『世界哲学史Ⅰ(古代1)知恵から愛知へ』(ちくま新書)
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1月から出版が始まった全8冊のシリーズ、筑摩書房80周年記念出版だ。執筆者は総勢101名だという。目次を眺めるだけで、凄い。
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第1冊(古代1)をのんびり読んだ。
序 世界哲学史に向けて 納富信留
1 哲学の誕生をめぐって 納富信留
2 古代西アジアにおける世界と魂 柴田大輔
3 旧約聖書とユダヤ教における世界と魂 髙井啓介
4 中国の諸子百家における世界と魂 中島隆博
5 古代インドにおける世界と魂 赤松明彦
6 古代ギリシアの詩から哲学へ 松浦和也
7 ソクラテスとギリシア文化 栗原裕次
8 プラトンとアリストテレス 稲村一隆
9 ヘレニズムの哲学 荻原 理
10 ギリシアとインドの出会いと交流 金澤 修
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西欧中心主義に毒されていると反省してきたつもりでも、反省しきれていなかったことがよくわかる。西欧哲学史の窓から見た哲学史しか頭に入っていなかった。
「世界」とは、地理的な世界に拡張することだけでなく、人々が暮らす生活世界の総体を対象とし、自然環境や生命や宇宙から人類の在り方を反省する哲学を必要とする。各地域、それぞれの時代の哲学の営みを総ざらいして、世界という全体の文脈において比較し、共通性や独自性を確認するチャレンジングな企画だ。
第1冊を読んだだけだが、企画の趣旨を踏まえた見事な論述が続く。本格的な研究書ではなく、新書で世界哲学史をという点も、だれもが手に取り、読むことができる世界哲学史と言うスタンスだろう。
新型コロナ緊急事態宣言の中、読書に集中できない日が続く。時間があるようで、ない。精神的に余裕がないためだろう。このため、本書もなかなか頭に入らなかったが、人類の知的営為に触れることができるのは愉しいものだ。