Thursday, March 22, 2012

水島朝穂 『東日本大震災と憲法』

水島朝穂『東日本大震災と憲法』(早稲田大学出版部、2012年)
http://www.waseda-up.co.jp/economics/post-617.html


「早稲田大学ブックレット」の1冊。そういうブックレットがあることをはじめて知りましたが、今後、震災関連で続々と出版予定のようです。


さて、本書は、すでに日本を代表する憲法学者の一人である著者が、ホームページ「直言」で書いてきた文章などを1冊にまとめたものです。
http://www.koubunken.co.jp/mizusima/main.html


以前、このコーナーをもとに『同時代への直言』という本も出版されています。憲法学者と言う枠にはとうてい収まらない該博な知識と、旺盛な感心、理論と実践に、読者は圧倒されることでしょう。


本書は、「震災後間もなく、原発20キロ圏の南相馬市から大槌町吉里吉里地区まで800 キロにわたる現地取材を敢行。憲法に基づく「人権」「平和」「自治」による復興への課題と展望をつづる。」とあるように、現場の思想を展開しています。

ブックレットでちょうど100頁。文章も読みやすく、わかりやすく、写真もたくさんあります。


目次

序――その日

第Ⅰ部 現場を行く 想定外という言葉――東日本大震災から1カ月/災害派遣の本務化へ/郡山から南相馬へ/「トモダチ」という作戦 /「避難所」になった女川原発 /石巻と大船渡――被災地における新聞の役割/南三陸、気仙沼、釜石など――被災地の自衛隊/陸前高田の人々/大槌町吉里吉里

第Ⅱ部 東日本大震災からの復興に向けて――憲法の視点から
 1 震災後初の憲法記念日に
 2 大震災からの復興と憲法
 3 大震災における多様なアクターの活動
 4 災害と犠牲――補償をどうするか
 5 国会と政府はどうだったか――「政治手動」の結果
 6 足尾銅山問題とフクシマ――田中正造の視点
 7 新しい連帯の芽生え――ウルリッヒ・ベックの主張から