Saturday, January 05, 2019

ヘイト・クライム禁止法(147)アルジェリア


 アルジェリア政府が人種差別撤廃委員会に提出した報告書(CERD/C/DZA/20-21. 23 August 2016)によると、二〇一四年二月四日改正の刑法第二九五条bis一項(三)は、人種又は民族性に基づいて人又は人の集団に対する憎悪又は差別の公然煽動、及びこの目的のための活動を組織、助長、激励又は宣伝を行うための企行を犯罪としている。刑罰は六月以上三年以下の刑事施設収容及び五万以上一五万以下のアルジェリア・ディナールの罰金である。

刑法第二九五条一項の定義する差別行為を行った場合は一五万以上七五万以下のアルジェリア・ディナールの罰金である。個人又は団体の名誉又は評価を毀損する行為は言説、叫び、脅迫、文書、サイン又は告知による場合、刑法第二九六条により犯罪とされる。

刑法第二九八条は、個人に対する中傷を二月以上六月以下の刑事施設収容及び/又は二万五千以上五万以下の罰金とする。被害者による赦しがあれば刑事手続きは終了する。民族、信仰又は宗教を基にする一人又は複数人への中傷が、市民の間に憎悪を助長する意図を持っていれば、一月以上一年以下及び/又は五千以上五万以下の罰金である。

刑法第二九八条bisによると、民族、信仰又は宗教に基づいた一人又は複数人への侮辱は五日以上六月以下の刑事施設収容及び/又は五千以上五万以下の罰金とする。

刑法一六〇条は、墓地の恣意的汚損、破壊、冒涜を犯罪とし、刑法第一五〇条は墓の損壊を犯罪とする。

その他かに人種差別煽動行為の規制として、組織の権利の行使(一九九〇年六月二日の法律)、政党(二〇一二年一月一二日の法律)、公開集会・デモ(一九八九年一二月三一日の法律)がある。

人種差別撤廃委員会はアルジェリア政府に次のように勧告した(CERD/C/DZA/CO/20-21. 21 December 2017)。

委員会の一般的勧告第三五号に照らして、アマジー人や被害を受けやすい集団に対する公衆によるヘイト・スピーチを非難し、これと距離を置くこと。ソーシャル・ネットワーク等メディア及びスポーツ施設におけるヘイト・スピーチと闘うこと。特定の人種又は皮膚の色や民族の異なる特定の集団に対する、あらゆる種類の人種的動機による言説、暴力行為、並びにそれらの行為の煽動を捜査し、実行者を訴追・処罰するために実効的な措置を講じること。人種主義やヘイト・スピーチと闘う公衆の意識啓発キャンペーンを行い、移住者の権利を促進すること。