Thursday, June 22, 2023

社会的記憶と法03

ハーシュ&バーギル論文を簡潔に紹介する。

4 コロンビアで司法により命じられた記憶の碑

19952018年に米州人権裁判所はコトンビアについて32件の判決を言い渡し、19件の人権侵害事例に対応した。記憶の救済の様々な事例である。決定の11件は、記念碑や通りに命名するなど、長期の記憶に関連する措置。12件は、短期的な記憶の救済で、判決を12か月間ウエブサイトに掲載するよう命じた。長期の11件のうち9件は人権侵害事案である。ハーシュ&バーギルはそのうち3件を取り上げる。

ロシェラ虐殺事件Rochela

1989119日、司法調査委員会15人が証人宣誓供述のためバランカベルメハからラ・ロシェラを訪れた。そこに準軍隊のロス・マセトスの40名の武装メンバーがやってきた。彼らは革命勢力FARCゲリラを装って、司法調査委員会メンバーを捉え、車で連れ去った。ラ・ラグーナにつくや、その車を銃撃し、司法調査委員会が調査した事件ファイルを奪った。米州人権裁判所はコロンビアにこの重大人権侵害について、特に、自警団(後に準軍隊)の設立を許す法的枠組みを設定したことについて責任があるとした。というのも、軍の規定が軍隊メンバーに自警団を組織することを認めていた。国家のエージェントがロス・マセトスが虐殺行為をするのに協力した。

米州人権裁判所は、コロンビアに、事件を捜査し、実行犯を処罰すること、被害者遺族に救済を提供することを命じた。記念碑について、米州人権裁判所は、ボゴタのパロケーマオ裁判所に記念碑を設置するという両当事者の和解条項を承認した。

ボゴタの記念碑

記念碑は高さ100センチ、長さ158センチであり、被害者が勤務していた裁判所の入り口横に設置された。裁判官、検察官、弁護士、裁判所職員、法学生、犯罪被害者らが通る場所である。

碑文には、1989118日の事件についてコロンビア政府が深く遺憾の意を表明し、司法委員会メンバー殺害事件を説明し、殺害された12人、生存した3人の氏名を記載している。コロンビア政府は事件についての責任を認め、米州人権裁判所の判決にも触れている。

2019年に30周年の記念式典が催され、被害者遺族らが参加し、リボンを添えた。

サン・ギルの記念碑

被害者数人が勤務していたサン・ギル裁判所に、高さ161センチ、長さ102センチの記念碑が設置された。裁判所の中庭にあるため、司法関係者以外が足を踏み入れることのない場所である。

碑文には、コロンビア政府は事件を深く遺憾とし、殺害された12人、生存した3名の名前が記されている。コロンビア政府は事件に責任があるとし、米州人権裁判所の判決に触れている。