Sunday, April 12, 2015

『ヘイト・スピーチ法研究序説』出版記念集会

4月11日は水道橋の在日本韓国YMCA国際ホールで、私の近著『ヘイト・スピーチ法研究序説』の出版記念集会だった。図々しく出版記念会をお願いした。また、三一書房創業70周年記念出版の会でもあった。
第1部では田原牧さん(東京新聞特報部記者、『ジャスミンの残り香』2014年 開高健ノンフィクション賞受賞作著者)による講演であった。田原さんは、いろいろと違和感があるとし、この場でなぜ自分の講演なのか、と言いながら、ヘイトが猛威を奮うようになった日本社会の変化について印象的な話をした。
第2部は「連続トーク」ということで、5人の発言者にお話をお願いした。
まず、神原元さん(弁護士、『ヘイト・スピーチに抗する人々』著者)である。神原さんとはアフガニスタン国際戦犯民衆法廷以来のお付き合いだが、最近は「朝日新聞記事訂正問題」で悪質な個人攻撃の被害を受けてきた植村隆・元朝日新聞記者に対する名誉毀損に対して行った提訴の弁護団メンバーである。
次に、清水雅彦さん(日本体育大学教授、憲法学)である。清水さんとは1992年の湾岸戦争への戦争協力に反対して東京地裁に提訴した市民平和訴訟の原告仲間である。最近は集団的自衛権や特定秘密保護法批判の先頭に立っている憲法学者だ。
次に、師岡康子さん(弁護士、『ヘイト・スピーチとは何か』著者)である。師岡さんは枝川朝鮮学校裁判の弁護団メンバーであり、ヘイト・スピーチ研究者である。ヘイト・クライム研究会でずっと一緒に議論してきた。『なぜ、いまヘイト・スピーチなのか』に執筆していただいた。
次に、山田健太さん(専修大学教授、言論法)である。山田さんとは、1980年代のスパイ防止法制定策動との闘いでご一緒させていただいた。山田さんは人種差別禁止法制定を提案しているが、他方でヘイト・スピーチ処罰には強い反対意見を述べてきた。人種差別禁止法制定では共闘しつつ、ヘイト・スピーチについて議論を戦わせていくべき議論仲間である。
次に、安田浩一さん(ジャーナリスト、『ネットと愛国』著者)である。『なぜ、いまヘイト・スピーチなのか』に執筆していただいた。昨年は、ジュネーヴで人種差別撤廃委員会における日本政府報告書審査に参加され、現地で一緒にロビー活動をさせていただいた。
最後に、金東鶴さん(在日本朝鮮人人権協会事務局長)である。金さんとも20年来のお付き合いである。社会におけるヘイト・スピーチだけが問題ではなく、高校無償化からの朝鮮学校の除外を始めとして、国家によるヘイト煽動こそが深刻な問題であることが指摘された。

以上、ヘイト・スピーチとの闘いの先頭に立ってきた7人の方にお話ししていただいた。実に贅沢な出版記念会であった。他にも、人種差別に反対し、ヘイト・スピーチに対抗し、人権擁護の闘いを続けてこられた先輩や仲間たちが約100名集まってくれた。有意義な出版記念会になったと思う。