「女性ジャーナリスト・政治家に対する暴力に対処する障壁」では、まず被害女性が暴力被害を届け出ないことが指摘される。2018年の列国議会連盟の調査では、セクシュアルハラスメントを届けたのは女性議員は24%、女性スタッフは6%にすぎない。身体暴力の脅迫では、50%が警察に届け出た。
被害届け出をしないのは、ジェンダーに基づく暴力に結びついたスティグマ、被害を受けやすいとか弱いと思われる心配もある。届け出をすることが利益よりもコストが大きいと考える。制度的支援がないことが障壁となる。その結果、不処罰となる。所属政党内での暴力も外に出しにくい。職場が被害者を支援するサービスや規範を用意していない。
比較可能なデータがないことも一因である。信頼できる情報や指標がないため、事件が孤立した出来事と受け止められがちである。広範に存在する構造的差別であることが見えにくい。
ジェンダー暴力に対処するために司法へのアクセスをすることが女性には障壁がある。再被害者化の恐れ、適切な法律扶助の欠如。
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「女性に対する暴力への対処を前進させるために」では、女性の政治参加の権利は国際的に認められた人権であることが確認される。1979年の女性差別撤廃条約は政治的公的生活における女性差別撤廃の措置を要求している。2018年、OSCE大臣委員会は、女性の職業活動に関連する重要な決定をし、女性ジャーナリストが直面するリスクに言及し、最大限の安全と、女性ジャーナリストの経験と感心ン位効果的に対処するように決定した。女性に対する暴力を予防し、これと闘うため、女性の政治生活における権利の保障を確認した。
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A 法改正
女性ジャーナリスト・政治家を保護し司法にアクセスできるようにするには立法が鍵となる。女性に対する暴力の法的定義が重要である。国連女性に対する暴力特別報告者は、性差別主義、ハラスメントその他のジェンダー暴力を禁止する法律制定を呼びかけた。
女性に対するフォンライン暴力に対処する法改正も必要である。ヘイト・クライム法において保護される属性にジェンダーを盛り込むことにより、女性嫌悪による行為をヘイト・クライムとして扱うことである。選挙法も女性に対する暴力が民主主義に影響を及ぼすので法改正が必要である。
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B 議会の努力
議会は女性に対する暴力に対処する活動を取る必要がある。
①
議会の行動効力にジェンダーへの配慮を盛り込むこと。
②
議員に対する脅迫や暴力を調査するチームを設置すること。
③
女性に対する暴力を申立てする独立事務所を議会内に設置すること。
④
ハラスメント申し立て手続きを整備する。
⑤
セクシュアルハラスメントに関する政党横断的な作業部会を設置する。
⑥
ジェンダーとセクアシュあるハラスメントの研修実施。
⑦
暴力被害の調査。
議会は次のような行動もとることができる。
①
メディア・デジタル・リテラシー促進により、女性に対する暴力門d内の啓発。
②
調査と議論のための財政支援。
③
法改正過程において、メディア、公衆、市民社会と協議し、国際機関と協力。
④
男性と連帯して、議会が女性に対する暴力を非難する。
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C 連帯する男性
この危機に対処するには男性の協力が必要である。意思決定の多数者であり、この問題は「女性問題」ではない。被害女性に支援を提供できるのは男性である。すべての男性ジャーナリストらは自問しなければならない。
①
私の言動はハラスメントに当たらないか?
②
私の言動は女性に対する暴力を助長していないか?
③
私は暴力を目撃しているのに、被害者に支援していないのではないか?
2016年の列国議会連盟調査によると、女性被害者の多数が自党又は反対党の男性から被害を受けた。アメリカのアレクサンドリア・オカシオ・コルテス議員は男性議員たちから公然と攻撃されてきた。
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D 情報収集
OSCE領域における女性に対する暴力の統計データを収集する必要がある。共通の定義や指標で、同じ方法で情報収集するべきである。情報は啓発にも重要であるし、問題の広汎性を理解できるようになる。
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E 支援サービス
女性ジャーナリストらには暴力のタイするガイダンス、助言、支援が必要である。職場は被害者中心で、トラウマを配慮した支援を提供するべきである。職場には暴力に対処するための女性のネットワークを作るべきである。政府はジェンダー暴力と闘う女性団体に継続的な資金を提供するべきである。