Sunday, September 20, 2020

縦横無尽に交わす琉球独立論

前川喜平・松島泰勝編著

『談論風発 琉球独立を考える――歴史・教育・法・アイデンティティ』

(明石書店)

https://www.akashi.co.jp/book/b528725.html

<日本政府は、琉球に米軍基地を押しつけ、民意を無視して辺野古新基地建設を強行している。それは植民地政策ではないのか。かつて「居酒屋独立論」と呼ばれたこともある琉球独立論を、改めて歴史・教育・法・アイデンティティの視点からとらえ直す4つの対談・鼎談。>

Ⅰ 琉球独立論にいたる道――沖縄・日本・教育[前川喜平×松島泰勝]

Ⅱ 歴史・法・植民地責任――ニューカレドニアから琉球を見る[佐藤幸男×前川喜平×松島泰勝]

Ⅲ 近代の学問が生んだ差別――アイヌ・琉球の遺骨問題と国際法[上村英明×前川喜平×松島泰勝]

独立琉球共和国の憲法問題――国籍・公用語をめぐって[遠藤正敬×前川喜平×松島泰勝]

松島はこの10年、琉球独立論を主導してきた。次から次と琉球独立論の著作を出版し、「居酒屋独立論」から、学問としての独立論、そして政治・市民レベルの運動としての独立論を定着させてきた。

松島の行くところ、随所で激論が飛び交い、歴史が蠢動し、記憶が撹拌され、新しい光景が見えてくる。

松島ワールドは、遠い歴史の彼方にも、この地球の裏側にも及び、多くの研究者、市民、ジャーナリストを巻き込み、次時の時代を描き出すプロジェクトを立ち上げる。

琉球独立論は、政治、社会、経済、文化――あらゆる分野で展開されなければならない。松島はあらゆる観点で琉球独立論を論じつくしてきたが、本書では教育、学問、国籍、憲法と言った数々の論点を取り出して、立体的に構築していく。

松島が、元・文部科学事務次官の前川喜平、富山大学名誉教授で平和研究の佐藤幸男、恵泉女学園大学教授で先住民族の権利研究の上村英明、早稲田大学台湾研究所研究員で戸籍と国籍の専門家の遠藤正敬と、縦横無尽に交わす琉球独立論は、琉球のみならず、日本の独立の必要性、不可避性をも明るみに出す。

琉球独立論が装備する論理は、決して単純ではない。特にナショナリズムへの回収の危険性を予め想定して、国民国家の罠にはまることなく、いかにして抵抗の論理を編み出し、未来をデザインしていくのか。松島の闘いは続く。