Sunday, March 31, 2013

ヘイト・クライム(人種差別、差別煽動)関連論文リスト

『ヘイト・クライム』(三一書房労組、2010年)                                             「ヘイト・クライムを定義する(1)~(6)」『統一評論』536号、537号、541号、542号(2010年)、546号、547号(2011年)                              「ヘイト・クライムはなぜ悪質か(1)~(5)」『アジェンダ』30号、31号(2010年)、32号、33号、34号(2011年)                                                「2010年の民族差別と排外主義」『統一評論』543号(2011年)                                           「ヘイト・クライム法研究の課題」『法と民主主義』448号、449号(2010年)                                               「ヘイト・クライム法研究の展開」『現代排外主義と差別的表現規制』(第二東京弁護士会人権擁護委員会、2011年)                                                              「差別集団・在特会に有罪判決」『統一評論』550号(2011年)                                                               「アメリカのヘイト・クライム法」『統一評論』551号(2011年)                                                            「ヘイト・クライム法研究の現在」村井敏邦先生古稀祝賀論文集『人権の刑事法学』(日本評論社、2011年)                                                                                「差別禁止法をつくろう! 差別禁止法の世界的動向と日本」『解放新聞東京版』779号、780号(2012年)                                                                             「誰がヘイト・クライム被害を受けるか(1)~(4)」『統一評論』556、557号、566号(2012年)、568号(2013年)                                                                        「人種差別撤廃委員会第八〇会期」『統一評論』558、559号(2012年)                                                                                「差別表現の自由はあるか(1)~(4)」『統一評論』560号、561号、562号、563号(2012年)                                                                                          「日本における差別犯罪とその煽動について(1)~(4)」『解放新聞東京版』791号、792号、793号、794号(2012年)                                                                               「在特会・差別街宣に賠償命令」『マスコミ市民』524号(2012年)                                                                             「差別・排外主義の在特会に賠償命令」『統一評論』565号(2012年)                                                               「ヘイト・クライム法研究の射程」『龍谷大学矯正・保護総合センター研究年報』第2号(2012)                                                                                           「国連人権理事会の普遍的定期審査(二)」『統一評論』567号(2013年)                                                                                            「人種差別撤廃委員会・日本政府報告書」『統一評論』569号(2013年)                                                                 「自由権規約委員会・日本政府報告書」『統一評論』570号(2013年)                                                                                       「ヘイト・クライム処罰は世界の常識」『イオ』202号(2013年)          

