デンマークがCERDに提出した報告書(CERD.C/DNK/22-24. 7 February 2019)
ヘイト・クライムと闘うため、実効的な捜査と訴追を確保する措置を講じている。ヘイト・クライムと闘うことは人種主義を予防し闘うための重要手段である。警察庁には、刑法第266条b及び第81条6項にあるように人種主義や差別を抑止し、捜査する義務がある。
2015年春、ヘイト・クライムの管轄は安全保障隊から警察庁に移管した。警察庁は、ヘイト・クライムを確認し、記録し、捜査するための法執行官教育を警察大学校で行っている。監視計画を実施するため、警察庁は個別事案に即してヘイト・クライムをいかに抑止するかのガイドラインを出した。2018年、警察庁は各警察管区とヘイト・クライム対策につき協議を行った。
2017年、ヘイト・クライムは476件報告された。102人に対して95件の告発がなされた。約半数が被害者の国籍、民族、人種、皮膚の色に基づいた人種主義動機である。
訴追については検察庁がヘイト・クライム事件に関するガイドラインを作成した。刑法第266条b、第81条6項、及び人種差別禁止法に関するガイドラインである。検察官は人種差別禁止法事件に関する年次報告を作成しており、2013~18年には13件が報告された。4件について訴追がなされ、2件は無罪となり、1件は刑罰が宣告され、1件は法的警告がなされた。審理中の事件が1件ある。
人種主義動機を持った犯罪については刑法第81条6項が定める。適用に関する正確な統計情報はないが、検察によると2013~17年に複数の判決において、民族的出身、信仰、性的志向に基づく犯罪について刑罰加重がなされている。
CERDの審議が新型コロナのため遅延し、デンマーク報告書の審査は延期された。なお、『ヘイト・スピーチ法研究序説』603頁及び672頁参照。