Sunday, January 10, 2021

ヘイト・クライム禁止法(194)レバノン

レバノンがCERDに提出した報告書(CERD/C/LBN/23-24.29January 2019

前回報告書に記したように、憲法は公共の秩序の枠内での信仰及び宗教の自由(第9条)、口頭及び文書の意見の自由(第13条)、集会結社の自由を保障している。レバノンは世界人権宣言及び関連する国際条約を支持し、コミットしている。刑法に明記された法的枠組みは、テレビ及びラジオ放送法、その他の法律は、人種的優越性に基づく思想の流布を処罰する。本報告書パラグラフ119及び120に、この点での積極的雰囲気を助長するための国家の措置を記している。

(パラグラフ119)憲法は市民の平等(第7条)、信仰及び宗教の自由を含む。前回報告書で明記した通り、人種差別と闘う法的枠組みが用意されている。

(パラグラフ120)人種差別の定義規定はないが、裁判所は人種差別撤廃条約第1条の定義を採用している。

人種主義ヘイト・スピーチについて、まず憲法前文は国際人権規約や世界人権宣言を尊重するとしている。憲法はすべての形態の憎悪と差別を拒否する。この点で法律はすべての人に適用される。法執行官は、市民、避難民、難民に人種、宗教又は国籍に基づく差別、又はその他の形態の人種差別なしに応接する。

レバノンは1948年以来パレスチナ難民を受け入れ、シリア危機以後はシリア避難民を受け入れている。すべての人を人間的に友愛をもって処遇し、住居、食料、支援というニーズに対応する努力をしている。非難民や難民に人種、皮膚の色、国籍又は人種に基づく差別やヘイト・スピーチを容認しない。

司法当局・安全当局は国際条約に沿って、居住者が強制移送されないように配慮して法律を適用する。検察官及び裁判所は、人種憎悪やヘイト・クライムの申し立てや報告を受け取れば、対処する。

司法大臣は、条約第4条に記載されたその他の行為についての法案を準備している。

刑法第317条:「国民の中の異なるコミュニティや諸要素の間に、信仰上又は人種偏見を教唆し又は教唆しようとし、紛争を誘発する行為若しくは文書又は口頭のコミュニケーションは、1年以上3年未満の拘禁とし、付加刑として、10万以上80万以下のレバノンポンドの罰金及び刑法第65条2項及び4項の権利行使の禁止とする。裁判所は判決の公開を命じることができる。」

刑法第317条が犯罪としているのは人種主義の助長である。このことは明文上は十分に明らかでないが、裁判所は人種主義行為や発言を処罰する際に、条文の全体を解釈している。

新型コロナのためレバノン報告書の審査は延期された。