大月書店、2012年
サブタイトルは「フクシマと「人間の復興」」
『再生可能エネルギーの政治経済学』『原発のコスト』の大島さんと、『環境被害の責任と費用負担』の除本さんの共著です。といっても、除本さんの本は読んでいませんが。オビには「東電の責任逃れを許してはならない 被害の「全面補償」とエネルギー政策の転換へ 子どもたちの今、そして未来のために」と書かれています。コンパクトですぐ読める本ですが、事故による深刻な被害をどのようにとらえて理解し、責任を明らかにし、全面補償を実現するべきか、視点が明快で、いい本です。原発事故が地域をいかに引き裂いたのか、被害構造をしっかり理解する必要があります。被害構造への想像力を欠いたインチキ科学論議がいかに堕落したものであるかがよくわかります。
法律論は、日弁連の『原発事故と私たちの権利』(明石書店、2012年)がありますが、この2冊を合わせて読むことで、補償論の骨格はできるでしょう。