映画『約束――名張毒ぶどう酒事件 死刑囚の生涯』

映画『約束――名張毒ぶどう酒事件 死刑囚の生涯』を観てきた。                                                           http://www.yakusoku-nabari.jp/                                                     国民救援会会員になって30年以上、「奥西さんを守る東京の会」会員になって20年以上になる。江川詔子『六人目の犠牲者』を読んだのはいつだったか。長年の知人の宮原哲朗弁護士、同期の神山啓史弁護士、ヒューマン・ライツ・ナウの伊藤和子弁護士も弁護団に加わっている。袴田事件と同様に、授業で何度も取り上げて、学生に話してきた。                                                                                            東海テレビが何度かドキュメンタリーを制作してきたが、今回は、再現ストーリーの映画公開だ。事件の全体像がよくわかるが、ドキュメンタリーでは伝えることのできない死刑囚本人の思いを表現するために再現ストーリー映画の手法になったようだ。東海テレビ取材班『名張毒ぶどう酒事件 死刑囚の半世紀』(岩波書店)も先日、青森での研究会の往復新幹線で読んだ。                                                                                                     ぶどう酒の王冠、犯行に用いられたテップ剤(ニッカリンTとされていたが)などの証拠を崩してきた弁護団の頑張りにもかかわらず、再審請求は棄却されてきた。唯一、再審開始を認めた名古屋高裁決定も、わけのわからない逆転棄却に終わった。                                                                                            映画では取り上げられていなかったが、いま一番気になるのは竹筒だ。奥西さんは、犯行前夜に、犯行の準備をしたとされている。ニッカリンTを瓶から竹筒に移し、瓶を名張川に捨てたとされている。その竹筒を持ち歩き、犯行当日の午後5時すぎに、公民館に瓶を持ち運んで、だれもいない隙、わずか5分間に、ぶどう酒一升瓶の王冠を取り、栓を開けて、竹筒からニッカリンTを一升瓶に入れたうえで、栓をもとに戻して、竹筒は囲炉裏に入れて、燃えてしまったことになっている。竹筒の話は本当だろうか。疑問だ。                                                                                                    犯行前日はぶどう酒を出さないことに決めてあり、ぶどう酒を出すことになったのは犯行の日の朝である。それなのに、奥西さんは、前日夜に準備をしたことになっているのは、ありえない話で、何度も指摘されてきた。                                                                                                 それ以上に知りたいのは、竹筒を囲炉裏に入れた後のことだ。                                                                                         第1に、囲炉裏にいれた竹筒が燃えてしまったとすると、どのような状態になっていたのか。5分間で犯行をして、竹筒を囲炉裏に入れて、他の人が戻ってきたときに、竹筒はどういう状態だったのか。                                                                                                          第2に、ニッカリンTを一晩入れておいた竹筒である。ニッカリンTを一升瓶に移して、すぎに竹筒を囲炉裏に入れて燃やしたという。テップ剤はどうなったのだろうか。異臭、悪臭はしないのだろうか。弁護団は苦労に苦労を重ねて、当時のニッカリンTを入手して再審請求に臨んでいるので、実験は済んでいるのかもしれない。異臭も悪臭もしないのだろうか。                                                                                                     映画実現にたどりつくまでの苦労は、パンフレットと上記の本でよくわかった。日本映画を代表する仲代達也と樹木希林が、一地方テレビ局がつくった再現ストーリーものに出演するということ自体、驚くべきことだ。名張事件の重要性、奥西さん救出の切迫性を感じて出演を引き受けた仲代達也と樹木希林には頭が下がる思いだ。若き日の奥西さんを演じた山本太郎もなかなかよかった。

Sunday, March 24, 2013

森美術館問題を考える討論集会Part.2レジュメ

<博物館事件>小史                                                                                                                                                         前田 朗                                                                                                                                                                                                                                                                                                                              1 森美術館問題の一側面                                                                                                                                                                                                ・博物館・学芸員の表現の自由と責任   ・博物館の社会的責任   ・博物館が送り出すメッセージと社会                                                                                                           ・「外圧」と博物館--社会から博物館へのメッセージ                                                                                                                                                                                                                                                                                                           2 最近の博物館・美術館事件小史                                                                                                                                                                                                                                         1) ニコンサロン事件 2012年5月 「慰安婦」写真展「中止」                                                                                                                                                                                                                             2) 目黒区美術館事件                                                                                                                           2012年3月 「原爆を視る1945-1970」展中止                                                                                                                                                                                                                             3)水平社博物館事件                                                                                                              2012年1月 元在特会会員による差別街宣                                                                                                                                                                                                                         4) 福島県立美術館事件                                                                                                          2012年1月、「ベン・シャーン展」一部不展示                                                                                                                                                                                                                       5) チンポム「原爆の図」事件                                                                                                                 2011年5月、岡本太郎壁画に原発事故絵を追加(美術館ではないが)                                                                                                                                                                                                                                                                            6) 神戸ファッション美術館事件                                                                                                                           2010年5月、岡本光博「バッタもん」作品撤去                                                                                                                                                                                                                                                 7) 新潟市美術館問題                                                                                                                  2009年以後、北川館長のもとでの美術館運営問題                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                3 博物館事件をめぐる<力学>                                                                                                                                                                                                                                                      1) 事件化の契機                                                                                                                                                                                                                           ・館から社会へのメッセージ                                                                                                                    ニコンサロン                                                                                                                           目黒区美術館                                                                                                                            水平社博物館                                                                                                                           福島県立美術館                                                                                                                       神戸ファッション美術館                                                                                                     ・社会から館へのメッセージ(1)                                                                                                                                                                                                                                                   ・社会から館へのメッセージ(2)                                                                                                                                                                                                                            2) 事件処理・対応の<力学>                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                              3) 博物館事件に見る権力作用                                                                                                                                                                                                                    ・政治主権――国家、警察、天皇制                                                                                                      ・経済権力――東京電力、ルイ・ヴィトン                                                                                                  

