国際刑事裁判所の検事局『ジェンダー迫害の罪に関する政策』を簡潔に紹介する。
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Ⅳ 一般政策
国際刑事裁判所検事局は、ジェンダー迫害に特に注意を払っている。国際刑事裁判所規程7条に規定されているように、ジェンダー迫害は人道に対する罪であり、ジェノサイド、戦争犯罪、侵略の罪と結びついて行われる。ジェンダー迫害の罪には、常にというわけではないものの、性暴力、身体暴力の形態が含まれる。精神的虐待も含まれる。身体的傷害だけでなく、文化破壊や学校や病院への攻撃も含まれる。
ジェンダー迫害は、国際法に違反して、基本権を侵害し、差別から自由な基本権を剥奪する。例えば、生命の権利、拷問から自由な権利、奴隷制から自由な権利。刑法の遡及適用から自由な権利。集会・意見・表現の自由、移動の自由、宗教の自由、宗教からの自由。平等、尊厳、身体統合、家族、プライバシー、安全の権利。教育の権利。雇用、財産、政治参加、司法へのアクセス、保健へのアクセス。これらの一つの剥奪、または複数の剥奪は人権侵害である。基本権の剥奪は、暴力や破壊、規制の押し付けによって生じる。リプロダクティブな選択、結婚、就学、就職、衣服が含まれる。
ジェンダー迫害は、基本権を侵害する差別的規制を課す社会構成や基準を強要して行われる。例えばイスラム国(IS)によるジェンダー差別的な規制である。
検事局は、国際法違反の人権侵害が文化的に決定されていることを認識している。基本権侵害は、文化に基づいて行われ、無視され、正当化されるものではない。
文化遺産に関しても、標的とされた集団構成員の特定の価値ゆえに、標的とされることがある。女性にとって重要な集合場所であるムスリムの破壊、LGBTQI+の人々に重要なセンターの焼損はジェンダー迫害、文化迫害である。文化遺産についてはすでに検事局の「文化遺産に関する政策」文書がある。
検事局はジェンダーと子どもに関連して職員のスキルを強化するための具体的措置を講じており、被害者の経験やジェンダー差別に対処する努力をしている。ジェンダー、年齢、その他の個人のアイデンティティについて差別の交差性(人種、民族、先住民、言語、宗教、政治的意見、国籍、文化、富、出生…)にも着目している。
検事局は各国その他に、ジェンダー迫害の罪の抑止や処罰のための補足的努力を促している。