Saturday, July 02, 2016

ヘイト・クライム禁止法(117)スーダン

スーダン政府が人種差別撤廃委員会に提出した報告書(CERD/C/SDN/12-16. 2 October 2013)によると、憲法規定に効力を与える行政措置には、人種差別の煽動を撤廃する措置が含まれる。憲法一条はスーダンを民主的、脱中心的、多文化、多言語、多人種、多民族、多宗教国家とし、人間の尊厳、正義、平等を掲げている。一九九一年の刑法六四条のもとで、共同体の間で、又は共同体に対する憎悪煽動は法律で処罰される犯罪である。人種、皮膚の色又は言語の差異ゆえに共同体に対して、又は共同体の間で憎悪、軽蔑、敵意を煽動しようとする者が含まれる。刑法六五条は、犯罪組織やテロリスト組織を処罰する規定である。スーダン内外で犯罪を行うことを目的とする組織を設立、運営、意図的に参加又は支援する者の処罰である。
人種差別撤廃委員会はスーダンに次のような勧告をした(CERD/C/SDN/CO/12-16. 12 June 2015)。憲法には平等と非差別の規定があるが、反差別法が制定されていない。条約一条に従って、法律に人種差別の包括的定義を採用するよう勧告する。人種主義の動機を刑事立法で加重事由にすること。条約四条に従って、人種的民族的優越性に基づく考えの流布、人種憎悪の表明、人種差別の沿道を禁止する法律に実効性を持たせるよう勧告する。

報告書及び勧告の各所に、ダルフール・ジェノサイドの起きた国・地域の復興過程であることへの配慮が見られる。