Sunday, July 31, 2016

東アジアの平和の再創造のために

日本平和学会編『東アジアの平和の再創造』(早稲田大学出版部)
タイトル通り、東アジアにおける新たな平和秩序の再構築を目指す意欲作である。
「東アジア共同体への展望・序説」はジャーナリスト前田哲男による総論的な見取り図。
佐藤幸男「共生平和の東アジア世界論――西川長夫の伝言」は、西川国民国家論の継承。
若林千代「変容するアジアと沖縄――経済グローバル化と戦争の記憶」は、サブタイトルにあるように戦争の記憶を基軸としつつも、経済グローバル化が東アジアにおける沖縄の位置を再評価する。
金敬黙「『旅する平和博物館』による現場型平和教育」は、ピースボート「地球大学特別プログラム」の事例分析を通じて平和教育の在り方を考える。

政治の世界では、鳩山政権崩壊とともに東アジア共同体論が下火となったが、日本の平和にとっても琉球/沖縄にとっても東アジアの平和が枢要である。平和学において東アジア共同体論をさらに発展させたいものだ。