村教育委員会と「移管協議書」を交わし、「再埋葬(実際は再風葬)」しないことを条件として20255月、遺骨が今帰仁村教育委員会に移管されたと連日報道されました(⇨主な新聞TV報道を末尾に付します)。控訴審判決後に対話を求めた元原告らの要請はすべて拒否されました。

また、25611日、京都大学はオーストラリアの先住民族ヤウルとバーディ・ジャウィの遺骨各一体を「再埋葬」の条件なしに返還しました。琉球民族に条件なしに返還できる証拠です。

 

この訴訟で問われたのは、「学問の植民地主義」です(⇨資料⑧)。

1に、京都帝国大学の研究者が、研究名目で墓を暴いて遺骨を持ち去りました。墳墓発掘罪(刑法第189条)に該当する行為ではないでしょうか。

2に、京都大学は、盗骨であることを知りながら、その後も保管し続けました。

3に、京都大学は、遺骨の状態を知るべく実見を申し出た松島に回答をすることなく、その来訪を拒みました。衆議院議員の照屋氏による質問についても十分な回答をしませんでした。

4に、山極氏は、原告団長の松島について「この件を訴えている方は問題のある人と承知している」(「山極総長とのあいさつ会見」(京都大学職員組合『職員組合ニュース』2019年度[第2号]2019826日)などと侮辱する発言をしました。松島が抗議の手紙を送りましたが、回答はありません。

 

学問の名において琉球民族の墓地から骨を持ち去り、「研究対象」とすることは植民地主義のなせる業ではないでしょうか。盗まれた遺骨を保管し、琉球王国の遺族・関係者にも見せず、隠匿し続けたことは、植民地主義と人種主義の発露と言うべきではないでしょうか。遺骨返還請求訴訟の原告を「問題のある人」と侮辱することは、民族差別ではないでしょうか。このようなことを公言されて傷つかない人がいるでしょうか。

 

この国の植民地主義をどのように理解しているのか、学問の自由とは何なのかが問われています。

かつて世界の植民地宗主国は各地から遺骨を持ち去り、研究対象としました。20世紀末頃から、先住民族の国際運動により、遺骨問題が世界的な課題となりました。2001年のダーバン人種差別反対世界会議は、遺骨の返還を求める先住民族の権利を確認しました。2007年の国連先住民族権利宣言は、遺骨等の返還を求める先住民族の権利条文化しました。21世紀に入ってスミソニアン博物館、大英博物館、オーストラリア国立博物館をはじめとして世界各地の博物館が遺骨等を先住民族コミュニティに返還するようになりました。

日本でも同様の事案で、北海道大学の研究者らが持ち去ったアイヌ民族の遺骨は、一部はアイヌ民族に返還されました。また多くはアイヌ民族の象徴空間とされる「ウポポイ」に保管されています。ここにもなお議論するべき論点が残されています(⇨資料⑨⑩)。

 

 祖先の墓を暴かれ、骨を盗まれ、返還を求めても対話を拒否され、侮辱された人々の痛みの声を、憲法フェスティバル実行委員会は、どのようにお聞きでしょうか。

 

憲法フェスティバル実行委員会は、本件訴訟及びその後の経過についてどのような見解をお持ちでしょうか。植民地主義を継承し、人種民族差別を実践してきた責任者が、日本国憲法の平和主義について語ることは、憲法フェスティバルの理念と目的に合致しているのでしょうか。

 

 621日の憲法フェスティバルの舞台で、憲法フェスティバル実行委員会は、「日本国憲法の平和主義や基本的人権」と「他民族の遺骨盗取・隠匿・返還拒否・対話拒否」の関係について、ご見解を明らかにされることを要望します。

また、山極氏が琉球民族遺骨返還の声を無視し、対話を拒否し、原告団長の松島に対する民族差別を行ったことにつき、まずは説明責任を果たすよう、憲法フェスティバル実行委員会として山極氏に勧奨することを要望します。

 

 最後になりますが、憲法フェスティバル実行委員会が、今後も戦争と植民地主義に抗し、レイシズムと差別に反対し、平和主義、民主主義、自由と人権を尊重する取り組みを継続されることを望みます。

 

2025614

 

