Ⅳ 戦略の13コミットメント履行のための行動要点と特別勧告
4 関連する行為者を招集する
おおよそ次の内容。
行動9:招集し、見直す
・国レベルで国連をヘイト・スピーチに対処・反対する招集者とし、国家行為者や非国家行為者と協働し、エンパワーする役割を果たすようにする。閣僚、国会議員、独立の人権機関、メディア、市民社会組織との協働。
・鍵となる行為者がヘイト・スピーチに対処・反対することを効果的にできるようにし、戦略と国際人権法に従って、その機会をつくりだす。
・ヘイト・スピーチへの関心と適切な対応を見直す。国際人権法に合致してるか。被害者の権利、特に意見・表現の自由を認識する。社会的構造的要因を認識する。その国に固有の文脈で適切な地域の言葉を用いる。
行動10:調停や専門家の助言を採用し、連帯をつくり出す
・国レベルで独立の調停者や専門家の役割を確認し、促進し、ヘイト・スピーチや差別の煽動につながる緊張を高める集団間の不和や紛争を解決する。
・鍵となる行為者の間の連帯とネットワークをつくり出す。
5 新しいメディアと伝統的メディアに関与する
行動11:メディアとのパートナーシップ
・地方レベルでパートナーシップを強化するためグローバルなメディア・コンパクトを採用する。
・国内メディア規制者との連携を強化する。
行動12:メディアの独立性と多元性を促進する
・独立、多元的、包摂的なメディアの重要性を国レベルで公衆に理解できるようにする。
・国内当局が表現の自由のための環境を整える。情報へのアクセス権に関する法整備と履行。インターネットへのアクセスの普遍化。プライヴァシーとオンラインの個人情報の保護。ジャーナリストの情報源の秘匿を保護する法整備。
・政府にメディアの自由を保護するため環境整備するよう促す。ジャーナリストの自由や編集者の独立性を尊重する。メディアへの統制や圧力など直接間接の制約に反対する。選挙期間中にメディアが自由に報道する権利の保護。
・メディアの独立性、多源性、多様性を促進する公的政策と枠組みを政府が履行するよう促す。メディアに統制を行う機関の説明責任と透明性。不利益な地位にある集団がメディアに普遍的にアクセスできるようにする。メディアを設立する権利の点で非差別原則。マイノリティ、先住民族その他の集団がメディアを保有すること。メディア保有の多元性、過度の集中の排除。集団間の対話を促進する多様性。マイノリティの言語の利用への制限の見直し。
行動13:自己規制と倫理的ジャーナリズムの促進
・「責任あるジャーナリズム」という言葉で、ジャーナリズムに恣意的制限や違法な制限を課すことのないようにする。
・メディアの自己規制、ジャーナリズムの専門家としての行動綱領の履行。
・すべての公的メディア及び私的メディアに、社会的責任と自己規制を。職場が多元的で包摂的となること。多様なコミュニティからの情報と声を伝える。個人や集団に対する差別や否定的ステレオタイプの危険に警鐘を鳴らす。社会における多元的な集団を報じる。差別や否定的ステレオタイプが引き起こす害悪に注意を喚起する。
・公共放送において個人や集団についてのステレオタイプを回避し、集団間の理解を促進し、多様な集団を平等な社会構成員として描く番組を放送する。
・私的メディア組織・企業、オンライン・ソーシャルメディア・プラットフォームに国際人権法と「ビジネスと人権に関する指導原則」に合致するように促す。
・メディア企業とオンライン・プラットフォームがユーザーにファクトチェックを提供するよう促す。
行動14:ジャーナリストとメディア労働者の保護
・ジャーナリストの安全に関する国連行動計画の履行を促進する。
・次のような場合、公的言説を通じて明確に非難する。ジャーナリストやメディア労働者に対する拷問、殺害、強制失踪、恣意的逮捕、恣意的拘禁、排除、傷害、脅迫、ハラスメントなどの攻撃・暴力。名誉毀損や侮辱法を濫用して過剰な刑事制裁を課すことによるジャーナリストに対する検閲。ジェンダーに基づく差別のような、女性ジャーナリストに対する攻撃。ジャーナリストに対する政治家、公務員等による脅迫。
・各国にジャーナリストの安全に関する国際人権法を実施できるよう支援する。
・国内、地方及び外国人のジャーナリストの移動の自由の支援。
行動15:メディアの能力(容量)形成
・メディア専門職のための職業計画のような、メディア能力形成戦略を促し支援することによって、ヘイト・スピーチに対応し、集団間の理解を促進することができるようにする。
・紛争やジェンダーに敏感な報道に関するメディア能力形成戦略を促し支援することにより、緊張をエスカレートさせず、集団についての否定的なステレオタイプに反対する。