ベルギーがCERDに提出した報告書(CERD/C/BEL/20-22. 15 August 2019)
条約第四条に関して、一九二一年の非営利団体・財団法はCERD勧告の内容をすでに有している。裁判所は非営利団体・財団法のもとで、法又は公共の秩序に違反する活動をする非営利団体・財団を解散させる決定をすることができる。非営利団体の設立は司法省の監督下にあり、法又は公共の秩序に違反する目的の非営利団体の設立に許可を与えることを拒否できる。事実上の団体については、状況はもう少し複雑である。ベルギー法には自由を減少させようとする政党を禁止する規定はない。自由を減少させようとする政党を禁止するために憲法を改正しようという提案がなされたが、この提案は採用されていない。しかし、二〇〇五年以来、こうした政党への助成金を削減することができる。
二〇一五年、反ユダヤ主義に関する報告によると、五七件の報告に基づいて二〇件の捜査が始まった。ホロコースト否定発言がソーシャル・ネットワークに見られる。反ユダヤ主義とホロコースト否定発言は一〇九件確認されている。これは一〇年間で三番目の高さである。二〇〇九年の一〇八件、二〇一四年の一三〇件は、イスラエル軍によるガザ地区攻撃の時に高い数値を示した。イスラエルの政策への反応として、反ユダヤ主義と歴史否定発言が結びつく。二〇一六年にはこうした傾向はみられない。
二〇一六年三月二二日のブリュッセルとザヴェンテムの襲撃事件の影響は無視できない。三分の一以上がインターネット上の書き込みである。多くは侮蔑や脅迫の書き込みであり、暴力行為や建造物損壊(特にシナゴーグ)は二〇一五年以来増えていない。増加しているのは、否定主義、ナチス擁護や正当化である。暴力事案は、二〇一四年五月のブリュッセルのユダヤ人博物館への銃撃事件があった。
二〇一七年、反ユダヤ主義とホロコースト否定発言は五七件報告された。これはインターネット上の報告件数であって、減少しているように見えるのは、インターネット利用者が他の手段を利用しているためでもある。
二〇一五年、宗教や思想的理由による事案は三三〇件報告され、九一%がイスラムに関連する。二〇一六年は三九〇件であり、九〇%がイスラム関連である。そのうち約四〇%がメディアにおける憎悪の煽動であり、二三%が雇用部門である。二〇一七年は三一九件であり、八五%がイスラム関連である。