<代表>

前田朗(ヘイトスピーチとレイシズムを乗り越える国際ネットワーク(のりこえねっと)共同代表、青年法律家協会弁護士学者合同部会・元東京支部長、朝鮮大学校講師、東京造形大学名誉教授)

松島泰勝(琉球民族遺骨返還請求訴訟元原告団長、琉球民族遺骨情報公開請求訴訟元原告、ニライ・カナイぬ会共同代表、龍谷大学教授)

 

*本書簡へのご意見やお問い合わせは下記へお願いします。

⇨前田 E-mail: akira.maeda@jcom.zaq.ne.jp

⇨松島  E-mail: matusima345@yahoo.co.jp

 

<連名>

           *202561710名追加、計85

吾郷健二(西南学院大学名誉教授)

大河原康隆(法および言語研究室)

岡山文人(神奈川県在住)

小野政美(日本戦没学生記念会「わだつみ会」常任理事)

小番伊佐夫(三一書房代表)

寺尾光身(名古屋工業大学名誉教授)

野口壽一(『ウエッブ・アフガン』編集発行人)

橋爪美真(明治大学法学部学生)

宮本弘典(関東学院大学教授)

吉井健一(護憲ネットワーク北海道代表)

                                        *2025614日現在 75

青柳寛(明治学院大学国際平和研究所所員)

青柳行信(原発止めよう!九電本店前ひろば村長)

東江日出郎(東北公益文科大学准教授) 

秋山史(ピリカ全国実・関西)

足立昌勝(関東学院大学名誉教授)

飯島秀明(平取「アイヌ遺骨」を考える会)

壱岐昌弘(さいたま市浦和区在住)

井桁碧(東日本部落解放研究所、VAWW RAC

伊佐眞一(琉球近現代研究家)

石塚伸一(龍谷大学名誉教授)

石原博美(豊見城市民)

板垣竜太(同志社大学社会学部社会学科教員)

位地沙枝子(東京都府中市在住)

上村英明(衆議院議員、市民外交センター元代表)

鵜飼哲(一橋大学名誉教授)

大口昭彦(弁護士)

大山慶一(ピリカ全国実)

岡田仁(明治学院大学教員) 

片岡とも子(ピリカ全国実・関西)

亀谷正子(琉球王国第一尚氏の子孫、琉球民族遺骨返還請求訴訟元原告)

木戸衛一(大阪大学招へい教授)

木村朗(鹿児島大学名誉教授)

木村敬(ピリカ全国実・関西)

木村二三夫(平取アイヌ遺骨を考える会代表)

金時江(茶門セミナー・ハンマダン主宰)

金正則(ヘイトスピーチとレイシズムを乗り越える国際ネットワーク(のりこえねっと)キャスター)

楠本孝(三重短期大学名誉教授)

熊本理抄(大学教員)

小泉雅弘(さっぽろ自由学校「遊」)

纐纈厚(山口大学名誉教授)

小坂田裕子(中央大学教授)

駒込武(京都大学大学院教育学研究科教授)

呉屋初子(宜野湾市民) 

佐高信(評論家)

佐藤嘉幸(筑波大学教員・哲学)

島袋敏子(ニライ・カナイぬ会)

清水雅彦(日本体育大学教授)

辛淑玉(ヘイトスピーチとレイシズムを乗り越える国際ネットワーク(のりこえねっと)共同代表)

鈴木澄江(札幌市に人種差別撤廃条例をつくる市民会議)

祖慶眞行(琉球先住民族の権利保障・回復を求める有志の会代表)

高橋哲哉(東京大学名誉教授)

高良勉(琉球の詩人・批評家)

田中利幸(歴史家)

知念ウシ(むぬかちゃー、大学非常勤講師)

照屋良昌(ニライ・カナイぬ会、命どぅ宝!琉球の自己決定権の会、沖縄自治の風)

照屋信治(沖縄キリスト教学院大学教授) 

とぅなち隆子(沖縄の基地を考える会・札幌)

当真嗣清(琉球弧の先住民族会(AIPR)代表)

渡口正三(ニライ・カナイぬ会)

友永雄吾(龍谷大学国際学部教授) 

冨山一郎(同志社大学〈奄美―沖縄―琉球〉研究センター長)

中川慎二(関西学院大学教授)

