7 ルクセンブルク
教育子ども青年省は教育によって寛容、意識啓発、非差別を促進している。学校教育における反ユダヤ主義と寛容の問題。ホロコースト記憶の日の学校行事。ユダヤ文化を子どもが理解できるように市民社会との協力。オンラインの安全に関する子どもの教育。第二次大戦におけるナチスのプロパガンダの役割展への子どもたちの無料化。ルクセンブルクはOSCE、国際ホロコースト記憶連盟、欧州理事会に加わっている。
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8 モーリシャス
憲法は差別からの保護と宗教の自由を定める。刑法は、宗教的性質の人、行事、財産に対する行為を犯罪化し、憎悪の煽動への関与を犯罪としている。2018年、情報コミュニケーション技術法改正がなされ、ソーシャル・メディアの悪意ある利用に対処している。情報こみぃにケーション技術を通じてなされたヘイト・スピーチ、非人格化、その他のハラスメントによる人種差別の被害から諸個人を保護する。平等機会法、真実正義委員会法、司法の諸規定、人権法の諸規定がある。
2001年に独立放送担当庁が設置され、モーリシャスの文化の多元性を促進している。オンブズマンが差別事件を調査する。
2020年、大陸間奴隷制博物館を開館し、「沈黙を破る」という展示を行った。
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9 メキシコ
メキシコは「平等と非差別国家プログラム②021-2024」を制定し、差別防止国家委員会が担当する。ヘイト・スピーチとの闘いは差別防止撤廃連邦法により、差別防止国家委員会に差別申立てを担当させる。差別被害者の救済、損害賠償、公的な懲戒、公的謝罪、再発防止保障が含まれる。
人種主義との闘いのため、客観的指標に基づいて表現の自由を制約する。事前検閲なしにヘイト・スピーチを防止し、制裁する。その表現がなされたらヘイト・スピーチが可罰的となるのか、あるいは被害が生じた場合のみ可罰的なのかを決定する。
情報収集、人権状況の年次評価を行っている。犯罪、被害者、被告人、捜査記録に基づいて評価する。
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10 ノルウェー
差別、不寛容、人種主義、排外主義の暴力に対処するため、刑法でヘイト・スピーチと差別を犯罪化し、ヘイト・クライムに反対する国家センターを設置している。ヘイト・クライム対策の国家戦略を開始し、2020年の評価によると、ヘイト・スピーチに対処するためにより明確な定義が必要であると指摘された。
オンライン・ハラスメントに対処するために。表現の自由委員会を設置し、表現の自由の枠組みで社会的技術的法的枠組みを検証している。
警察庁によると、2020年、ヘイト・クライムは744件報告された。もっとも多いのは民族性によるもので、67%が差別と偏見に動機を有していた。イスラム教や性的アイデンティティも動機として重要である。
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11 ロシア
大統領命令に従って、2025年までの国内民族政策戦略を設定し、不寛容の煽動を抑止している。政府は、市民が教育機関において自己の言語を使用し、言語の多様性を維持するよう保証する努力をしている。教育言語は35、教科書は21言語が採用されている。スポーツ・イベントにおける人種の障壁が問題となっているので、2022年ワールドカップの文脈でスポーツ・イベントにおける対策をしている。
刑法は、ネオナチ、過激主義、過激主義文書の配布、煽動及びヘイト・クライムの訴追規定を定める。過激主義を認定し、その活動を禁止している。2021年、検察庁は民族的人種的憎悪に動機を有する280件を捜査した。全体で2,300人が過激主義文書の配布等により裁判にかけられた。その多数がインターネットにナチスのシンボルを投稿した事案である。
ネオナチによるインターネット利用は、マスメディア法(法律2124-4号)で規制する。コミュニケーション・情報技術・マスメディア監視機関が管轄する。ナチス賛美や、祖国防衛戦争(第二次大戦)で亡くなったソ連軍兵士の記憶に対する侵害に対処する。刑法はナチスの復権を犯罪化している。ウェビナーにおけるホロコースト否定の事件も含まれる。諸外国と協力して、ホロコースト否定の捜査を行い、ロシア軍事歴史協会も調査を行っている。
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12 サウジアラビア
統治基本法第8条は、人種、皮膚の色、世系又は国民的民族的出身に基づく差別、排除、制限又は優先により、人権と基本的自由の享受や行使を妨げることを禁止する。印刷物出版法は他人の権利を侵害しない限り、表現の自由を定める。オーディオヴィジュアル・メディア法は暴力の煽動を禁止する。労働法は、差別なしに労働する権利を定める。
国内人権委員会の仕事を通じて人種主義と人種差別に対処し、差別の申立てを受理し、人権基準の履行を監視している。過激主義とテロリズムと闘うイデオロギー戦争センター、国民的対話のための王立センター、国立人権協会を設置している。