Saturday, March 07, 2026

深沢潮を読む(14)「深沢潮宣言」

深沢潮『はざまのわたし』(集英社インターナショナル、2025年)

https://www.shueisha.co.jp/books/items/contents.html?isbn=978-4-7976-7458-3

 

20251月に出版された著者の最初のエッセイ集だ。

「金江のおばさん」でデビューしたのが2012年。それ以来、女性が抱える恋愛、仕事、家族、子育てなどの現実を通して現代社会を描くとともに、在日朝鮮人の歴史に分け入って過去と現在をつなぎ、深く思索する歴史小説を送り出してきた。

本エッセイでは「食べることは生きることであり、生きてきた軌跡の断片をこのエッセイに書いた」とあるように、「食」をテーマにしている。

キムチ、珈琲、寿司、カップ麺、酒、フライドチキン、肉、ベーグル、チョコレート、アフタヌーンティー、サンドイッチ、ヌルンジ/お茶漬けを取り上げて、思い出を語る。日本と韓国の食の比較、在日の食の位置づけなどが繰り返し話題となり、日韓文化論になっている。

そして表題にある通り、「日韓のはざまの深沢潮」を対象化する。

「在日コリアンのアイデンティティがさまざまであるように、在日料理も多様で、オリジナリティの濃淡もそれぞれ異なり、いろどり豊かである。」

それゆえ、次の7行につながる。

「別に、どちらの国の人でもいいじゃないか。

 どちらの国の人でなくてもいいじゃないか。

 自分は、自分なのだ。

 唯一無二のごちゃまぜの存在じゃあだめなのか。

 そもそも、誰が、何の権利があって、なにを根拠に、ジャッジするのか。

 本物かそうでないかなんて決める必要はないのではないか。

 だいたい、本物ってなんだ。」

 これを乱暴に否定したのが、『週刊新潮』の高山正之「創氏改名2.0」だった。

 深沢は抗議の記者会見を開かざるをえず、新潮社から版権を引き上げることになった。さらに、高山がコラムを収録した本を出版したため、訴訟を起こさざるを得なかった。

 【週刊誌問題】深沢潮 激動の2025年を振り返る【版権引き上げ】

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