仲宗根勇(元東京簡易裁判所裁判官)

中野敏男(東京外国語大学名誉教授)

中村尚樹(ジャーナリスト)

仲村涼子(ニライ・カナイぬ会共同代表、琉球民族独立総合研究学会、琉球先住民族まぶいぐみぬ会)

波平裕子(会社員)

根保清次(琉球独立共和党)

野平晋作(ピ一スボ一ト共同代表)

糟谷奈保子(日本軍「慰安婦」問題の解決を目ざす北海道の会)

畠山大(北海道教育大学准教授)

廣本康行(ピリカ全国実・関西)

藤岡正男(ピリカ全国実・関西)

藤岡美恵子(法政大学教員)

的場昭弘(神奈川大学名誉教授)

三村修(富坂キリスト教センター総主事)

元百合子(国際人権法研究者)

元山仁士郎(一橋大学大学院法学研究科博士後期課程、神奈川大学非常勤講師)

山内小夜子(琉球民族遺骨返還を求める会・関西)

吉池俊子(アジア・フォーラム横浜代表)

吉田健一(鹿児島大学准教授)

與儀睦美(琉球人遺骨の返還を求める会/関東)

與那嶺貞子(琉球先住民族まぶいぐみぬ会)

李若愚(中国・四川大学准教授)

渡辺美奈(アクティブ・ミュージアム「女たちの戦争と平和資料館」(wam))

 

 

*********************************

 

<関連資料>

 

①琉球遺骨返還請求訴訟支援全国連絡会のブログ『琉球遺骨の返還を求めて』

https://ryukyuhenkan.wordpress.com/

②木村朗・前田朗編『ヘイト・クライムと植民地主義』(三一書房、2018年)

https://31shobo.com/2017/11/18003/

③松島泰勝『琉球 奪われた骨――遺骨に刻まれた植民地主義』(岩波書店、2018年)

https://www.iwanami.co.jp/book/b376415.html

④松島泰勝・木村朗編『大学による盗骨――研究利用され続ける琉球人・アイヌ遺骨』(耕文社、2019年)

https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-01-9784863770522

⑤松島泰勝・山内小夜子編『京大よ、還せ――琉球人遺骨は訴える』(耕文社、2020年)

https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-01-9784863770607

⑥松島泰勝『学知の帝国主義――琉球人遺骨問題から考える近代日本のアジア認識』(明石書店、2022年)

https://www.akashi.co.jp/book/b619316.html

⑦琉球民族遺骨返還等請求控訴事件・令和5年9月22日 大阪高等裁判所判決

https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/437/092437_hanrei.pdf

⑧松島泰勝・伊佐眞一他編『取い戻さな!我した琉球 先祖ぬ骨神――琉球民族脱植民地化闘争の記録京大遺骨返還訴訟/沖縄県情報公開訴訟』(琉球館、2025年)

https://mangroove.shop-pro.jp/?pid=184619801

⑨北大開示文書研究会編『アイヌの遺骨はコタンの土へ――北大に対する遺骨返還請求と先住権』(緑風出版、2016年)

https://ryokufu.com/product/8461-1604-0

⑩石原真衣・村上靖彦『アイヌがまなざす――痛みの声を聞くとき』(岩波書店、2024年)

https://www.iwanami.co.jp/book/b646699.html

 

<琉球民族遺骨返還問題の主な最新報道>

・「京大が「琉球遺骨」移管」(『京都新聞』2025529日)

・「京都大学、琉球の遺骨「返還」昭和初期に研究者が持ち出し」(『日本経済新聞』、529日)

・「京大が「琉球遺骨」を地元に移管 人類学者が墓から持ち出した26体」(『毎日新聞』529日)

・「琉球人遺骨移管に関する松島のインタビュー」(『毎日放送(MBS)』、529日)

・「京都大、琉球の遺骨を「返還」昭和初期に研究者が持ち出し」(『共同通信社』配信記事、529日)

・「持ち去り遺骨を沖縄に返還=昭和初期に研究目的でー京大」(『時事通信社』配信記事、529日)

・「墓所からの持ち出しの「琉球遺骨」、最少で29体 京大が回答」(『毎日新聞』530日)

