Saturday, December 21, 2013
ツレウヨを観た!
京都の若手演劇集団「笑の内閣」の東京公演「ツレがウヨになりまして」(こまばアゴラ劇場)を観た。作・演出・キャストの高間響は30歳だという。アフタートークの時に北海道岩見沢出身だと言っていた。札幌出身の私としては、単に北海道というだけで「評価が甘くなる」(苦笑)。ツレウヨは、女子大学生と同棲しているカレが在日特権を非難するウヨクになり、「日本を守る」と叫んで、韓流で儲ける商店に「抗議」に押しかけては警察沙汰になり、恋人関係が破たんしていくが、ついには店舗に押し入り、切腹騒動を引き起こすというギャグ演劇だ。次々とギャグ、叫び、人間模様が盛り込まれ、ストーリーが煮詰まっていき、後半は若さでどっと突撃のドタバタ劇となる。ネット右翼、ザイトク、ヘイトスピーチという最近の社会現象を鮮やかに切り取って描いた演劇で、なかなかよくできている。京都の劇団だが、東京公演、連日好評ということで、今夜も満席だった。劇団名に打ち出しているくらい、笑いを取ることに力を注いでいるので、決して思想劇ではないが、単に軽いノリのお笑い劇というだけでもない。切腹騒動では三島由紀夫事件までパロっているし、高間響が天皇になり替わるシーンも始終笑いのただ中である。井上ひさしの東京裁判3部作における天皇への変身のような劇的必然性はないが、高間陛下もなかなかのものだ。社会派コント集団ザ・ニュースペーパーTNPの「演劇バージョン」というと、本人たちはどう受け止めるだろうか。嫌がるだろうか、それとも、TNPほどではと謙遜するだろうか。芝居としては真っ向ストレートのお笑い勝負なので、他面では、もう少しひねりが欲しい印象もある。また、歌を随所に挟んで巧みに進行しているが、歌唱力はやや物足りない。歌についても、オリジナル曲に挑戦してほしい。今回は18次という笑の内閣を観たのは初めてなので、これまでの作品を知らないまま注文を付けても的外れかもしれないが、ノリとスピードとお笑いに磨きをかけるために、作品における言葉遊びももっと積極的になるとよいのではないだろうか。社会的テーマを取り上げていくのなら坂手洋二にまなびつつ、独自の演劇世界を構築すれば大化けするかも。今後の高間響と笑の内閣に注目! なお、14年2月には札幌公演だ。