Wednesday, November 02, 2011

小出裕章ほか『原子力村の大罪』

小出裕章ほか『原子力村の大罪』(KKベストセラーズ、2011年)


http://www.kk-bestsellers.com/cgi-bin/wwwsrch.cgi



小出裕章さんが冒頭ですが、それに続くのが西尾幹二さん、そして元福島県知事の佐藤栄佐久さん、さらには南相馬市長の桜井勝延さん。それぞれの立場から、「四重苦」福島の現実を訴える本です。福島在住の作家の星亮一さんと玄侑宗久さんの文章も必読。1500円。



福島第一原発メルトダウンの深層。四重苦福島の現実を見よ!
原発マフィア経産省、東京電力の腐敗構造

「福島原発事故からすでに五ヵ月が過ぎました。本来は閉じ込められているはずであった放射性物質が大量に環境に放出され、今現在も猛烈な被爆環境の下、下請け労働者を中心とした作業員たちが苦闘を続けています。そして、周辺では「原発さえなかったら」とチョークで壁に書いた酪農家が自死し、避難所に移された老人たちが死に追いやれ、子どもを含む多くの人たちが、日本の法令の限度を超えて被曝させられ続けています。
 いったい、こんな悲劇を引き起こした原因はどこにあり、責任は誰にあるのでしょうか?(中略) 311以降、世界は変わりました。大人たちはこれまで原発を容認する、容認できない、無関心の立場を含めて、これまで社会の中で享受してきた利益に対する責任があります。子どもたちを被曝させないことは最低限の責務です。一人ひとりの皆さんが、自らの責任がどういうものか、考えて下さることを願います」 (小出裕章 本文より)

京都大学原子炉実験所助教・小出裕章氏による福島第一原発最新プラント分析&深刻な質問が相次いだ福島緊急講演録「福島で生きる」、国と東京電力と闘い2003年には東電の持つすべての原子炉を停止させた佐藤栄佐久前福島県知事が斬る! 経産省の本質、「世界をリードする100人」に選ばれた桜井勝延南相馬市長が訴える東京電力の無責任体質、「わたしはお墓にひなんします」とう老女の遺書、「福島県には地震、津波、原発、風評被害がのしかかったと言われるが、今いちばん恐ろしいのは、それに五つ目の苦しみ、『風化』が加わることだ」という福島在住の作家・玄侑宗久氏、日本社会の「和」の病理が招いた大惨事という評論家・西尾幹二氏ほか第一級の識者7名が福島第一原発事故の深層を徹底解析!

[目次]
・原子力村への最終警告 小出裕章(京都大学原子炉実験所助教)
序/福島第一原発メルトダウンの深層/東電工程表のウソ/最悪のシナリオ「メルトスル」/東京電力・国の杜撰な体質/本来なら福島県ほぼ全域が避難対象/関東を襲った「内部被曝」/放射能から子どもを守るために/汚染水処理が最優先課題/「原発はトイレのないマンション」/原子力は「未来のエネルギー」たりえない/火力発電所だけで需要は賄える

・福島で生きる <85緊急講演録> 小出裕章(京都大学原子炉実験所助教)
「被曝」するとはどういうことか/セシウム137の恐ろしさ/「容認できるか」決めるのは政府ではない/311で変わってしまった世界/福島県民との質疑応答

・脱原発こそ国家存続の道 西尾幹二(評論家)
目に浮かぶ業苦の光景/どんな事故も「想定外」/原発事故は戦争である/国にとっての「内部被曝」/反原発派に転じた理由/堕ちるところまで堕ちるがよい/商人国家路線を否定せよ!/統治者の意識/保安院の「未必の故意」/東大原子力一家/日本社会の「和」の病理/浜岡原発停止は正しい/世界から見放される日本

・本丸は、東京電力ではなく経産省だ! 佐藤栄佐久(前福島県知事)
原発事故は「人災」である/地震対策を軽視してきた原発政策/国と東電の隠蔽・無責任体質/「もんじゅ」事故/「プルサーマル計画」と東電の「脅し」/829と「原子力村」の全体主義体制/なぜ双葉町は財政破綻したのか/会津の歴史を繰り返すのか/道州制での「復興」は不可能/地域共同体の再生/新しい都市復興の可能性/福島は原子力の生まれ故郷

・東電からもらったのは被害だけだ 桜井勝延(南相馬市長)
 三つに分断された市域/南相馬からのSOS/あいまいな判断基準/東電からもらったのは被害だけだ!/共に戦ってくれた東北電力/原発事故から立ち直る意志を世界に発信したい

・騙し騙され50年、悲劇的結末を迎えた東京電力と城下町 恩田勝亘(ジャーナリスト)
 福島原発50年の光芒/「原発は別だべ」――闘士の記憶/被曝管理のズサンさ/原発というモンスターの正体/正力、中曽根、アイク提案/町を飲み込む原発マネーと政界相関図/東電城下町の暗部/原子力村の大罪

・このままでは棄民にされてしまう 星 亮一(歴史作家)
 爆発寸前/和牛の汚染/収束はあるのか/無人の浪江町/南相馬市/福島県の人口3万人減/勝手たるべし/無視され続ける地元の町村/老女の自殺/

・人牛同病 玄侑宗久(作家)
 雪月花/人牛同病

・跋 最初の数日間の感想 西尾幹二(評論家)

編集後記