・「百按司墓から持ち出された遺骨 京都大学が今帰仁村へ返還」(『沖縄テレビ(0TV)』放送、530日)、

・「京都大学が琉球王国時代の墓の遺骨を沖縄今帰仁村に移管」(N H K放送、530日)

・「京大、琉球の遺骨「返還」」(『沖縄タイムス』530日)

・「京大、今帰仁教員に26体、「埋葬せず」条件」(『琉球新報』530日)

・「Okinawan remains looted in early Showa Era returned by Kyoto University」(Japan Times, May 30

・「京都大、戦前に持ち去った沖縄の遺骨26体分を今帰仁村に返還」(『読売新聞』530日)

・「旧京都帝国大学の学者が持ち帰った「百按司墓」の遺骨 京大が今帰仁村に移管」(『琉球放送(RBC)』放送、5月31日)

・「琉球人遺骨「返還」静かに眠る権利道半ば」(『沖縄タイムス』社説531日)

・「京大琉球人遺骨移管 世界潮流に合うか検証を」(『琉球新報』社説531日)

・「「再風葬しない」・・・琉球民族の心を無視」(『東京新聞』531日)

・「持ち去り400体開示もなく 非公表のまま26体移管」(『京都新聞』67日)

・「遺骨返還の東大は「最も差別的」 ハワイ先住民が耳を疑った言葉」(『毎日新聞』611日)

・「「なぜ、誰が….」「真実語って」京大から遺骨返還の豪先住民の思い」(『毎日新聞』611日)

Thursday, June 12, 2025

冤罪防止のための取調拒否権入門セミナー 第3回学習会 取調べ拒否の実践報告

冤罪防止のための取調拒否権入門セミナー

第3回学習会

取調べ拒否の実践報告

吉田京子さん(弁護士)

8月5日(火)午後6時開場、開会午後6時半~8時半  

東京ボランティアセンター会議室  JR飯田橋駅隣のビル

参加費(資料代含む):500

2024年、袴田事件再審無罪、大川原化工機事件、福井女子中学生殺人事件、大阪地検検事違法取調事件など多くの刑事事件で、不当な取調問題に注目が集まった。

不当な取調べと自白強要は、被疑者の防御権を侵害し、冤罪につながり、人格権を侵害する。身柄拘束された被疑者は拘置所又は留置場に在房するべきであって、警察署の取調室に行く理由がない。

取調室に強引に連行することは黙秘権の軽視である。

被疑者が黙秘権行使を告げたら、取調べを中断するべきである。

被疑者には取調拒否権がある。

弁護人は被疑者に黙秘権と取調拒否権を助言するべきである。

報告者プロフィル:弁護士(第二東京弁護士会)、高野隆法律事務所。東京大学卒業、同法科大学院修了。裁判官を経て弁護士登録。UC Hastings College of the Law 卒業(LL.M, 刑事法専攻)。論文に「憲法訴訟のために実務家と研究者にできることー在外日本人国民審査権訴訟の留書き」法律時報1181号(日本評論社、2022年)、「主権者としての受刑者在外国民審査権訴訟から受刑者選挙権訴訟への軌跡」法学セミナー820号(日本評論社、2023年)など。

主催:平和力フォーラム

電話070-2307-1071

E-mail: akira.maeda@jcom.zaq.ne.jp

Wednesday, June 11, 2025

反差別連続講座第2回 1998年のヘイト・クライム ――千葉朝鮮会館強盗殺人事件

反差別連続講座第2回

1998年のヘイト・クライム

――千葉朝鮮会館強盗殺人事件

 

7月11日(金)18152030 開場18:00

浦和コミュニティセンター第15集会室 

浦和駅東口 浦和パルコ上9

参加費 800円 (学生・障がい者500円)

 

222日、前田朗さんに講演「包括的差別禁止法&条例をつくろう!」をしてもらい、日本政府の人権意識の遅れが指摘されました。それはどこから来ているのでしょうか? 4回連続講座を企画し、1回目は関東大震災コリアジェノサイドで摂政の責任について取り上げました。2回目はヘイト・クライム未解決事件についてです。ご一緒に学びませんか!

