ナミビア政府が人種差別撤廃委員会に提出した報告書(CERD/C/NAM/13-15. 6 March 2015)によると、憲法10条は法の下の平等と、性別、人種、皮膚の色、民族的出身、宗教、宗派、社会的地位又は経済的地位に基づく差別からの自由を定める。保護される集団は、自然の集団も選択によって形成した集団も含まれる。1991年(1998年改正)の人種差別禁止法、農地改革法、個湯における積極的是正措置法、教育法、子どもの地位法、共有地法、文化機関法、国立美術館法なども国民的和解を目指す法律である。
1998年の人種差別禁止法11条は、次の目的を持った言語の公然使用、文書の出版及び頒布、物の展示を禁止している。特定の人種集団に属することを理由として人又は集団を威嚇し、侮辱する目的。異なる人種集団間に憎悪を惹起し、促進し、煽動する目的。人種的優越性に基づく観念の流布。
人種差別禁止法1条は、公共団体、中央政府、地方政府に、人種差別の助長、煽動を禁止する。他人に公共施設の利用を否定すること。他の者に許されているよりも不利益な条件で施設利用を許可すること。特定の人種集団構成員であることを理由として施設利用を中止させること。
人種差別動機を刑罰加重事由とすることについて、言論の自由と差別の禁止の間で考慮する。リーディング・ケースは、1993年のS対ヴァン・ウィク事件最高裁判決であり、最高裁は人種的動機を刑罰加重事由とした。
1993年のS対ホテル・オンドゥリ事件最高裁判決は、人種動機による宿泊・滞在の不許可を差別犯罪として有罪とするにあたり、人種差別禁止法3条に従って、特定の人種集団に対する公共サービス提供の拒否に該当するとした。
人種差別撤廃委員会はナミビア政府に次のように勧告した(CERD/C/NAM/CO/13-15.
10 June 2016)。1998年の人種差別禁止法改正が完結していないことに留意する。1995年のカウエサ対家族大臣事件において、裁判所がヘイト・スピーチを「人種、皮膚の色、民族的出身、宗派又は宗教に基づく憎悪又は偏見を煽動するスピーチ」と定義し、定義から世系が除外されたことに関心を有する。人種差別撤廃委員会の一般的勧告7及び15に照らして、条約4条が義務的性格を有することに注意を喚起する。一般的勧告35に照らして、改正法の定義を条約4条に沿うように、また条約第1条の定義に合致するように勧告する。