Wednesday, September 20, 2023

ヘイト・クライム禁止法(208)ルクセンブルク

ルクセンブルクがCERDに提出した報告書(CERD/C/LUX/18-20. 26 June 2020

『原論』368

人種主義その他の差別動機で行った犯罪は、1997年刑法の第444条、第4501項、第453条、第454条、第4574項に規定されている。

刑法第4541項によれば、自然人の間になされた区別であって、出身、皮膚の色、性別、性的指向、ジェンダー、家族状況、年齢、健康、障害、慣習、政治的哲学的意見、労働組合活動家、又は特定の民族集団、国民、人種、宗教の集団の一員であること、又はそう思われたことに基づいたものである場合、差別に当たる。

2008年の受容統合法の下で反差別の努力は保障され、ルクセンブルク受容統合庁にすべての形態の差別と闘う権限を与えており、統合と反差別の国家行動計画を策定することとしている。

EUの前進プログラムの協力を得て、宗教、障害、年齢、性的指向、人種民族出身に基づく差別と闘うイニシアティブがとられている。

2006年の平等処遇法第28条は直接差別、間接差別、ハラスメントに対処するものである。

人種差別申し立ては、201529件、201621件、201728件、201843件である。差別申し立ての多くは人の出身や国籍に基づく侮辱である。憎悪煽動がソーシャルメディア上で起きている。

2006年法によって設置された平等処遇センターが差別被害を受けたと考える者の相談に応じている。

人種動機犯罪の刑罰加重について、刑法第455条が対応している。刑法第4571項は、自然人又は法人に対する憎悪や暴力の煽動にあたるいかなる形態のコミュニケーションも刑罰加重事由としている。刑法第444条によると、人の名誉を貶める特別の悪意ある主張をした者は、その行為が人種動機でなされた場合には、より重い刑罰を科すこととしている。

刑法第354項は法人の解散を定めるが、その条件は第38条による。第38条は2010年に改正された。法人を解散させるのは、自然人であれば3年以上の刑事施設収容にあたる犯罪を行った場合に相当する時であり、権限のある裁判所による解散決定がなされた場合である。刑法第443条、第444条、第4571項の人種差別の煽動規定が法人に該当すれば、解散がなされうる。

CERDがルクセンブルクに出した勧告(CERD/C/LUX/CO/18-20. 16 May 2022

刑法において人種主義動機が刑罰加重事由とされていないので、人種主義動機を刑罰加重事由とすること。条約第4(b)に従って人種差別を煽動する団体を違法且つ禁止と定める規定を導入すること。

インターネット上のヘイト・スピーチを警察に通報する「BEE SECURE Stopline」のように、ヘイト・スピーチと闘う措置を講じているが、移住者、難民、庇護請求者、アフリカ系人民に対するヘイト・スピーチが増加している。インターネットやソーシャルメディア上野ヘイト・スピーチを予防、非難し、これと闘う措置を取ること。プロバイダーやプラットフォームと協力して、ヘイト・スピーチの拡散を止める努力をすること。移住者や難民等に対する偏見や虚偽情報に対処する啓発キャンペーンを行うこと。ヘイト・スピーチに関する信頼できる包括的な統計をとること。訴追、判決、量刑、被害者救済についての統計を取ること。