 <ウトロ放火事件が起きて、ヘイト・クライムという言葉が普及しました。ヘイト・クライムは長年ずっと起きてきました。1998年の千葉朝鮮会館強盗殺人事件、2018年の朝鮮総連本部銃撃事件が典型です。これらの事件を日本社会は忘れようとしますが、消すことのできないヘイト・クライムです。>

前田朗プロフィール:1955年生まれ。朝鮮大学校法律学科非常勤講師、東京造形大学名誉教授、日本民主法律家協会理事、 のりこえねっと共同代表。著書に『軍隊のない国家』(日本評論社)『旅する平和学』(彩流社)非国民シリーズ 3部作『非国民がやってきた!』『国民を殺す国家』『パロディのパロディ――井上ひさし再入門』(以上耕文社) 『ヘイト・スピーチ法研究序説』『ヘイト・スピーチ法研究原論』『ヘイト・スピーチ法研究要綱』『憲法9条再 入門』(以上三一書房)等

Monday, May 26, 2025

オンライン学習会「非核神戸方式は破られたのか?」

オンライン学習会「非核神戸方式は破られたのか?」(ZOOMのみ )

 

神戸市では1975年から議会決議に基づく行政措置として、市の港湾管理権によって外国軍艦艇の神戸港入港の際に非核証明書の提示を求める「非核神戸方式」が続けられてきました。非核神戸方式によって、核搭載のあいまい政策を取る米軍艦艇は神戸港に入港しなくなり、港湾の軍事利用の拒否につながりました。

それから50周年の記念となる今年4月、米軍の掃海艇が非核証明書なしに神戸港に入港しました。果たして非核神戸方式は破られたのか?これまで非核神戸方式が果たしてきた役割と、米軍掃海艇入港の経緯、そして地方自治から平和をつくっていく今後の運動の展望について、ZOOMによるオンライン学習会を開催します。皆さん、共に考えてみませんか?

 

日時:2025年6月29日()15:00~17:00 

特別報告 15:00~15:30

「非核神戸方式が果たした役割」

講師:浜 恵介氏(立教大学兼任講師) 

講演 15:30~16:15  

「非核神戸方式は破られたのか?」

講師:粟原富夫氏(神戸市会議員)

https://rikkyo-ac-jp.zoom.us/j/88350635819?pwd=4wT0ikHAfSye8AUD4cxJW1IL38evTM.1

ミーティング ID: 883 5063 5819

パスコード: 675864       

※事前の参加申込不要

 

栗原富夫:石川県出身。神戸大学卒業後、日本社会党を経て現在、新社会党から神戸市会議員(現在10期目)。神戸市の平和運動をけん引し、非核神戸方式に関しては議会の最前線に立つ第一人者の一人。

 

参加費無料(カンパを受け付けています)

<カンパのお願い!>

皆さまの支援で運営しております。実行委員会会計担当の下記口座に、お振込みください。                     

三井住友銀行 京阪京橋支店

普通 1129035

クツザワタイゾウ

 

主催 「無防備地域をいま、改めて考える」実行委員会

共催 非核条例を考える全国の集い

Sunday, May 25, 2025

差別禁止と制裁の国際基準について ~包括的反差別法をつくろう!~

「国連・人権勧告の実現を!」すべての人に尊厳と人権を

40回学習会

差別禁止と制裁の国際基準について

~包括的反差別法をつくろう!~

 

日時: 2025年6月10日 (火) 6時~7時半

開場530分 通行証配布5時半~

会場: 衆議院第二議員会館 第8会議室

◆資料代 500円

★事前申込みは必要ありません。当日、会場にお越しください。

 

講演 寺中誠さん

東京経済大学、都留文科大学、立教大学社会デザイン研究科の教員。主な研究分野は、刑事政策論、国際人権法。国際的な人権基準を実現させるため、国内人権機関やグローバリゼーションが人権に及ぼす問題等について、理論的研究と実践的人権活動の両面に取り組む。前職はアムネスティ・インターナショナル日本事務局長。共著書、論文に『QA ヘイトスピーチ解消法』(現代人文社)、「国際的孤立に進む日本の人権政策」(「世界」201310月号)、他多数。

 

 「包括的反差別法をつくろう!」をテーマに、この間は取り組んでいます。今回は「差別禁止と制裁の国際基準について」寺中誠さんを講師にお招きし、学習会を行います。寺中さんは「国内 人権機関と選択的議定書のための人権共同行動」の活動もなさっています。