Monday, March 18, 2013

見えない子どもたち

2月から3月にかけて、ジュネーヴの国連欧州本部新館展示コーナーで、生まれてきても出生登録もされず、名前もつけられない子どもたちがいることを訴え、子どもたちを「見える存在にしよう」という写真展が行われていた。

リサイクルアート展

ジュネーヴ空港の近くの展示場の庭で「リサイクルアート展」をやっていた。ちょうど、本会場ではモーターショーをやっていたが、その庭で、廃車の部品を使ったリサイクルアート展である。

Friday, March 15, 2013

人権理事会UPRでの新しい課題を考えた

グランサコネ通信2013-18                                                                  *                                                                                              今回のグランサコネ通信、最後の通信だ。「グランサコネ」とは何かと聞かれるが、ジュネーヴ郊外の私の宿舎の所在地名である。小さな丘の上にあり、私の部屋は一戸建ての山小屋の1階であり、何もなくて不便だが、静かでいいところだ。国連欧州本部までゆっくり歩いて30分だ。今回は2月16日に来たので4週間の滞在だった。                                                                   最初の週は国連人権理事会平和への権利作業部会に参加し、ロビー活動を行った。幸い、3回発言できた。後日、NGO会議にも参加した。人種差別撤廃委員会には2日しか顔を出せなかったが、資料は少し集めた。その後は、人権理事会が始まったが、1週目は大臣の演説なので、途中からルガーノ観光に行ってきた。2週目と3週目はまじめに出席して、情報収集し、議題4(慰安婦問題)と議題5(朝鮮学校差別問題)の発言ができた。十分とは言えないし、NGO発言をしていったい何の効果があるのかと言い出せばなかなか難しいが、同じ時期にちょうどニューヨークの女性の地位委員会でも「慰安婦」問題が取り上げられたので、NYとGEの両方で日本政府に要求を突き付けることになってよかった。                                                                                      日本政府の普遍的定期審査は予定通りの結果というか、去年の10月の審議が本番で、今回は報告書の採択なので、まあこんなものかと思う。今回は、15日のペルー、スリランカも含めて、14カ国の普遍的定期審査のすべてを傍聴した。そこで新しい課題に気づいた。これまで日本関連NGOは、UPRで、日本の人権状況を訴え、各国政府に発言をチェックし、日本政府の応答に腹を立て、より良い勧告を求めてきた。その勧告を実現するために国内で頑張ってきた。しかし、それでは決定的に足りない。もっとやるべきことがある。その第1は、他の諸国のUPRに際して、NGOが何をなすべきかであるが、これは今回は置いておく。                                                                                                    重要なのは第2で、他の諸国のUPRに際して、日本政府が何を発言し、いかなる勧告を出しているかのチェックである。今回の13カ国に関する日本政府の動きをチェックしてみた。これは一定期間継続的に調査する必要がある。(1)UPRは、国連加盟国すべてについて公開の場で相互にチェックし合い、相互協力によって人権状況を改善するためのものである。当然、自国のことだけではなく、国連加盟国には、多国の人権状況に改善提案をすることで、国連人権理事会に貢献することができる。日本政府はその努力をどれだけやっているか。(2)他国の人権状況に改善勧告を出すためには、それなりの調査・研究、情報収集、分析が必要である。いい加減なことを言うわけにはいかない。各国のジュネーヴ代表部のスタッフには、そうした調査・研究能力が求められる。アメリカ、中国、日本のような大国は、ジュネーヴに大きなビルを構え、多数のスタッフが抱えている。何十人もの外交官が活動している。それでは、日本は何をしているか。                                                                                     以上の(1)と(2)の関心から、今回の13カ国に対するUPRの経過を調査した。結論は、ほとんど最初から見えていたが、日本政府の発言は非常に少ない。日本政府が各国に対して出した勧告は、韓国に3、スイスに0、スリランカに2、ペルーに0、パキスタンに2、ザンビアに2、ガーナに0、ウクライナに0、グアテマラに0、ベニンに0、チェコ共和国に0、アルゼンチンに0、ガボンに0といった調子だ。つまり、UPRの大半の時間を日本政府はひたすら沈黙しているのだ。アメリカ、イギリス、フランス、ベルギー、キューバ、カナダ、ノルウェーなどは、多くの諸国に対して3つも5つも勧告を出している。ごくごく小さな国でも、良く出している。国連加盟国193カ国の中には、国家財政規模からいって、ジュネーヴに1人しか代表のいない政府も珍しくない。それでも、頑張っている。何十人もスタッフのいる日本政府は、上のようなありさまだ。この点はもっと詳しく調べる必要がある。今会期だけでなく、数回の会期にわたって調べること。そして、勧告の内容も検討することが必要だ。勧告を出していても、「いや、それはすでに実現しています」と答えられた例もある。どうでもいい内容の勧告もある。日本政府が審査を受ける時だけではなく、普段から国際人権法にいかなる姿勢を持ってるのかをチェックしていかなくてはならない。                                                                                                            *                                                                                                                                   と、今回の人権理事会活動をいちおうまとめ、今後の課題も確認して、今夜はSyrah, Matre de Chais, 2008.

