辺見庸・佐高信『絶望という抵抗』(金曜日、2014年)
ようやく読んだ。日本ファシズムの精神史と現在を読み解き、乗り越えを探る対談である。アベ・ファシズムの愚劣さ、幼稚さ、横暴、傍若無人を徹底批判しているが、本当に情けない現状を生み出してしまった国家・社会の一員として、情けなく、恥ずかしい思いになる。「現状はまったく絶望的ではありますが、絶望と希望の境をどこに見つけるか」という問いで終わっているように、本書は絶望の深さを確認することに向けられている。その深さを突き詰めて認識すれば、何をすべきかが見えてくるはずだが、そうはいっても展望がない、という二重三重に情けない現状でもある。それゆえ辺見も佐高もそれぞれのこれまでの闘いをさらに続けることしかできないだろう。そのことをストレートに提示した本と言えよう。安直に解決策を提案できない現状を、深く、全身で受け止めるしかないということでもある。