国連人権高等弁務官事務所と、平等権信託(Equal Rights Trust)は2023年、『マイノリティの権利を保護する――包括的差別禁止法を発展させるための実務ガイド』を公表した。
Protecting
Minority Rights, A Practical Guide to Developing Comprehensive
Anti-Discrimination Legislation, United Nations Human Rights Office of the High
Commissioner and Equal Rights Trust, 2023.
ERTは、EUやイギリス政府の財政支援を受けているが、本ガイドに示された見解はEUやイギリス政府の公式見解を反映しているとは限らないという。
本ガイドは200頁を超える大部のものであり、その概要を紹介することはとうていできない。まずは大目次だけ紹介する。
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はしがき
要約
序文
Ⅰ 方法、射程、制約
Ⅱ 本ガイドをどう使うか
第1部
包括的差別禁止法を制定する国家の義務
Ⅰ 包括的差別禁止法を採択する必要に関するコンセンサス
Ⅱ 国連憲章機関とその他の国際手続き
Ⅲ 地域的法と各国法の発展
Ⅳ 結論
第2部
包括的差別禁止法の内容
Ⅰ 平等の権利と非差別
Ⅱ 救済
Ⅲ 司法と執行
Ⅳ 平等機関
Ⅴ 履行義務
第3部 マイノリティの権利を保護する
Ⅰ マイノリティの権利と差別の禁止
Ⅱ 人種差別を受け被害を受ける集団
Ⅲ 宗教・信仰マイノリティと差別
Ⅳ 言語、言語的マイノリティ、差別、平等及び統合
Ⅴ マイノリティの参加と差別の禁止
Ⅵ 先住民族の権利
第4部
差別的暴力とヘイト・クライム
第5部 差別と表現
Ⅰ 差別禁止法に直接関係する言説の局面
Ⅱ ヘイト・スピーチ及び差別、敵意、暴力の煽動の禁止
Ⅲ 煽動及びその他の憎悪や偏見に基づく表現に対する制裁
Ⅳ 非法的措置
第6部
多様性と平等の促進――差別の原因に対処する義務
Ⅰ 偏見、ステレオタイプ、スティグマに対処する国際法の義務
Ⅱ 特別措置
Ⅲ 結論:平等と多様性の促進