Sunday, April 19, 2015

国家・戦争・テロ・暴力・メディアをめぐって

週末は3つの講演・学習会に参加した。考えるべき課題が多すぎて消化しきれないが、少しだけメモしておこう。
18日午後は、映画『戦争は終わった』(1965年、アラン・レネ監督、フランス=スウイェーデン)上映と、立野正裕さん(明治大学教授)の解説と討論の会(HOWSホール)に参加した。『夜と霧』『去年マリエンバートで』のアラン・レネの作品だが、初めて観た。立野さんは日本公開当時から繰り返し観てきたという。第二次大戦後のフランコ政権のスペインで革命を目指す活動家の主人公(イブ・モンタン主演)の秘密活動の3日間を描いて、スペイン戦争は終わっていないこと、を明らかにした映画だ。1977年のスペインの民主化に10年先立つ映画である。討論の差異に発言する機会があったので、2つのことを発言した。1つは、国境検問所、パスポート、ビザという国家の制度に囲い込まれた国民国家の私たちの意識のあり方について。もう1つは、スペイン戦争は終わっていないだけではなく、様々な意味で「戦争は終わっていない」ことについて。近代西欧の500年、それはキリスト教とイスラム教の対立の500年でもあるし、ユダヤ人迫害の500年でもある。第一次大戦と第二次大戦。そして、その後の内戦を経て、現在の「中東戦争」状態。
18日夜は、2014年度サバティカルでパリに滞在し、シャルリーエブド事件を現地で経験した鵜飼哲さん(一橋大学教授)の講演「シャルリーエブド襲撃事件から考える――国家とテロリズム」(国分寺労政会館)に参加した。事件以前からパリは一種異様な雰囲気を持っていて事件が予感されたことに始まり、「殺したのはだれか?「殺されたのは誰か・」という2つの問いによって、フランスの「共和国の理念」と植民地主義・植民地支配・レイシズムの実情を浮き彫りにする講演だった。「戦時国家フランスのレイシズム」とう言葉に、納得しつつ、驚き、改めて考えさせられた。現代世界をどのように認識し、私たちの課題を考えていくのかについて、「テロリズム」とは何か、「新しい戦争」と「古い戦争」、「帝国主義は鎖をなす」(レーニン)をはじめさまざまなキーワードと視点が提示された。

19日午後は、永田浩三さん(武蔵野大学教授、元NHKディレクター)の講演「NHK、朝日、『イスラム国』人質事件から考えるメディアのあり方」(府中グリーンプラザ)に参加した。NHK・ETV2001事件、最近の籾井会長問題、自民党による言論介入・統制など多くの事例を基に、この国がはまり込んでいる「戦争への道」にいかに抗していくべきかを考える講演だった。レジュメには「市民とメディア」「NHKから離れて気がついたこと」「表現の不自由展・消されたものたち」などもあったが、時間の都合で省略されたのは残念。日本軍「慰安婦」問題について、朝日新聞記事訂正問題も取り上げられたので、私も少し会場から発言させてもらった。