Saturday, July 02, 2022

ナチス賛美との闘い――テンダイ・アチウメ報告書03

アチウメ報告者は、市民社会から提供された情報も紹介する。

クリミア再統合協会によると、2014年以来、クリミアでは、民族的クリミア・タタール人などへの人種差別など組織的な人権侵害が起きている。2022224日以来ロシア軍の「特別軍事作戦」により、ウクライナ領への侵略が起きている。軍事侵略を正当化するために、「ウクライナのネオナチ化」という理由が持ち出されている。ウクライナ人に対するヘイト・スピーチが用いられているという。

協会によると、侵略の結果、軍隊も民間人も被害を受けている。民間人の死亡、誘拐、違法拘禁、食糧封鎖。大量の避難民が発生している。栗見・タタール人がタイ領に強制移送されている。

NGOモニターによると、過去10年、ユダヤ人に対する暴力が増加している。2017年6月、スイス連邦議会は、人種主義や煽動に関与したNGOが行うプロジェクトの補助を行わないと決定した。2018年、オランダ外務省の活動計画は、市民社会と協力し、ヘイト・スピーチ、人種主義、反ユダヤ主義を促進する団体に補助金を出さないようにガイドラインを定めた。

南部法律貧困センターによると、2021年、アメリカにおける過激主義事件は733件あり、ヘイト集団や白人ナショナリスト団体が増加している。反動的極右運動と人種主義正義運動につながりが見られる。反黒人主義が白人優越主義を強化している。

2017年のヴァージニアのシャーロットヴィル事件のように裁判事例が注目を集めている。

その他のNGO等からも、欧州におけるネオナチ極右団体の傾向など、情報提供がなされている。ブルガリアのブルガリア国民連盟はデモ行進でカギ十字を用い、準軍事組織を有している。クロアチアにもネオナチが登場し、オーストリアのブライブルクではファシストの欧州最大規模の集会が行われた。202111月、ブライブルクでのネオナチ集会を禁止するように専門家が提言したという。クロアチアのホームランド運動は民族的又は性的マイノリティ、移住者、女性を標的にしている。セルビアでも局運動の潮流がある。反ユダヤ主義のブログをもっていたスルビナ集団は、ネオナチの音楽イベント、ベルグラードでネオナチのフーリガングループを形成し、カリフォルニアで人種主義攻撃を行って逮捕された人物をセルビアに招聘した。

フランスでは、反ユダヤ主義のサイトで知られるインフルエンサーがソーシャルメディアで若者に影響を与えている。極右フェミニスト集団が反移民感情を醸成している。2022年大統領選挙では極右政党の「レコンキスタ」が登場し、ユダヤ人が新型コロナの感染に責任があると主張している。

ハンガリーでは、ジョビク党の弱体化に伴い、極右運動の中核がなくなっていたが、「わが祖国党」が反ユダヤ主義宣伝を行い、極右における地位を高めつつある。

ドイツでは、極右の「第三の道」の活動が目立つ。「欧州行動」「帝国」も過激で反憲法的な運動を行っている。

ポーランドでは、「ロダシー・カムラッチ」「ポーランド国民再生」「ポーランド全国青年」「国民ラディカルキャンプ」の活動が報告されている。