1月9日、参議院会館で植村隆・元朝日新聞記者に対する名誉毀損について東京地裁に提訴した報告集会が開かれた。各メディアが報じている。
用意された会場があふれるほどの参加者のため大きな講堂に会場変更の上で集会が始まった。東京地裁への提訴だが、弁護団には北海道から沖縄まで180名ほどの弁護士が結集したという。昨年8月の朝日新聞記事訂正問題に直接つながるが、植村さんの20年以上前の「慰安婦」記事に対して、文芸春秋が「捏造」「捏造記事」と非難し、ネット上で植村攻撃が激しくなり、北星学園大学や家族を巻き込んだ脅迫事件に発展する異常な事態である。歴史修正主義者による「慰安婦」問題潰しのための策動はとめどがない。表現の自由などというレベルではなく、事実を捻じ曲げて嘘をまき散らし、他者を誹謗中傷する。「慰安婦」被害者に対するヘイト・スピーチを繰り返す。こうした状態が長期にわたって続いている。何しろ歴史修正主義者が権力を握っている異常な国だ。訴訟は4月に第1回公判が始まる見込みだ。事実関係をめぐる争いとともに、なすべき調査をなしたか、誤信があったとすればその誤信に相当性があったかという争いになるのだろうが、歴史認識をめぐる裁判が続く。沖縄戦「集団死」大江健三郎・岩波書店訴訟や、「慰安婦」問題の吉見義明教授名誉毀損訴訟などと同様、権力と右翼が歴史を偽造することを許さないための歴史家、ジャーナリスト、弁護士、市民の協働が重要になる。