Tuesday, November 18, 2014

フェルディナント・ホドラー展

ホドラーは何でも描いた大作家という印象がある。アルプスをはじめとするスイス各地の自然も繰り返し何度も描いた。景観画、肖像画、歴史画、自画像も多数描いた。画風も様々に変化した。油彩カンバス作品のみならず、壁画も残している。光を描き、闇を描き、自然も苦悩も喜びも祈りも描いた。ホドラーは文字通りスイスの国民的画家である。
国立西洋美術館で開催中のホドラー展。今年の授業で「スイスの美術館」をやっているが、パウル・クレーはスイス生まれスイス育ちだがドイツ国籍。表現主義のキルヒナーもドイツ。アンジェリカ・カウフマンもクール生まれだがオーストリア国籍。アルプスの画家セガンティーニはイタリア出身。スイス出身のバロットンはフランス国籍取得。スイスと言えば、画家ジャコメティ、彫刻家ジャコメティ、美術・デザインのマックス・ビルなど多数いるが、ホドラーの存在感が一番だ。ジャコメティの「歩く人」がスイス紙幣に使われているが、かつてはホドラーが紙幣に使われていたと言う。ホドラー作品はスイスの主要美術館どこでも見ることが出来る。ジュネーヴ、ベルン、バーゼル、ヴィンタトール、どこにもホドラーがいくつもあるが、まとめてみたのは初めてだ。
とても印象に残ったのは、「インターラーケンの朝」の光と影の対比、「オイリュトミー」の静かな静かなリズム、連作「昼」の構図と生命観、幾様にも描き分けたレマン湖の顔、ユングフラウの偉容。ホドラーの前にホドラーなし、ホドラーの後にホドラーなし。カタログをもう一度ゆっくり見直す必要がある。