カメルーン政府がCERDに提出した報告書(CERD/C/CMR/22-23. 15 October 2019)
人種差別の禁止と平等の促進のため、2017年1月23日の法令2017/13により制度的枠組みを再編成し、「2言語使用と多文化主義の促進国家委員会」を創設した。
同法令3条によると、大統領権限により、委員会はカメルーンにおける2言語使用と多文化主義の促進に責任を有する。そのため、2言語使用と多文化主義に関する報告書と勧告を提出し、英語とフランス語の使用状況を監視し、特に政府における2言語使用を促進し、関連する調査・研究・勧告を行い、差別申立てを受理する。
2言語使用について、英語教育とフランス語教育のための教員養成に力を阻止でいる。就学前教育及び小学校における2言語教育の状況について報告している。カメルーンは2言語の平等普及による差別撤廃をめざしている。カメルーンの8大学のうち2大学(ブエア大学、バメンダ大学)は英語教育中心である。
今回の報告書にはヘイト・スピーチについての内容がない。これまでの報告について『序説』596頁、『原論』394頁。
人種差別撤廃委員会はカメルーンに次のように勧告した(CERD/C/CMR/CO/22-23. 26 May 2022)。
刑法241条1項は「部族」と「民族的出身」に基づくヘイト・スピーチと暴力の煽動を犯罪としているが、条約第4条の人種主義ヘイト・スピーチの犯罪化規定に合致していない。インターネットにおけるヘイト・スピーチの統計情報がない。
刑法規定を条約4条に合致するように改正すること。人種主義ヘイト・スピーチとヘイト・クライムについて報告し、申立て、訴追、有罪、刑罰のデータを収集し、次回報告すること。警察官、検察官、裁判官その他の法執行官にヘイト・クライムとヘイト・スピーチの認知、記録、捜査、訴追の方法を研修すること。インターネットとソーシャルメディアのヘイト・スピーチを監視する措置を取ること。ヘイト・スピーチを公的に非難する効果的な措置を講じ、政治家が人種主義ヘイト・スピーチから距離を置くこと。