五輪開会式の音楽担当の小山田圭吾の障害者差別問題で、組織委員会は世間の期待通りに右往左往、迷走してみせた。
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1時間後
セイコ――小山田さんのいじめ発言って、何言ってるの、いじめはいつだってあったじゃない。どうってことないわよ。
ユリコ――何も問題ないわ。子どもの遊びでちょっといじめただけでしょ。
タマヨ――ニードロップですって、なんだか楽しそうね。
12時間後
セイコ――20年以上も昔のこと、なんで今さら取り上げるのよ。ネットはこれだから困るのよ。
ユリコ――雑誌発言ですからね、おもしろおかしく書いただけじゃないの。
タマヨ――いじめられる側には絶対問題なかったなんて断定できるかしら。
24時間後
セイコ――そりゃあ、まずかもしれないけど、冗談交じりの差別でしょ、小さなことよ。マスコミが騒いでるだけよ。開会式が迫ってるんだから、今さら変更なんてできないわ。
ユリコ――本人は反省して、謝罪してるっていうから問題ないわ。
タマヨ――いつまでも許さないなんて、心の狭い人たちね。
36時間後
セイコ――何か、やばいみたいね、どうしたらいいの、事務局、なんとかしなさいよ。えっ、私が何を言ったかですって、秘密よ、秘密。漏らしたりしたら、ただじゃおきませねんからね。モリ先生に言いつけるわよ。
ユリコ――ネット炎上だけでは収まらないみたいね。謝罪文を公表したらどう。
タマヨ――被害者に謝罪したいって言ってるし、誠実な様子だから大丈夫よ。
48時間後
セイコ――辞退? どういうこと? 本人が辞退したのね。ちょっと、待って、コメント考えなくちゃ。
ユリコ――なんでこうなるのよ、二転三転してみっともない。私のせいじゃありませんからね。
タマヨ――最初からきちんと対応しておけばよかったのよ。五輪の精神に相応しいかどうか、ちゃんと判断してよね。
60時間後
セイコ――小山田さんから辞任の届けがございました、組織委員会としても、今回のことは大変残念に思っております。
ユリコ――はい、最初から私が申しておりました通り、東京オリンピック・パラリンピックの理念に相応しい、みなさまに楽しんでいただける素晴らしい五輪にいたします。
タマヨ――今回のことは非常に残念です。最初から申しておりますように、差別は絶対に許されません。
72時間後
セイコ――多様性を重んじる組織委員会として、今回のことは大変残念です。すべては私の責任です(もちろん言葉だけで、実際の責任は取りませんからマスコミの皆さん、いつものように、よろしく)。
ユリコ――組織委員会において適切に判断したものと承知しております(いつまでもしつこいわね。もう済んだことでしょ)。
タマヨ――私には全く理解できない事態でした。多様性を大切に、適切に開催してまいります(被害、被害って、ひがみ根性の人間が多くて困るのよね)。
84時間後
セイコ――えっ、パラリンピックの文化プログラムの絵本作家・のぶみさんも辞退ですって、もういい加減にしてほしいわ。選んだのは組織委員会だろうって、だから何だっていうのよ。あ、いけない、本音を言っちゃ。
ユリコ――私は知りませんよ。組織委員会の問題でしょ。
タマヨ――ノーコメントです(なによ、差別したことのない奴なんているわけ? あんたたちだって、真っ白じゃないでしょ)。