ドイツ政府が人種差別撤廃委員会に提出した報告書(CERD/C/DEU/19-22.
18 October 2013)によると、人種主義犯罪と闘うための包括的刑法があり、裁判手続き予備捜査手続きにおいて履行されている。刑法86条は反憲法集団の宣伝物の流布を犯罪とする。刑法130条は人種憎悪の煽動を犯罪とする。「国民的、人種主義的、宗教的、民族的出身により決まる集団」に対する煽動を取り上げる。人種ゆえの個人に対する煽動も憎悪煽動犯罪となる。ドイツは、2008年の人種主義に関する枠組み決定、2001年の欧州サイバー犯罪条約追加議定書(コンピュータ・システムを通じた人種主義的性質の行為の犯罪化)を採用した。
人種的動機は、すべての犯罪について刑罰加重事由である。そのための特別規定はないが、刑法46条2項の一般規定に含まれていて、裁判所は量刑に際して犯行者の動機を考慮する。社会民主党は、人種主義や外国人排斥の動機や目的を刑法46条2項の加重事由に追加する刑法改正案を連邦議会に提出した。2012年6月13日、専門家公聴会では多数が反対し、連邦議会法務委員会は法案否決を勧告した。2012年10月18日、連邦議会は法案を否決した。
人種差別撤廃条約4条a
刑法86条、86条a、130条の判決については報告書付録6に一覧表を掲載。
刑法86条について、旧西ドイツ領地域では、2004-2006年に有罪判決が402件から554件である。2008年は全連邦で1139件とピークとなった。2009年と2010年には減った。刑法86条aについて、2004-2006年は590件から681件であり、2008年は816件である。たいていは刑法違反で罰金が科された。
刑法130条の憎悪煽動について、2007年がピークで318件の有罪判決であり、その後減って、2010年には184件である。全有罪判決のうち刑事施設収容としたのは約20%であるが、刑法130条1項については37%から46%である。41%(2004)、46%(2015)、40%(2006)、45%(2007)、40%(2008)、41%(2009)、37%(2010)。
刑法130条2項は、ラジオ、メディアサービス、テレコミュニケーションによる憎悪煽動を犯罪としているが、有罪判決は、2004年から2006年は47件から34件、2007円以来60件から68件のレベルである。
刑法130条3項は、ナチスの支配下で行われた犯罪(国際刑事法典6条1項にあたる犯罪)を容認、否定、矮小化する行為を犯罪としている(ホロコースト否定犯罪)。2004年には24件程度であったが、2011年には60件であった。
2005年3月24日の集会法・刑法改正は、刑法130条4項のナチスの恣意的暴力支配を賛美することを含むが、2006年以来、3件から8件のレベルである。
以下、報告書は、捜査関連情報を多数列挙している。
人種差別撤廃条約4条b
ドイツ連邦も諸州も人種差別を助長し、呼びかける団体と闘う。2005年3月から2012年9月にかけて20の極右団体を禁止した。
2008年5月7日、連邦内務大臣は、Collegium Humanum及びその付属団体のBauernhilfe、及びVerein zur
Rehabilitierung der wegen Betreibens des Holocaust Verfolgten-VRBHVを禁止した。2009年3月31日、Heimattreue Deutsche Jugendなどを禁止した。
2011年9月21日、連邦内務大臣は、Hilfsorganisation fuer
nationale politische Gefangene und deren Angehoerige –HNGを禁止した。拘禁された極右活動家の再社会化に反対する目的を有する団体で、自由な民主主義的基本秩序への憎悪と攻撃をしていた。
2002年7月31日、連邦内務大臣は、HAMASに財政支援をしたAl-Aqsaを禁止した。2005年8月30日、その継承団体であるYatim-Kinderhilfeを禁止した。2006年2月22日、同じ理由から、Anadoluda Vakitを禁止した。
州レベルでも、人種主義的思想を持った団体絵禁止している。Kamaradschaften、 Nationaler Widerstand Dortmundなど。