Friday, February 03, 2023

日本を戦争に巻き込む「安保3文書」に反対し、その撤回を求める(声明)

2023年2月2日

国際人権活動日本委員会

議長 鈴木亜英

URLhttp://jwchr.s59.xrea.com/

 

20221216日、政府は「国家安全保障戦略」「国家防衛戦略」「防衛力整備計画」の安保3文書(以下ではこの3文書を一括して扱う)を閣議決定し、2023123日の第211通常国会の施政方針演説で、その実行を表明した。国際人権活動日本委員会は、これに強く反対するとともに撤回を求める。

安保3文書は敵基地への「反撃能力」の保有を掲げるが、実際にはまぎれもない「先制攻撃能力」の保有である。これは戦争放棄を定めた日本国憲法を蹂躙し、国際法にも反する先制攻撃も可能にする暴挙である。従来、政府はともかくも「専守防衛」を「国是」として掲げ、「何ら武力攻撃が発生していないにもかかわらず、いわゆる『先制攻撃』や『予防攻撃』を行うことは、国際法上認められない」としてきた。安保3文書はこの「国是」を投げ捨てるものであり、断じて許されない。

安保3文書どおりに、軍事費がGDP2%に増やされれば、現在でも世界第8位(Global Firepower, 2023)の日本の軍事力はアメリカ・中国に次ぐ世界第3位になると予測されている。まごう方なき軍事大国化を、「平和国家としての我が国としての歩みを、いささかも変えるものではない」(施政方針演説)とする政府の主張は詭弁というほかない。

安保3文書の内容を実現するための財源として、大増税は必至である。大軍拡には湯水のごとく巨費を投じる一方、年金などの社会保障や医療費、教育費などはすでに切り下げや抑制が進行している。安保3文書によって、そうした事態がさらに加速されることは、火を見るより明らかである。これは憲法25条によって政府が実現の義務を持つ社会権規定(「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」「すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」)を放棄するものである。一方、安保3文書に先立って「戦争する国づくり」はすでに開始されている。日本学術会議の6名の委員の任命拒否と、それを正当化する日本学術会議法「改正」案は、その典型である。

これらは、日本自身が批准する国連の社会権規約や自由権規約をはじめとする人権諸条約への背信行為といわなければならない。国際人権活動日本委員会は、国際人権を日本で実現するために活動してきた立場から、安保3文書を強く非難する。

古代ローマの哲学者キケロは「武器の間で法は沈黙する」(inter arma silent leges.と述べたという。この言葉は「武器の間でムーサ(芸術の女神)たちは沈黙する」(inter arma silent musae)という格言の言い換えだという。いま、私たちは2000年以上前のこの2つの警句を思い起こさずにはいられない。「戦争する国」では、学問や芸術の自由は抑圧され、法で規定された人権は蹂躙されるだろう。安保3文書は、国内では憲法を蹂躙して日本に住むすべての人々の人権を侵害し、国際社会にあっては人権規約・条約の実行を否定するものである。国際人権活動日本委員会は、第211通常国会開会に際して、重ねて安保3文書に強く反対するとともに、その撤回を求めるものである。