『月刊Human Rights』370号(2019年)
特集 インターネットと部落差別
「ある会社員と反ヘイトスピーチの闘い――ヘイトまとめサイト「保守速報」の出来事を中心に」金正則
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2018年6月、企業が差別的なサイトから広告を撤退する動きが強まっている。その発端にかかわった著者による報告。
国内最大のヘイトまとめサイト「保守速報」に、飲料、ビール、銀行、車など著名な企業の広告が掲載されていたことに驚いた著者は、まずエプソンのホームページの問合せコーナーにCSR(企業の社会的責任)の窓口があったので、問合せメールを送った。すると同社の担当部署から「広告掲出は、停止の措置をとりました」との返事が来た。そこでツイッターで「すごいぞ」とほめた。このことに多くの反応が出た。エプソンへの称賛ツイートである。
これに続いて、ネトウヨサイトから企業広告を除去していく「#ネトウヨサイト裸祭り」が始まった。実際にどのような規模、効果であったかは不明だが、相当数の人々が動いて、ヘイトサイトの広告をはがしていった。
著者はこれからの課題を整理する。
日本最大のツイッターのヘイト放置のひどさ。
公的機関、公的企業のヘイトメディア認識の希薄さ
広告業界の責任、例えば公益社団法人、日本アドバタイザーズ協会、日本広告業界
国の対処の不十分さ
脱法ヘイト(ソフト・ヘイト)の増加
被害個人の救済