人権理事会UPR韓国報告を採択(国家保安法、兵役拒否、死刑)

グランサコネ通信2013-17                                   *                                                  14日の人権理事会は普遍的定期審査UPRで韓国に関する報告書(A/HRC/22/10)を審議し、韓国への勧告を含む報告を採択した。昨年10月のUPR作業部会で、韓国には70の勧告が出されていた。今回、韓国政府はその多くを受け入れたが、拒否したものもあり、それは主に、国家保安法、兵役拒否、死刑に関するものだった。韓国政府は、国家保安法は主権国家の存続にとって必須不可欠であるとまで述べて、法律は裁判所によっても認められており、基本的民主秩序にかなっていると述べて、国家保安法を廃止せよという勧告を拒否した。兵役拒否を犯罪としていることにも、改善勧告が出されていたが、韓国政府は、朝鮮半島の特殊な政治状況を理由に変更の必要はないと、述べた。死刑を廃止せよという勧告については、韓国政府は、いまは実際の執行はしていないが、死刑制度自体は世論に支持されている、基本政策として今後も維持すると述べた。死刑存続の理由を「世論」に求めるのは、日本と似てきた。「人権」よりも「世論」というのは、どこにも通らない話なのだが。NGOでは、アムネスティ・インターナショナルが、死刑、兵役拒否、国家保安法を批判した。アジア人権発展フォーラムは、移住者の権利を尊重せよ、国家保安法を廃止せよ、平穏なデモの弾圧を止めよと主張した。国際子ども擁護団体は、子どもの権利(教育問題、性的搾取)に言及した。なお、ここ数日、韓国NGOが何人も参加してロビー活動を展開していたが、韓国の人権状況の普遍的定期審査の時になるとパタリといなくなった。誰もいない。不思議だ。もしかすると、NGOの席ではなく、他の所にいたのだろうか。