人権侵害救済のための「国内人権機関」は、世界120ケ国にあり、日本も国連から何度も設置を求める勧告が出ています。人員構成、予算、活動のすべてが、政府から独立した機関で、その活動は、広報・啓発、人権教育、人権侵害の受理・調査・救済、司法施設への査察、政府や国会への提言や勧告などと広範です。我が国の人権を国際基準にしていくために必要な、「国内人権機関」設置の動きについても、お話をして頂きます。

 

主催: 国連・人権勧告の実現を!実行委員会

              連絡先: 長谷川和男090・9804・4196

[Eメール] jinkenkankokujitsugen@gmail.com  [ブログ] https://jinkenkankokujitsugen.blogspot.com/

Monday, May 19, 2025

マグナ・カルタ原本発見記事で思い出したこと

朝日新聞519日朝刊に「マグナ・カルタ、貴重な原本だった 米ハーバード大、「写本」安値で購入」という記事が掲載された。

https://www.asahi.com/articles/DA3S16216256.html?msockid=39656b98262d63d91b7179fe27c76213

ハーバード大学が保有する「写本」が実は1300年の原本だったと言う。1215年が最古のマグナ・カルタには20種類くらいの原本があるようだ。

マグナ・カルタは、私の恩師である櫻木澄人の研究テーマの一つだった。

かつて次のように書いた。

「筆者が初めて読んだ櫻木澄和の論文は「遺棄罪の問題点」だが、むしろ「マグナ・カルタの“古きよき基本法”への展開と法理の構造」に感銘を受けた。学部四年生の時で、何が書いてあるのかほとんど理解できなかったが、続いて一九五八年の論文「マグナ・カルタの神話」、一九六五年の論文「近代市民法の論理仮説」を読み了えた時には大学院へ進んで櫻木を指導教授に選ぶことに決めていた。企業法学のゼミに属していたため早々と某銀行に就職が内定していたのを取り消して進路を変更した。その後の苦労の始まりだが、人生の選択としてはベストだった、と今になって思う。」(前田朗『黙秘権と取調拒否権』三一書房)。

櫻木澄和「マグナ・カルタの神話」『法学新報』6510号(1958年)

櫻木澄和「マグナ・カルタの古きよき基本法への展開と法理の構造」『比較法雑誌』10巻2号(1977年)

これを読んで大学院に進んだが、櫻木の指導は厳しすぎて、なかなかついていけなかった。苦労の連続だったが、諦めなかったのが良かった。

「封建文書を資本主義刑法の「淵源」とし、イギリス法の象徴をドイツ法の模範として掲げる二重の錯誤がいかにして可能となるのか。「わが国における刑法学が、罪刑法定『主義』を説明するばあいに、憲法三一条を引照するが、憲法八一条を引照して理論構成するのをまったくといっていいほどみなかけない」と言う櫻木は「イングランド中世のマグナ・カルタは、一見、憲法八一条の原型質ともみえそうな法理をもっていたし、クックの“神話”は中世マグナ・カルタの再解釈という手続きをとらざるをえなかった。“古きよき基本法”の法理は、中世マグナ・カルタに始原していたのである」とみて、マグナ・カルタの成立とその再編及び再発見の歴史過程を具体的に分析する。」(前田同書)

「マグナ・カルタの変容は封建的身分的階級構造に規定されつつも、時代の要請に応えながらの自己改革の過程ともいえる。“古きよき基本法”は絶対王権に対する一定の控制機能を果たした面も指摘されるが、「法の下に立つ国王」という観念は登場していない。“古きよき基本法”はマグナ・カルタの再編であって、マグナ・カルタを超えるものではなかった。

 「“古きよき基本法”という法思想は、ヘンリ七世とヘンリ八世による絶対王政が本格的に確立されてく過程で、破壊されていく。しかし絶対王政から市民革命への推転期にかけて、第二の“古きよき基本法”観念が発掘される。」」(前田同書)

 ほとんど弟子をとらず研究者をあまり育てなかったが、多くの若手研究者に影響を与え、ゼミ生から多数の優秀な弁護士を輩出した櫻木は1993年、現職教授のまま逝去した。67歳であった。

