Saturday, November 28, 2015

ヘイト・スピーチ研究文献(43)ヘイト国家・日本と闘う

前田 朗「ヘイト国家・日本と闘う(一)(二)」『無罪!』2015年8月号、10月号
ヘイト・クライム、ヘイト・スピーチは新しい現象ではなく、ずっと以前から日本にあった。ヘイトとは、一定の属性を持つ集団に対する差別や暴力を煽動するという動機に着目した言葉であり、差別、暴力、排除、迫害につながる。暴力的側面に注目するとヘイト・クライム、言葉に注目するとヘイト・スピーチと呼ばれることが多い。いずれにせよ、差別の一形態である。
月刊イオ編集部編『高校無償化裁判――249人の朝鮮高校生たたかいの記録』(樹花社、2015年)は、朝鮮学校を高校無償化から除外する日本政府による差別を裁判に訴えた高校生を中心に、教員、父母、弁護士などの取り組みを詳しく紹介する。日本政府は朝鮮学校を差別しているが、同時にそれは差別の煽動であり、ヘイト・スピーチである。政府が上から国民に向かって「朝鮮人は差別してもいいんだ」と日々、教え込んでいるのだから。

同書第4章「民族教育をめぐる権利闘争のあゆみ」は戦後70年の朝鮮学校に対する差別と、教育の権利を求め、人権を求める朝鮮人の闘いの歴史を整理している。ヘイト国家・日本と闘う市民の歴史である。