Wednesday, December 26, 2018

対米自立はいかにして可能か


木村三浩『対米自立』(花伝社)



第1章 横田から見えてくる日本の現実

第2章 “属国”日本と“宗主国”アメリカ 

第3章 日米地位協定という不平等条約 

第4章 裁かれていないアメリカの戦争犯罪 

第5章 対米従属の行く末 

第6章 対米自立・「生涯一ナショナリスト」の決意 

対談 孫崎享×木村三浩 対米従属を脱し、自主独立を果たすために


木村三浩(きむら・みつひろ)

1956年東京生まれ。慶應義塾大学法学部卒業。統一戦線義勇軍議長、一水会書記長を経て、2000年より一水会代表。月刊『レコンキスタ』発行人。一般社団法人世界愛国者交流協会代表理事。


木村とは2冊の本を一緒に作った。

木村三浩・前田朗『領土とナショナリズム』(三一書房)


木村三浩・前田朗『東アジアに平和の海を』(彩流社)


民族派右翼と非国民派の対話と称して、北方領土、竹島/独島、尖閣諸島などについて議論を戦わせたが、左翼界隈ではあまり評判が良くなかった。なぜ右翼と一緒にやるのか、というわけだ。たぶん、木村も「なぜあんな非国民を相手にするのか」と言われたことだろう。


本書で木村は「対米自立」を主題に据えた。日米安保条約の下、アメリカの「属国「植民地状況」と言われる日本だが、自称右翼の多くが「属国」状態に満悦し、ナショナリズムを見失っている。日本には、アジアを貶め差別しながら、アメリカにこびへつらうことしか考えない異常な右翼ばかりだ。右翼といい、国士といい、保守というが、実はCIAから金をもらって蠢いた連中だ。

これに対して、木村は対米自立を掲げ、アジアとの対話も重視する。出入国管理の実情を見ても、自衛隊の米軍への下属を見ても、アメリカからの武器輸入の経過を見ても、いたるところでアメリカの言いなりで、およそまともな独立国とはいえない実情がある。しかも、政府も政治家も国民もメディアも属国であることに不満を持たず、むしろ当たり前に思っている。この現状をどう変えていくのか、木村はさまざまに考え、行動してきた。それゆえ、小泉政権や安倍政権の対米追随には批判的だ。その思考過程が詳しく書かれている。

ナショナリズムや天皇崇拝など、木村と私とでは立場が異なる面も大きいが、対米自立の必要性や、イラク戦争への視線、あるいはウクライナ問題など、木村の行動と思索には学ばされることが多い。東アジア共同体論との関係でも、木村の発想には類似性もみられる。本書は木村の「本気度宣言」だ。