 2022年、67歳を迎えた私は、自分の『黙秘権と取調拒否権』を読み直した。2016年に出版したが、取調拒否権論は残念ながら学界や法曹界に影響を与えることができなかった。

 このまま終わるかと思っていたが、世の中おもしろいもので、2024年、弁護士たちが「取調べ拒否権の実現を求める会」を立ち上げた。欣喜雀躍する私である。

 櫻木の主要論文は、私見では、次の論文である。

 櫻木澄和「現代における法と主体-客体-関係の構造」『法律時報』521011号(1980年)、53巻5号、7号(1981年)

 私が大学院修士課程時代に書かれた論文だが、その内容について櫻木本人から話を聞いた記憶はない。一度、「これに加筆して1冊にまとめると出版社に約束したが、できなかったのが残念」と聞いただけである。

この論文を理論的に超えることが私の課題だが、まだ難しいようだ。弟子にとって恩師とはそういうものなのだろう。

Thursday, May 15, 2025

『憲法を取り戻す』出版記念会 /この国には本当に憲法があるのか?!

『憲法を取り戻す』(三一書房)出版記念会

この国には本当に憲法があるのか?!

 

6月14日(土)午後6時開場、開会午後6時半~8時半  

東京ボランティアセンター会議室  JR飯田橋駅隣ビル10

参加費(資料代含む):500

 

座談会:私たちの立憲主義再入門

大江京子(弁護士)

清水雅彦(日本体育大学教授)

寺中誠(東京経済大学教員)

前田朗(朝鮮大学校講師)

 

前田朗編『憲法を取り戻す―私たちの立憲主義再入門』

https://31shobo.com/2025/02/25001/

この国には本当に憲法があるのか?!

法学者・弁護士12名へのインタヴューから見えてくるものは?

日本社会の崩壊がとまらない今、政府に平和主義・民主主義・国民主権・権力分立・基本的人権等の基本原則に立ち返らせ市民社会が立憲主義を取り戻す法思想を提示する「日本国憲法の再入門」であり「立憲主義の再入門」

 

主催:平和力フォーラム

電話070-2307-1071

E-mail: akira.maeda@jcom.zaq.ne.jp

 

大江京子

弁護士。日弁連憲法対策本部委員、改憲問題対策法律家六団体連絡会事務局長。中国人戦争被害賠償請求事件弁護団副幹事長、日本中国友好協会墨田支部長、日本民主法律家協会常任理事・憲法対策本部事務局長。共著に『緊急事態と憲法』(学習の友社)、『平頂山事件とは何だったのか』『JUSTICE――中国人戦後補償裁判の記録』(高文研)等。

清水雅彦

日本体育大学教授(専攻・憲法学)。戦争をさせない1000人委員会事務局長代行、9条の会世話人。著書に『治安政策としての「安全・安心まちづくり」』(社会評論社)、『憲法を変えて「戦争のボタン」を押しますか?』、『憲法改正と戦争 52の論点』(以上高文研)、『憲法入門』(大月書店)、共著に『秘密保護法から「戦争する国」へ』(旬報社)、『マイナンバー制度』(自治体研究社)、『令和から共和へ――天皇制不要論』(同時代社)等。

寺中 誠

東京経済大学教員。専攻は国際人権法、刑事法。著書に『裁判員と死刑制度』(共著、新泉社)、『死刑の論点』(日本評論社)、『Q&Aヘイトスピーチ解消法』(共著、現代人文社)、『国際人権から考える「日の丸・君が代」の強制』(共著、同時代社)、監訳書に『ヘイトクライムと修復的司法』(明石書店)等。

前田 朗

朝鮮大学校法律学科非常勤講師、東京造形大学名誉教授。日本民主法律家協会理事、RAWA(アフガニスタン女性革命協会)と連帯する会共同代表。著書に『平和のための裁判』(水曜社)、『戦争犯罪論』『9条を生きる』(青木書店)、『非国民がやってきた!』『パロディのパロディ――井上ひさし再入門』(耕文社)、『旅する平和学』(彩流社)、『憲法9条再入門』『ヘイト・スピーチ法研究序説』『ヘイト・スピーチ法研究要綱』『希望と絶望の世界史』(三一書房)等。